信託系不動産会社3社を徹底比較|三井住友トラスト・みずほ・三菱UFJは売却サービスに何が違う?

信託系不動産会社3社の売却サービスを比較検討する人のイメージ 会社選び・サービス比較

実家の相続や資産の整理をきっかけに家の売却を考えると、「信託銀行系の不動産会社は普通の大手仲介と何が違うのだろう」と気になる方は多いと思います。この記事では、信託銀行や銀行グループを母体とする三井住友トラスト不動産・みずほ不動産販売・三菱UFJ不動産販売の3社を取り上げ、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の仲介実績と、建物・設備の保証や清掃・土地調査といった売却サービスを並べて比較します。結論を先にお伝えすると、3社は規模も保証内容もそれぞれ性格が違い、「信託系だから相続に強い」と一括りにはできません。自分の物件タイプと重視したい条件に照らして選ぶのがおすすめです。各社の詳しい条件は個別記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。

信託系不動産会社3社の売却サービスを比較検討する人のイメージ

信託系不動産会社とは

「信託系(信託銀行系)不動産会社」とは、一般的に信託銀行やその銀行グループを母体とする不動産仲介会社を指します。信託銀行は預金・融資に加えて、不動産、相続・資産承継、資産管理といった業務を幅広く扱ってきた歴史があり、そのグループの一員として不動産の売買仲介を担うのが信託系の仲介会社です。銀行や信託銀行の顧客基盤とのつながりや、資産全体の相談窓口が近い点が特徴とされることが多いです。

信託系3社の取扱高・件数・1件当たり単価の傾向を比較する図解イメージ

ただし、ここで大切な前提が一つあります。不動産仲介を行う会社と、預金・融資・信託を行う信託銀行は、別の法人です。グループとして連携する場面はありますが、個人情報をどこまで共有するか、金融・税務・法務の相談を誰が担うかは案件ごとに異なります。「銀行の顧客だから優先的に買主を紹介してもらえる」「信託系なら必ず相続に強い」といった期待は、根拠なく前提にしないほうが安全です。実際に受けられるサービスの主体と範囲は、後述のとおり担当者に確認して固めていくのが確実です。

比較対象は三井住友トラスト・みずほ・三菱UFJの3社

本記事で「信託系3社」として比較するのは、次の3社です。

会社ごとに保証期間と上限が異なることを示す図解イメージ
  • 三井住友トラスト不動産(三井住友信託銀行グループ)
  • みずほ不動産販売(みずほフィナンシャルグループ)
  • 三菱UFJ不動産販売(三菱UFJフィナンシャル・グループ)

大手仲介の中には、野村の仲介+(野村不動産ソリューションズ)や三菱地所ハウスネットのように、富裕層・大型案件に強い比較候補もあります。これらも実績は大きいのですが、母体が証券・不動産デベロッパー系であるため、本記事でいう「信託銀行系」には含めていません。信託系の3社にしぼって、実績とサービスを同じ物差しで並べていきます。8社全体の専任媒介サービスをまとめて見比べたい場合は、大手不動産仲介8社の専任媒介サービス比較もあわせてご覧ください。

2025年度の仲介実績比較

まずは会社の規模感からです。下の表は、2025年度(2025年4月〜2026年3月)通期の仲介実績を、取扱高の順位とあわせてまとめたものです。取扱高・手数料収入・取扱件数は、不動産流通研究所『R.E.port』が2026年5月に公表した2025年度(通期)の仲介実績調査や、週刊住宅タイムズ「25年度売買仲介」(2026年6月1日)など、各社の公表資料にもとづいています(2026年7月時点)。

信託系3社へ同時査定を依頼し回答を見比べる人のイメージ
指標 三井住友トラスト不動産 みずほ不動産販売 三菱UFJ不動産販売
取扱高順位 6位 8位 9位
取扱高 7,710億円 6,855億円 6,133億円
手数料収入 329億円 281億円 262億円
取扱件数 9,288件 3,622件 4,057件
1件当たり取扱高 8,320万円 1億8,927万円 1億5,118万円
1件当たり手数料 356万円 778万円 647万円
従業員数 1,341名 984名 1,039名

