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「家を売りたいけれど、何から始めればいいのか分からない」「不動産会社に相談したら、そのまま売らされそうで怖い」。売却を考え始めた方から、筆者が最もよく受ける相談です。
結論からお伝えすると、最初の一歩は「自分の家がいくらで売れそうかを、複数の会社の目で確認すること」です。そのための道具が、無料で使える「不動産一括査定サービス」です。
筆者は不動産売買仲介の現場に15年以上携わってきました。その経験から言うと、1社だけの査定で売り出し価格を決めてしまうのは、できれば避けていただきたい進め方です。査定額は会社によって数百万円単位の差がつくことも珍しくないからです。
この記事では、一括査定の仕組みとメリット・注意点、多くの方が不安に感じる「営業電話ラッシュ」への実務的な対策、そして査定額の裏側まで、元仲介営業の立場から本音で解説します。
不動産一括査定とは?無料で使える仕組みをプロが解説

物件情報を1回入力すると、複数社に査定依頼が届く
不動産一括査定とは、物件の所在地・種別・広さなどを一度入力するだけで、そのサービスと提携している複数の不動産会社へまとめて査定依頼を送れるサービスです。1社ずつ問い合わせる手間がなく、入力自体は5分程度で終わるものがほとんどです。
「無料なのがかえって不安」という声もよくいただきますが、仕組みを知れば納得していただけると思います。一括査定サイトは、査定依頼を受け取った不動産会社側が支払う紹介料・広告費で運営されています。利用者からお金を取る必要がないビジネスモデルなので、査定後に利用料を請求されるようなことはありません。
ただし裏を返せば、不動産会社にとって査定依頼者は「お金を払って紹介してもらった見込み客」です。だからこそ各社は熱心に連絡をしてきます。この構造を先に知っておくことが、上手に使いこなす第一歩です。
机上査定と訪問査定の違い
査定には2種類あります。物件情報と周辺の成約事例だけで概算を出す「机上査定(簡易査定)」と、担当者が現地で建物の状態や日当たりまで確認する「訪問査定」です。
まだ情報収集の段階なら机上査定で十分です。売却の意思が固まってきた段階で、訪問査定に切り替えて精度を上げる。この二段構えが実務でも一般的な流れです。一括査定サービスの多くは、申込時にどちらを希望するか選べます。
査定額はどうやって算出されるのか
マンションや土地の査定では、近隣の類似物件の成約事例と比較する「取引事例比較法」が中心です。一戸建ての建物部分は、再建築にかかる費用から築年数分を差し引く「原価法」で評価されるのが一般的です。
大事なのは、査定額とは「おおむね3か月程度で売れそうだと会社が見立てた価格」であって、売却を保証する金額ではないという点です。同じデータを見ても、各社の得意エリア・販売実績・抱えている買い手の数によって見立ては変わります。だから複数社の比較に意味があるのです。
一括査定のメリットと、先に知っておきたい注意点

メリットは「比較できること」に尽きる
一括査定のメリットは、突き詰めると次の3つです。
- 査定額の会社差が見える:同じ物件でもA社3,000万円・B社3,200万円・C社3,400万円と分かれることは珍しくありません。1社だけでは、その金額が高いのか安いのかすら判断できません。
- 相場感がつかめる:複数の査定額を並べると「だいたいこのくらいが相場」という中心帯が見えてきます。これがないと、営業担当の言い値で売り出すことになりかねません。
- 会社の対応力を比較できる:連絡の早さ、説明の丁寧さ、提案の具体性。売却の成否は「どの会社・どの担当者に任せるか」で大きく変わるため、対応を見比べられること自体に価値があります。
経験上、依頼するのは最低3社、できれば5社程度がおすすめです。2社では差の理由が判断できず、多すぎると対応の負担が増えます。
注意点は3つ。特に「連絡が複数社から来る」こと
一方で、申し込む前に知っておいていただきたい注意点もあります。
1つ目は、依頼した各社から電話やメールで連絡が来ることです。これは仕組み上避けられません(対策は次の章で詳しく解説します)。2つ目は、提携している不動産会社はサービスごとに異なることです。地域や物件種別によっては、依頼できる会社が少ない場合もあります。3つ目は、先ほども触れたとおり、査定額はあくまで各社の見立てであり、その金額での売却が約束されるわけではないことです。
一括査定が向かないケースもある
正直にお伝えすると、一括査定は万能ではありません。提携していない優良な地元業者も存在しますし、再建築不可物件や借地権など特殊な物件は、一般的な仲介より専門の買取業者が向くこともあります。また「売るかどうかも決めていないので、不動産会社と話すこと自体まだ気が重い」という段階の方は、無理に申し込む必要はありません。まずは匿名で使える相場チェックツールなどで感触をつかむところから始めても十分です。
営業電話ラッシュが不安な人へ。元営業が教える4つの対策

