やってはいけない実家の相続5選|出口から考える相続の決め方

相続した実家の前でこれからの進め方を考える人のイメージ 相続

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実家を相続することになったものの、何から手をつければよいか分からず、不安を感じていませんか。「とりあえず相続しておけばいい」と考えて手続きを進めた結果、あとから兄弟姉妹の間でもめたり、空き家として維持費だけがかかり続けたりするケースは少なくありません。結論からお伝えすると、実家の相続は、相続した後に「売る・貸す・住む」のどの出口を選ぶのかを先に考えておくと、遺産分割や登記の進め方の判断がしやすくなります。この記事では、不動産売却の現場でよく見てきた失敗をもとに、やってはいけない実家の相続を5つに整理してお伝えします。焦る必要はありませんので、判断材料として読み進めてみてください。

相続した実家の前でこれからの進め方を考える人のイメージ

実家の相続は「売る・貸す・住む」の出口から逆算する

実家の相続で後悔しないための考え方はシンプルです。相続の手続きから考えるのではなく、相続したあとにその家をどうするのか、という「出口」から逆算することです。実家の出口は、大きく分けて「売る」「貸す」「住む(自分や家族が使う)」の3つしかありません。この3つのどれを選ぶかによって、遺産分割で誰が実家を引き継ぐべきか、名義をどうしておくべきか、いつ動くべきかが変わってきます。

実家の相続を売る・貸す・住むの3つの出口から考えることを示すイメージ

たとえば「売る」ことがほぼ決まっているのに兄弟全員の共有名義にしてしまうと、売却のたびに全員の合意が必要になり、話が進まなくなることがあります。逆に「特定の一人が住み続ける」なら、その人が単独で相続し、他の相続人には預貯金など別の財産で調整するほうがすっきりします。出口を決めずに手続きだけを先に進めると、あとで「こうしておけばよかった」という後戻りが発生しやすくなります。

実家を含む不動産の相続全体の流れは相続した不動産はどうする?売却・活用・放棄の判断と手続きの流れでも整理していますので、あわせて確認してみてください。まずは、出口を意識せずに進めてしまうと起きやすい「やってはいけない相続」を具体的に見ていきましょう。

やってはいけない実家の相続5選

ここからは、不動産売却の実務でよく見てきた「相続のつまずき」を5つ紹介します。いずれも、出口を先に考えていれば避けやすいものばかりです。

相続の書類を慎重に確認する手元のイメージ

1. 出口を決めないまま「とりあえず相続する」

もっとも多いのが、売る・貸す・住むのどれにするかを決めないまま、なんとなく相続してしまうパターンです。実家は、持っているだけで固定資産税や火災保険料、庭木の手入れや通水などの管理コストがかかり続けます。誰も住まない家を放置すると傷みも早く進み、いざ売ろうとしたときに価値が下がっていることもあります。「まだ気持ちの整理がつかない」という理由で判断を先送りにするのは自然なことですが、少なくとも「いつまでに方針を決めるか」という期限だけは家族で共有しておくと安心です。

2. 兄弟姉妹で安易に「共有名義」にする

相続人が複数いると、「とりあえず全員で仲良く共有名義に」という結論になりがちです。しかし共有名義の不動産は、売却も、賃貸に出すことも、大規模なリフォームも、原則として共有者全員の合意が必要です。一人でも反対すれば話が止まり、時間が経つうちに共有者の誰かが亡くなって相続が重なると、権利関係がさらに複雑になっていきます。「売る」という出口を考えているなら、共有名義は避け、誰か一人が相続して他の相続人には代償金や別の財産で調整する方法を検討したほうが、将来の出口を塞がずに済みます。