従業員数はいずれも2026年4月1日時点の各社公式会社概要の値。取扱高順位は大手仲介の取扱高ランキング上での順位です。

この表から読み取れる傾向を整理します。規模・件数では三井住友トラスト不動産が3社で最大で、取扱件数9,288件は、みずほ・三菱UFJのおよそ2〜2.5倍にあたります。一方、みずほ不動産販売は1件当たり取扱高(1億8,927万円)・1件当たり手数料(778万円)が3社で最も高く、事業法人や富裕層の大型案件を多く取り込んだことを、同社は増収要因として説明しています。三菱UFJ不動産販売は取扱件数でみずほを上回り、平均単価は三井住友トラストとみずほの中間に位置します。

ここで注意したいのが、1件当たり取扱高が高いことは、あなたの一般的な住宅が高く売れる根拠にはならないという点です。この平均値には法人・投資用の大型案件が含まれており、査定価格や担当者の対応品質を直接示す数字ではありません。規模は「どのくらいの体制と実績を持つ会社か」の目安として捉え、実際の売却価格は自分の物件の査定で確かめるのが確実です。3社の順位を含む大手全体の実績は、不動産仲介会社ランキングTOP10で詳しくまとめています。

建物・住宅設備保証の比較

次に、売却後のトラブルに備える保証まわりを比べます。信託系3社は、いずれも建物と住宅設備の保証を用意していますが、期間・上限・対象条件が三者三様です。下の表で、同じ列に並べて確認しましょう。

比較項目 三井住友トラスト不動産 みずほ不動産販売 三菱UFJ不動産販売
設備保証 引渡し後6か月、1物件最大500万円(税込) 引渡し後1年、1機器1回15万円(税込)、築年数制限なし 引渡し後2年、1物件最大500万円(税込)
建物関連 戸建の検査品質保証、瑕疵保証。現場検査料を負担 調査適合後、買主へ1年・最大1,000万円 調査適合後、買主へ1年・最大1,000万円
媒介条件の要点 設備・測量は専任・専属専任。建物検査は媒介契約が対象 設備・清掃・土地は専任・専属専任。設備は査定のおおむね125%以内 主要サービスは専任・専属専任3か月、査定の125%以内

設備保証は、期間だけを見ても三者で差があります。三井住友トラスト不動産は引渡し後6か月と比較的短めですが、1物件最大500万円(税込)という総額上限が特徴で、対象は1971年1月1日以降築の戸建・区分マンションの居住用住戸です。みずほ不動産販売は引渡し後1年で、築年数制限がない点が目を引きますが、上限は「1機器1回15万円(税込)」で物件全体一律15万円ではありません。上限内なら期間中は原則複数回対応するものの、1回15万円以上の修理や交換が発生すると、その機器の保証は終了します。三菱UFJ不動産販売は引渡し後2年と期間が最も長く、1物件最大500万円(税込)です。「期間が長いほど手厚い」と単純には言えず、対象設備・上限・免責の考え方が違うため、自分の家の設備が対象になるかで見比べてください。

建物関連では、みずほと三菱UFJがいずれも建物状況調査に適合した物件の「買主」に対し、引渡し後1年・最大1,000万円の瑕疵保証を用意しています。ここで押さえたいのは、この1,000万円は買主向けの補修費等の保証枠であって、売主に現金が支払われる制度ではないという点です。対象は雨水浸入防止部分・構造耐力上主要な部分・給排水管路が中心で、みずほは蟻害・排水桝が対象外です。三菱UFJは、検査で不適合だった場合に保証適合へ直すための補修を会社が上限5万円まで負担しますが、これは保証上限1,000万円とは別枠です。三井住友トラスト不動産は、戸建向けの「建物状況調査(検査品質保証付)」で会社が現場検査料を負担し、検査後に不具合が見つかった対象部位を検査会社が補修する枠組みで、検査から引渡しまでを含む最長1年3か月の設計です。ただし建物検査は、瑕疵がないこと自体を保証するものではありません。非破壊・目視中心の調査で適合と判定された部位について、後から出た不具合に対応する仕組みだと理解しておくと誤解が減ります。各社の詳しい条件は、三井住友トラスト不動産の売却サービス解説みずほ不動産販売の売却サービス解説三菱UFJ不動産販売の売却サービス解説で個別にまとめています。

エビデンスは各社公式ページで確認できます(三井住友トラスト・設備修理みずほ・建物状況調査/保証三菱UFJ・建物トータルサポート)。

清掃・撮影・VR・土地調査の比較

売り出し前の「見せ方」を整えるサービスも、3社で得意分野が分かれます。

比較項目 三井住友トラスト不動産 みずほ不動産販売 三菱UFJ不動産販売
清掃 水回り・空室清掃。担当者が必要と判断した場合 おそうじサポート、外壁手洗い洗浄 水回り4点クリーニングを会社負担
写真・VR 主要ページで強く訴求せず 主要ページで強く訴求せず プロ撮影、VRステージング、VR家具消し
土地 仮測量、境界標・越境・高低差等 無料の敷地仮測量、境界・越境・セットバック等 土地現況測量サービス