なぜ申込直後に電話が集中するのか
一括査定への最大の不満は「電話が一気にかかってくること」です。これには営業側の事情があります。複数社が同時に同じ依頼を受け取るため、最初に接触して面談の約束を取った会社が圧倒的に有利になるのです。筆者も営業時代、一括査定の依頼が入ると他の作業を止めて電話をかけていました。
つまり電話ラッシュは「あなたの物件に価値がある」ことの裏返しでもあります。仕組みを知ったうえで、次の対策を打てば過度に恐れる必要はありません。
実務的な4つの対策
- 依頼する会社を3〜5社に絞る:最大社数まで選ぶ必要はありません。連絡の量は依頼社数に比例します。
- 要望欄に連絡方法と時間帯を書く:「連絡はメールでお願いします」「電話は平日18時以降のみ可」など具体的に書けば、多くの会社は配慮してくれます。無視して電話攻勢をかけてくる会社は、その時点で候補から外す判断材料になります。
- 「相場を知りたい段階」と正直に伝える:見込み度を偽ると、かえって追客が長引きます。温度感を正直に伝えたほうが、お互いに無駄がありません。
- 断るときは曖昧にしない:「検討します」は営業の世界では「まだ脈あり」です。依頼しない会社には「他社に決めました」とはっきり伝えるのが、結果的に一番早く連絡が止まります。サービスによっては、利用者に代わって断ってくれる「お断り代行」を用意しているところもあります。
それでも連絡が負担なら、匿名ツールから始める
ここまで読んで「やっぱり今の段階で不動産会社とやり取りするのは重い」と感じた方は、順番を変えましょう。当サイトの資産価値チェックツール(無料)なら、細かい個人情報の入力なしで資産価値の目安をその場で確認できます。相場感をつかんでから一括査定に進めば、各社との会話も対等に進めやすくなります。
元仲介営業が教える「査定額」の裏側

高い査定額には2つの理由がある
複数社の査定額が出そろうと、つい一番高い会社に頼みたくなります。しかし査定額が高い理由は2通りあります。①本当にその価格で売れる見込み・販売力があるか、②媒介契約を取りたいがために強気の金額を出しているか、です。
②は業界で「高預かり」と呼ばれるパターンで、相場より高い査定で契約を取り、売れない期間が続いた後に「反響がないので」と値下げを提案する流れが典型です。結局、相場並みかそれ以下の価格で、時間だけ余計にかかってしまうことになりかねません。詳しくは査定が高すぎる理由と釣り査定の見抜き方で解説しています。
見るべきは金額より「根拠」
査定結果を受け取ったら、各社に「なぜこの金額なのか」を必ず聞いてください。信頼できる会社は、近隣の成約事例・販売戦略・想定する買い手層まで具体的に説明できます。逆に「頑張ります」「実績があります」など抽象的な答えしか返ってこない場合は注意が必要です。
実務的には、極端に高い査定と極端に低い査定を除いた「真ん中の価格帯」が相場に近いことが多い、というのが筆者の感覚です。そのうえで、根拠の説明に最も納得できた会社を選ぶと失敗しにくくなります。
会社選びでは「囲い込み」への姿勢も確認を
もう一歩踏み込むなら、「他社からの買い手の紹介も受けてもらえますか」と聞いてみてください。自社で買い手も見つけて手数料を両取りするために物件情報を隠す「囲い込み」は、2026年の法改正で行政処分の対象になりましたが、売主側が知識を持っておくに越したことはありません。会社選びの基準は不動産会社の選び方でも詳しく解説しています。
おすすめの一括査定サービスと使い方5ステップ
サービス選びで確認したい4つのポイント
一括査定サービスは数多くありますが、見るべきポイントは共通しています。①提携会社の数と質(大手・地元密着がバランスよく含まれるか)、②自分の物件のエリア・種別に対応しているか、③個人情報の管理体制(プライバシーマークの有無など)、④運営会社の信頼性(運営歴・上場の有無など)の4つです。
イエイ(不動産一括査定サービス)
「イエイ」は、東証プライム上場の株式会社じげんが運営する不動産売却の一括査定サービスです。利用は無料で、公式サイトによると2007年のサービス開始以来、累計400万人以上に利用されており、1,700社の不動産会社との取引実績があります(2026年7月時点)。マンション・戸建て・土地・空き家まで幅広い物件種別に対応しています。
上場企業が運営していることによる信頼性と、長年の運営で積み重ねた取引実績の多さが特徴です。プライバシーマークを取得しているほか、依頼しない会社への連絡を代行してくれる「お断り代行サービス」があるのも、先ほどの「断るのが苦手」という方には心強い仕組みです。上で挙げた4つのポイントを満たすサービスの一つといえるでしょう。
一方で、注意点も知っておいていただきたいと思います。一括査定サービスに共通することですが、申し込むと複数の不動産会社から連絡が来ます。電話でのやり取りが負担に感じる場合は、申込時の要望欄で「メール希望」と伝えておくのも一つの方法です。また、提示される査定額はあくまで各社の売却予想価格であり、実際に成約する金額を保証するものではない点にもご注意ください。
申し込みから会社決定までの5ステップ