3. 誰も住まないのに「実家だから残す」を既定路線にする

「思い出のある実家だから手放したくない」という気持ちは、多くの方が抱く自然な感情です。ただ、住む予定がないまま残すという判断は、「住む」という出口が現実的かどうかを検証しないまま決めてしまう危険があります。誰も使わない家は、時間とともに空き家化し、管理不全になれば自治体から特定空家等に指定され、固定資産税の優遇が外れたり、行政指導の対象になったりする可能性もあります。残すと決めるなら「誰が・どのように使い続けるのか」まで具体的に描けているかを、一度冷静に確認してみてください。

4. 売却や活用を見据えず、相続登記や遺産分割を後回しにする

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月から義務化されており、相続の開始を知った日から一定期間内に申請しないと、過料の対象となる場合があります(2026年7月時点)。これは義務だからというだけでなく、実務上も大切です。名義が亡くなった方のままでは、売ることも、担保に入れることもできません。いざ「売る」と決めたときに登記が終わっていないと、そこから遺産分割協議や書類集めを始めることになり、売却のタイミングを逃してしまうこともあります。相続登記の義務化の詳しい内容は相続登記の義務化とは?期限・過料・手続きの流れをわかりやすく解説で解説しています。

5. 「売る」と決めた後に、進める順番を誤る

出口を「売る」に決めた後にも、注意したい落とし穴があります。よくあるのが、査定や相談をする前に、良かれと思って古家を解体して更地にしてしまうケースです。更地にすると住宅用地の固定資産税の軽減が外れて税負担が上がることがあるほか、買主によっては「古家付きのまま安く買ってリフォームしたい」というニーズもあり、解体がかえって売りにくさや手取りの減少につながることもあります。また、相続した実家を売る場合、一定の要件を満たすと相続空き家の3,000万円特別控除など税制上の特例を使える可能性がありますが、適用には期限や条件があります(2026年7月時点)。解体やリフォームの前に、売却の実務と税制の両面から順番を確認しておくことをおすすめします。専門用語が分かりにくいときは、当サイトの不動産用語集もあわせてご覧ください。

売却まで進める場合の片付け・解体・税金まで含めた全体の費用感は、実家じまいの費用はいくら?内訳と総額目安を3ケースで解説で整理しています。

出口別に見る、実家相続の決め方

ここまでの5つを踏まえ、「売る・貸す・住む」の出口別に、相続の段階で意識しておきたいポイントを整理します。

家族で実家の相続の方針を話し合うイメージ

売る場合

売却を前提とするなら、共有名義は避け、単独名義でまとめておくと売却手続きがスムーズです。相続開始からなるべく早く相続登記を済ませ、家の傷みが進む前に売却時期を検討します。相続空き家の特例など税制上の優遇には期限があるため、いつまでに売るかも含めて計画を立てておくと安心です。

売る・貸す・住むのどの出口を選ぶにしても、出発点になるのは「その実家に今どれくらいの価値があるのか」という目安です。価値の目安が分かると、遺産分割で実家をどう扱うか、売るならいつごろか、といった判断が具体的になります。無料で数分あれば確認できますので、相続の話し合いを始める前の材料にしてみてください。

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貸す場合

賃貸に出して家賃収入を得るという出口もありますが、古い戸建てはそのままでは貸しにくく、リフォームや設備更新に費用がかかることが少なくありません。空室が続けば維持費だけが出ていきますし、共有名義だと賃貸借契約の締結にも共有者の合意が必要です。貸すと決める前に、想定家賃と修繕費・管理の手間が見合うかを、売却した場合と比較して検討することをおすすめします。

住む場合

自分や家族が住み続ける、あるいはセカンドハウスとして使う場合は、その人が単独で相続し、他の相続人には預貯金など別の財産で調整すると、権利関係がすっきりします。一方で、どの出口を選んでも維持や納税の負担が重く、活用の見込みも立たない「負動産」の場合には、相続放棄という選択肢もあります。ただし、相続放棄をしても管理義務がすぐに消えるわけではないなど注意点があるため、相続放棄したら家はどうなる?管理義務と手続きの注意点で仕組みを確認したうえで、慎重に判断してください。