清掃は、三菱UFJ不動産販売が水回り4点(キッチン・浴室・洗面・トイレ)のクリーニングを会社負担で提供し、戸建または公簿30㎡以上のマンション1住戸などが条件です。みずほ不動産販売は、売却活動開始時の清掃費を会社が負担する「おそうじサポート」に加え、戸建の外壁を高圧洗浄ではなく手洗いで清掃する外壁手洗い洗浄を用意している点が独自です。三井住友トラスト不動産の水回り・空室清掃は、担当スタッフが売却活動に必要と判断した場合に利用できるもので、希望すれば必ず使えるわけではありません。この「会社負担」「担当者判断」「有償」の区別は、費用の見込みに直結するので確認しておきましょう。

写真・VRでは、三菱UFJ不動産販売がプロカメラマン撮影・VRホームステージング・VR家具消しをそろえ、空室でも居住中でも完成イメージを見せやすい設計です。オンラインで内覧イメージを重視したい場合に比較しやすいでしょう。土地は3社とも仮測量系のメニューを持ち、みずほは敷地仮測量を無料で実施します。ただし、いずれも現況の仮測量であって、確定測量・境界確定の代替にはなりません。成約時に別途、確定測量が必要になる場合の費用は売主負担となることがあります。公式ページは各社で確認できます(みずほ・外壁手洗い洗浄三菱UFJ・水回り4点クリーニング三井住友トラスト・土地測量調査)。

相続・資産整理・法人売却で確認したいこと

信託系に相談する動機として多いのが、相続や資産整理、法人の不動産売却です。ここで改めて意識したいのが、不動産の仲介と、相続・資産承継の相談は、担い手が違うという点です。信託銀行グループとして連携できる場面はありますが、税金の取り扱いは税理士や税務署、遺産分割や登記などの法律問題は弁護士・司法書士といった有資格者の業務範囲です。不動産会社は売却の実務を担う立場であり、税務・法務の個別判断まで代わりに行うわけではありません。

そのため、相続がからむ売却では、次のような点を各社に個別確認しておくと安心です。①グループの信託銀行や金融機関とどこまで情報を共有するのか、その同意はいつ・どの範囲で行うのか。②相続・資産全体の相談窓口を紹介してもらえるのか、その際に別途費用が発生するのか。③税理士・弁護士など専門家との連携は、会社が手配するのか自分で探すのか。連携の内容は案件ごと・エリアごとに異なるため、「信託系だからまとめて任せられる」と決めつけず、受けられる範囲と費用を具体的に聞くのがポイントです。相続物件をどこに頼むかで迷っている段階の方は、実家・相続物件はどこに頼む?もあわせて参考にしてください。

どの会社に相談するにしても、最初の一歩は「自宅がいくらくらいで売れそうか」の目安をつかむことです。相場観があると、3社の査定額や提案を同じ土俵で比べやすくなり、相続や資産整理の話し合いも進めやすくなります。

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3社それぞれが向いている人

ここまでの比較を、物件タイプと重視条件から整理します。優劣ではなく「相性」で見てください。

三井住友トラスト不動産が向いている人

取扱件数と拠点規模が3社で最大で、設備保証の物件総額(1物件最大500万円・税込)を重視したい人に向いています。1971年以降築の住宅で、設備の総額上限を厚めに確保したい場合や、戸建の建物状況調査と土地の仮測量を一社でまとめて相談したい場合に検討しやすいでしょう。ただし設備保証の期間は6か月と短めで、清掃は担当者が必要と判断した場合に限られる点は押さえておきましょう。

みずほ不動産販売が向いている人

古い住宅設備があり、築年数制限のない設備保証を重視する人や、戸建外観の第一印象を整えたい人に向いています。外壁手洗い洗浄や無料の敷地仮測量は、他の2社と比べて目立つ独自メニューです。一方で、設備保証は「1機器1回15万円(税込)」で、15万円以上の修理や交換が発生するとその機器の保証が終了する点は、事前に理解しておく必要があります。