- 一括査定サイトで物件情報を入力する(5分程度。要望欄に連絡方法の希望を記入)
- 査定を依頼する会社を3〜5社選ぶ
- 各社から査定結果が届く(数日〜1週間程度)
- 査定額の「根拠」と担当者の対応を見比べる
- 納得できた会社と媒介契約を結び、売却活動を始める
ステップ5の媒介契約には専属専任・専任・一般の3種類があり、どれを選ぶかで売却活動の進み方が変わります。詳しくは専任媒介・一般媒介の違いと選び方をご覧ください。
よくある質問
Q. 査定を受けたら、売らないといけませんか?
A. いいえ。査定は相場を知るためのもので、売却の義務は一切ありません。「相場を知りたいだけ」という利用も一般的ですし、査定を受けてから数年後に売却する方も普通にいらっしゃいます。
Q. 一括査定はなぜ無料なのですか?
A. 査定依頼を受け取る不動産会社側が紹介料・広告費を負担しているためです。利用者に後から料金を請求される仕組みではありません。
Q. 営業電話がしつこくならないか心配です。
A. 依頼社数を絞り、要望欄に「メール連絡希望」と書くことで、負担はかなり抑えられます。それでも合わない会社には「他社に決めた」とはっきり伝えるのが有効です。お断り代行のあるサービスを選ぶのも一つの方法です。
Q. マンション以外でも使えますか?
A. はい。多くのサービスがマンション・一戸建て・土地に対応しており、空き家や相続した実家の査定に使えるものもあります。対応する物件種別はサービスごとに異なるため、申込画面で確認してみてください。
まとめ:1社で決めないことが、損を避ける第一歩
不動産売却で後悔しないための第一歩は、自分の家の価値を複数の目で確認することです。最後に要点をまとめます。
- 査定額は会社によって数百万円単位で差がつくことがある。依頼は最低3社、できれば5社程度に
- 「高い査定=良い会社」ではない。金額よりも根拠の説明に納得できるかで選ぶ
- 電話ラッシュは、依頼社数を絞る・要望欄に連絡方法を書く・はっきり断る、でコントロールできる
- 査定を受けても売る義務はない。相場を知るためだけの利用でも問題ない
- 不動産会社とのやり取りがまだ重い段階なら、匿名の相場チェックツールから始めるのも手
売るかどうかを決めるのは、価値を知ってからで大丈夫です。まずはご自身のペースで、無理のない一歩から始めてみてください。
本記事の内容は2026年7月時点の情報に基づきます。サービスの提携社数・実績などの数値は各公式サイトの公表値であり、変更される場合があります。個別の状況によって最適な進め方は異なりますので、重要な判断の際は複数の専門家に相談されることをおすすめします。


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