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一括査定を使ったら、A社は3,200万円、B社は3,300万円、C社は3,100万円。ここまではまあ分かる。
でもD社だけ3,800万円。
「え、そんなに高く売れるの?」と思う反面、「なんかおかしくない?」とも感じる。
その直感、正しいです。
不動産業界では、わざと高い査定額を出して媒介契約を取りにいく手法が昔から存在します。業界では「釣り査定」と呼ばれることもあります。
この記事では、仲介営業を15年やってきた筆者が、なぜ高すぎる査定が出るのか?どうやって見抜けばいいのか?を、査定を出す側の視点からお伝えします。

なぜ不動産会社は高すぎる査定を出すのか?
結論から言うと、「まず契約を取りたいから」です。
もう少し詳しく、3つの理由を説明します。
理由1|媒介契約を取ることが最優先だから
不動産会社は、売主と「媒介契約」を結ばないと、そもそも販売活動ができません。つまり、契約を取れなければ売上はゼロ。
だから一部の会社は、こう考えます。
「まず高い金額を見せて契約を取ろう。売れなければ後から値下げしてもらえばいい」
これが釣り査定の正体です。最初に高い査定を出して専任媒介契約(※1社だけに任せる契約)を取り、その後「やっぱり反響が少ないので価格を下げましょう」と持ちかけるわけです。
理由2|一括査定では「他社に勝つ」必要がある
一括査定サイトでは、同時に3〜6社に査定を依頼するのが一般的です。不動産会社の側からすると、横並びで比較されることが分かっている。
そうなると、「正直な金額を出したら他社に負ける」と考える会社が出てきます。
実際、売主さんの多くは「一番高い金額を出してくれた会社」に好印象を持ちます。営業マンもそれを分かっているから、つい査定額を盛りたくなる。これが構造的な問題です。
理由3|売主は「高く言ってくれる会社」を選びがち
これは売主さん側の心理の話です。
3社の査定で「3,200万円」「3,300万円」「3,800万円」と出たら、3,800万円の会社に頼みたくなるのが人間です。
でも冷静に考えてみてください。
査定額は「この金額で売れます」という約束ではありません。
査定額はあくまで不動産会社の「意見」です。売れるかどうかは市場が決めます。高い査定=高く売れる、ではないんです。
釣り査定を見抜く3つのチェックポイント
では、どうすれば高すぎる査定を見抜けるのか? 現場にいた経験から、この3つを聞けばほぼ分かります。
チェック1|査定の根拠(成約事例)を具体的に聞く
「なぜこの金額なのか?」と聞いてみてください。
信頼できる会社は、近隣の成約事例(実際に売れた価格)を出して説明します。「同じマンションの○号室が半年前に○○万円で成約しました。お部屋の階数と向きを考慮して…」という感じです。
一方、根拠が曖昧な会社は「このエリアは人気なので」「今は売り時ですから」など、ふわっとした説明しかできません。ここで差が出ます。
チェック2|「この価格で何ヶ月で売れますか?」と聞く
この質問はかなり効きます。
高い査定を出した会社に「じゃあこの金額で、何ヶ月くらいで売れる見込みですか?」と聞いてみてください。
誠実な会社なら、「この価格だと3〜6ヶ月くらい。もう少し下げれば2〜3ヶ月で決まる可能性が高いです」と現実的な見通しを話してくれます。
歯切れが悪くなったり、「出してみないと分かりません」としか言えない場合は、その査定額に自信がない証拠です。
チェック3|査定額と売出価格の違いを説明できるか
意外と知られていませんが、「査定額」と「売出価格」は別物です。
- 査定額 = 不動産会社が考える「おそらくこのくらいで売れる」金額
- 売出価格 = 実際に市場に出す価格(交渉余地を見て、査定額より少し高くすることも多い)
この違いをきちんと説明してくれるかどうかで、その会社の誠実さが分かります。「査定額=売出価格」として話を進める会社は要注意です。
正しい査定額はどう判断すればいい?
「じゃあ結局、どの金額を信じればいいの?」という疑問が出てきますよね。
複数社の「中央値」を基準にする
一番シンプルな方法は、複数社の査定額の真ん中あたりを基準にすることです。
例えば4社で「3,100万円・3,200万円・3,300万円・3,800万円」なら、3,200万〜3,300万円あたりが相場感。3,800万円はやはり高すぎると判断できます。
成約事例を自分でも確認する
もう少し踏み込むなら、レインズ・マーケット・インフォメーション(国土交通省が運営)で、近隣の成約事例を自分で調べることもできます。無料で使えるので、査定額が妥当かどうかの参考になります。
「高い=悪」とは限らない
ひとつ補足しておくと、相場より高い査定が全部ダメというわけではありません。
「最初は強気で出して、反響を見ながら調整していきましょう」という戦略として高めに出すケースもあります。大事なのは、その理由と出口(いつまでに、いくらまで下げるか)を明確に説明してくれるかどうか。
根拠と戦略があるなら、高めの査定でも信頼してOKです。
高すぎる査定に飛びついて失敗するパターン