三菱UFJ不動産販売が向いている人

設備保証の期間(引渡し後2年)と、オンラインでの販売演出を重視する人に向いています。設備2年・1物件最大500万円(税込)に加え、プロ撮影やVRステージング・VR家具消し、水回り4点の会社負担クリーニングがそろい、空室・居住中を問わず見せ方を整えやすい構成です。建物保証も「検査適合後、買主へ1年・最大1,000万円」と枠組みが明瞭で、比較検討しやすいでしょう。

信託系と三井・東急・住友・野村など大手仲介の違い

「信託系」とひとくくりにされることがありますが、大手仲介ランキングの分類上、野村不動産ソリューションズや三菱地所グループは信託銀行系には含めないのが本記事の整理です。信託系3社(三井住友トラスト・みずほ・三菱UFJ)は、金融グループを母体とする点が共通します。

一方、三井のリハウス(三井不動産リアルティ)・東急リバブル・住友不動産販売(ステップ)といった会社は、全国に広い店舗網を持ち、仲介件数を数多くこなす「件数型」の性格が強い傾向です。買い手の母数が大きいため、一般的な戸建てやマンションでは候補に入れやすいグループとされます。野村の仲介+は選択型サービスが特徴で、原則として対象サービスは1つを選ぶ併用不可の設計です。どのグループが上ということではなく、扱う物件の価格帯・エリア、重視するサービスによって相性が変わります。信託系はグループの金融・資産相談との近さが語られやすい一方、実際に受けられる連携は案件ごとに違うため、期待だけで決めず中身を確認するのが賢明です。大手全体を横断して見比べたい場合は、大手不動産仲介8社の専任媒介サービス比較が便利です。

3社へ同時査定を依頼するときの質問

信託系3社は条件が細かいので、複数社に同時査定を依頼し、同じ質問を投げて回答を並べると違いが見えてきます。次の項目を確認してみてください。

  • この物件はどのサービスの対象か。対象外なら理由は何か。設備・建物・清掃・土地のうち、どれが使えるか。
  • サービスは無料(会社負担)か。仲介手数料以外に、検査・再検査・補修の費用がかかるか。
  • 売出価格を査定の125%以内などの条件から外すと、適用対象から外れるか。
  • 検査で不適合だった場合、補修費と再検査費は誰が負担するか。会社負担の上限はいくらか。
  • 売主の契約不適合責任と、買主向け保証の関係はどうなるか。保証申請時の免責・1回あたり上限・対象外部位は何か。
  • グループの信託銀行・金融機関との情報連携はどの範囲か。相続・資産・税務の相談は、誰が担い、費用は発生するか。

これらは、サービス名称の多さでは判断できない部分です。名前が多くても自分の物件が対象外なら意味がありませんし、逆にメニューが少なくても必要な保証がしっかり対象になっていれば十分なこともあります。「数」ではなく「自分の物件が適用対象になるか」で選ぶという視点を、査定依頼のときに持っておくと、後悔の少ない会社選びにつながります。

まとめ:信託系3社は数より「自分の物件が対象か」で選ぶ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 信託系3社は三井住友トラスト不動産・みずほ不動産販売・三菱UFJ不動産販売。野村や三菱地所は信託系には含めない整理で比較しました
  • 2025年度の取扱高は6位・8位・9位。件数と拠点規模は三井住友トラスト、1件当たりの取扱規模はみずほが最大。ただし平均単価は一般住宅が高く売れる根拠にはならない
  • 設備保証は三井住友トラスト6か月・みずほ1年(築年数制限なし・1機器1回15万円)・三菱UFJ2年(1物件最大500万円)と、期間も上限も別。建物の最大1,000万円は買主向け保証
  • 仲介会社と信託銀行は別法人。相続・税務・法務の相談範囲や金融連携は案件ごとに違うため、受けられる範囲と費用を3社へ個別確認するのが安心

信託系だからと期待だけで決めず、自分の物件タイプと重視条件に照らして、必要なサービスが対象になっているかを確かめる——これが後悔の少ない選び方です。まずは相場観をつかんだうえで、3社を含む複数社に同じ質問を投げて回答を並べてみてください。

3社へ同時査定を依頼する前に、自宅がいくらくらいで売れそうかの目安を持っておくと、各社の査定額や提案を同じ土俵で比べやすくなります。無料で数分あれば確認でき、相続や資産整理の話し合いの共通のものさしにもなります。

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※2026年7月時点。サービス内容・対象エリア・条件は変更または終了する場合があります。

この記事を書いた人

鈴木 悠平(宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で売買仲介に15年以上携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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