判断に迷ったときの相談先と、手続きを任せる選択肢

実家の相続は、不動産の評価・税金・登記・家族間の話し合いが複雑に絡み合います。「自分たちだけで判断してよいのか不安」というときは、早めに専門家に相談することをおすすめします。

相続税の試算や特例の適用可否は税理士に、相続登記や遺産分割協議書の作成は司法書士に、相続人同士でもめている場合は弁護士に、というように、内容に応じて相談先が分かれます。不動産の価格の目安や売却の進め方については、地域の不動産会社に相談するとよいでしょう。税務や法律の個別判断については、自己判断せず、有資格の専門家や自治体の窓口に確認するようにしてください。

「複数の専門家に別々に相談するのが大変」「窓口を一つにまとめたい」という場合には、相続まわりの手続きをまとめて代行してもらうサービスを利用する方法もあります。費用はかかりますが、時間や手間を大きく減らせる場合があります。

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手続きの窓口を一つにまとめたい場合の選択肢

相続登記や遺産分割協議、相続税の申告などは、司法書士・税理士・弁護士といった複数の専門家に関わります。相続人が遠方や高齢で動きづらい、財産の構成が複雑で何から手をつけるか分からない、といった場合には、相続まわりの手続きをまとめて代行してもらう選択肢もあります。

相続アシストは、税理士・司法書士・弁護士が連携し、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、不動産や預貯金の名義変更、相続税の申告などをまとめて代行するサービスです。

  • 料金の目安:基本料金は68万円(税込)〜とされています(2026年7月時点)。決して安い金額ではないので、依頼する手続きの範囲と費用が見合うかをよく確認したうえで判断してください。
  • 自分で手続きする場合との比較:相続登記だけなら自分で法務局に申請すれば、実費(登録免許税など)数万円程度で済むこともあります。時間と手間はかかりますが、費用は最も抑えられます。
  • 税理士などに単発で頼む場合との比較:相続税の申告だけを税理士に、登記だけを司法書士に、というように必要な手続きだけを個別に依頼する方法もあります。手続きが一つか二つなら、まとめて代行するより費用を抑えられることが多い点はデメリットとして押さえておきましょう。
  • 申し込み後の流れ:フォームを送信すると、担当者から電話またはメールで連絡があり、状況のヒアリングを受けたうえで、正式に依頼するかどうかを判断できます。相談の段階で断ることもできます。

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まとめ:出口から逆算すれば、実家の相続の失敗は減らせる

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 実家の相続は、相続後の「売る・貸す・住む」という出口から逆算して決めると、判断の軸が定まりやすい
  • 出口を決めない相続、安易な共有名義、住む予定のない「残す」判断、相続登記の後回しは、いずれも後で行き詰まりやすい
  • 「売る」と決めた後も、査定前の解体や進める順番の誤りで、税制上の特例や手取りを損なうことがある(2026年7月時点)
  • 売る・貸す・住むのどれを選ぶかは、実家の資産価値の目安を知ることから具体的になる
  • 税務・登記・家族間の調整は複雑なため、税理士・司法書士・弁護士・自治体窓口など専門家への相談を前提に進めると安心

実家の相続は、人生で何度も経験するものではありません。だからこそ、手続きに追われて焦るのではなく、「この家を最終的にどうしたいのか」という出口を家族で話し合うことが、後悔しない相続への近道になります。その出発点として、まずは実家の価値の目安を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

相続の方針を家族で話し合う前に、実家の資産価値の目安を知っておくと、売る・貸す・住むのどの出口が現実的かを判断しやすくなります。無料で数分あれば確認できます。

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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報をもとに作成したものであり、税務・法律上の個別の判断を保証するものではありません。相続税・登記・各種特例の適用可否など具体的な取り扱いは、税理士・司法書士・弁護士や自治体の窓口など専門家にご確認ください。

この記事を書いた人

鈴木 悠平(宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で13年、不動産エージェントとして2年、通算15年以上売買仲介に携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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