最後に、実際によくある失敗パターンをお伝えします。
「高い査定→専任契約→売れない→値下げ→また売れない→結局相場以下で成約」
この流れ、本当に多いんです。
最初に相場より500万円高く出して、3ヶ月売れない。200万円下げてまた2ヶ月。さらに200万円下げて…と繰り返すうちに、ポータルサイト上で「ずっと掲載されている物件」になってしまう。
買う側からすると、「何ヶ月も売れ残っている=何か問題があるのでは?」と思うのが自然です。結果として、最初から適正価格で出していれば3,300万円で売れたものが、3,000万円でしか売れなかった、ということが起きます。
高すぎる査定に飛びつくことで、かえって損をしてしまう。これが一番もったいないパターンです。
よくある質問
一番高い査定を出した会社に頼めば得ですか?
正直に言うと、そうとは限りません。本文でもお伝えしたとおり、査定額はあくまで会社の「意見」で、その金額で売れる保証ではないからです。私が現場にいた頃も、一番高い金額に飛びついた売主さんが、結局値下げを重ねて相場以下で決まる、というケースを何度も見てきました。金額の高さより、その根拠を成約事例つきで説明できるかで選んだほうが、失敗しにくいです。
査定額どおりに売れますか?
査定額は「このくらいで売れそう」という予測で、約束ではありません。本文で触れたとおり査定額と売出価格も別物で、最終的にいくらで売れるかは市場と買主との交渉で決まります。査定額を「確定した売却額」と思い込まないことが、後でがっかりしないコツです。
高い査定を出されると断りにくいです。
その場で返事をする必要はまったくありません。営業する側にいた立場から言っても、高い査定はむしろ「なぜその価格なのか」をじっくり質問していい場面です。「根拠を聞いて、他社の見立てと並べて比べてから決めます」と伝えれば十分。誠実な会社ほど、その場で急かさず待ってくれます。逆に即決を迫ってくる相手なら、一度距離を置いて考えたほうがいいくらいです。
安い査定を出す会社のほうが良心的ですか?
安い=良心的、とも言い切れません。早く売って手数料を確定させたいといった事情から、あえて低めに出す会社もあるからです。高いほうも安いほうも、見極め方は同じで、「なぜその金額なのか」を成約事例つきで説明できるかどうかを見ます。金額の大小そのものより、根拠の中身を確かめるクセをつけておくと安心です。
まとめ|査定額ではなく「根拠」で会社を選ぼう
不動産査定が高すぎる理由、そしてその見抜き方をお伝えしてきました。
ポイントをまとめると:
- 高すぎる査定の多くは、媒介契約を取るための営業手法
- 見抜くには「根拠」「期間」「査定額と売出価格の違い」の3つを聞く
- 複数社の中央値を基準にして、相場感をつかむ
- 高い査定=良い会社ではない。根拠と戦略で判断する
不動産会社を選ぶときは、一番高い査定を出してくれた会社ではなく、一番納得できる説明をしてくれた会社を選んでください。
そのほうが、結果的に高く・早く売れる可能性が高いです。
釣り査定に惑わされない一番の防御は、売主自身が相場観を持つことです。会社の査定を受ける前に、無料で資産価値の目安を確認しておきましょう。
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査定額は不動産会社によって差が出ることがあります
同じ物件でも、その会社が得意なエリアか、手元にどんな成約事例と購入希望者を持っているかによって、出てくる査定額は変わることがあります。1社の金額だけを見て「これが相場だ」と受け取ってしまうと、あとから「もっと条件のよい売り方があったのでは」と感じる原因になりがちです。金額そのものより、なぜその価格になるのかという根拠の説明を並べて比べてみてください。
複数社へまとめて査定を依頼できるのが一括査定サービスです。利用は無料ですが、申し込むと複数の会社から連絡が来る点は先に知っておきたいところです。電話のやり取りが負担なら、申込時の要望欄に「メール希望」と書き添えておく方法があります。また、査定額はあくまで各社の売却予想価格であり、その金額での成約を保証するものではありません。
まだ売ると決めていない段階なら、匿名で使える60秒の資産価値診断から始めても構いません。一括査定サービスの仕組みと選び方は不動産一括査定おすすめ比較|元仲介営業が選び方を本音で解説で詳しく解説しています。
この記事は不動産売買仲介15年の経験を持つ筆者が執筆しています。仲介手数料は個別の交渉によって異なります。複数の不動産会社を比較されることをおすすめします。
高すぎる査定に迷ったら、あわせて読みたい記事
査定額が妥当かどうかを見極めるには、査定そのものだけでなく、その後の契約や販売活動の仕組みまで知っておくと判断しやすくなります。この記事の内容と関わりの深いテーマを、次の記事でも解説しています。
- 不動産一括査定おすすめ比較|元仲介営業が選び方を本音で解説 — 複数社に査定を出す前に、サービスの選び方と注意点を確認しておく
- 専任媒介・一般媒介の違いと選び方 — 高い査定で専任契約を取りにいく手法があるからこそ、契約形態の違いを知っておく
- 不動産の「囲い込み」がついに行政処分対象に(2026年法改正) — 専任契約後に起きやすいもう一つの注意点
- 不動産売却で失敗する人の共通点5つ — 高査定への飛びつきを含む、つまずきやすいパターン
- 不動産の仲介手数料はいくら?相場と値引き交渉のコツ — 会社を選んだあとに関わる費用の目安
- 不動産売却の流れ|7ステップと期間・費用の目安 — 査定から引き渡しまでの全体像を先につかむ
くり返しになりますが、大切なのは査定額の高さそのものではなく、その金額に成約事例つきの根拠があるかです。金額の大小で会社を選ぶより、根拠を確かめるクセをつけておくと、後悔しにくくなります。


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