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「相続登記を司法書士に頼むと10万円くらいかかるらしい。自分でできないだろうか」と考えていませんか。結論からお伝えすると、相続人が配偶者と子どもだけ、といったシンプルな相続であれば、相続登記を自分で申請することは十分可能です。かかる費用は登録免許税(固定資産税評価額の0.4%が原則)と書類取得の実費が中心で、司法書士報酬のぶんを抑えられます。ただし、戸籍集めをはじめとした手間と時間は確実にかかります。この記事では、自分でやる場合の費用の内訳、必要書類リストと集め方、手順5ステップ、そして「自分でやるか、頼むか」の判断基準まで、実務目線で整理します。

自分で相続登記をすると費用はいくら?内訳を確認
まずは一番気になるお金の話からです。自分で申請する場合の費用は、大きく「登録免許税」と「書類取得の実費」の2つに分かれます。
登録免許税は「固定資産税評価額の0.4%」が原則
相続登記で最も大きい費用が登録免許税です。金額は原則として、不動産の固定資産税評価額の0.4%。たとえば評価額1,000万円の実家なら4万円、2,000万円なら8万円が目安です。ここで言う評価額は市場で売れる価格ではなく、毎年春ごろに届く固定資産税の納税通知書に付いている課税明細書で確認できる金額です。まずは手元の明細書を見て、ざっくり計算してみてください。
なお、評価額が低い土地などについては登録免許税の免税措置が設けられている場合があります。該当しそうな方は、法務局サイトで最新の要件を確認してみてください(2026年7月時点でも一定の免税措置が案内されています)。
書類取得の実費は、合計数千円〜1万円台が目安
もうひとつが戸籍などの書類代です。目安として、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本や改製原戸籍は1通750円程度、住民票や固定資産評価証明書は1通数百円程度とされています。被相続人(亡くなった方)の「出生から死亡まで」の戸籍は、本籍の移動や法改正のたびに分かれているため、3〜6通程度になることも珍しくありません。相続人の現在戸籍や印鑑証明書なども合わせると、全体で数千円〜1万円台に収まるケースが多い、というのが一般的な目安です。

なお、郵送で戸籍を請求する場合は、手数料を定額小為替で用意し、往復の切手代もかかります。金額そのものは小さいものの、書き方の確認や不足分の追加請求で郵送の往復が増えると、時間のコストがかさみがちです。後述する広域交付制度が使えるケースでは、窓口でまとめて取るほうが早いことが多いです。
つまり自分でやる場合の総費用は、「登録免許税+1万円前後の実費」がひとつの目安になります。評価額1,000万円の実家なら、5万円前後で名義変更まで終わる計算です。
司法書士に頼むと、報酬は数万円〜十数万円程度が一般的
一方、司法書士に依頼した場合は、上記の実費に加えて報酬がかかります。報酬は事務所や事案によって変わりますが、一般的に数万円〜十数万円程度が目安とされています。相続人の数が多い、不動産が複数ある、戸籍の収集から丸ごと任せる、といった場合は高くなる傾向です。「差額の数万〜十数万円で、書類集めと申請の手間・時間を買う」と考えると、比較しやすいと思います。
数字のイメージを挙げると、評価額1,200万円の実家(土地・建物)を自分で登記する場合、登録免許税4.8万円+実費1万円前後で合計6万円弱。同じ内容を戸籍収集から丸ごと司法書士に依頼すると、報酬を合わせて15万円前後になることもあります(いずれも2026年7月時点の一般的な目安で、事案により変動します)。この差額をどう見るかが、「自分でやるかどうか」を考える出発点になります。
必要書類リストと、効率よく集めるコツ
自分でやる場合の最大の山場が書類集めです。何が必要かをリストで押さえたうえで、負担を減らせる制度を2つ紹介します。なお、必要書類は遺言書の有無や分割の方法で変わるため、ここでは「遺産分割協議で決めた人が相続する」という一番多いパターンの代表例を挙げます。

必要書類の代表例
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍一式(戸籍・除籍・改製原戸籍)
- 被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 不動産を取得する人の住民票
- 固定資産評価証明書(または課税明細書。登録免許税の計算に使用)
- 遺産分割協議書+相続人全員の印鑑証明書
- 相続関係説明図(作成しておくと戸籍の原本を返してもらえる「原本還付」に便利)
遺言書がある場合は遺産分割協議書や全員分の印鑑証明書が不要になるなど、パターンによって組み合わせが変わります。自分のケースで何が要るかは、後述する法務局の案内窓口で確認しながら進めると迷いにくいです。
実際にやってみて多くの方が驚くのが、古い戸籍の読みにくさです。改製原戸籍などは手書きの旧字体で書かれていることがあり、家族関係を正確に読み取るのに苦労することも。読み方が分からない箇所は、市区町村の窓口や法務局の案内で確認しながら進めましょう。ここで相続人の見落としがあると手続きのやり直しにつながる場合もあるため、丁寧さが大切な工程です。
「広域交付」で、本籍地が遠くても最寄りの窓口でまとめて取れる
以前は「亡くなった親の本籍地が遠方で、役所ごとに郵送請求するのが大変」というのが定番の苦労話でしたが、現在は広域交付制度により、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村窓口で戸籍をまとめて請求できるようになっています。これで戸籍集めの負担はかなり軽くなりました。ただし、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は対象外だったり、原則として本人が窓口に出向いて顔写真付き身分証を提示する必要があったりと、例外や条件もあります。詳しくは市区町村の窓口で確認してください。
「法定相続情報一覧図」を作っておくと、戸籍一式を使い回せる
もうひとつおすすめなのが、法務局の「法定相続情報証明制度」です。集めた戸籍一式と相続関係をまとめた一覧図を法務局に提出すると、認証付きの「法定相続情報一覧図の写し」を無料で必要枚数交付してもらえます。これがあると、登記申請はもちろん、銀行の相続手続きや税務関係でも戸籍の束の代わりとして使い回せるため、手続き先が多い方ほど時短効果が大きい制度です。相続登記とセットで検討する価値があります。
作り方もシンプルで、集めた戸籍一式と自分で作成した一覧図を、被相続人の本籍地などを管轄する法務局に提出するだけです(郵送でも申出できます)。様式と記載例は法務局サイトで公開されており、相続登記の申請と同時に申し出ることもできます。銀行口座や証券など手続き先が複数ある方は、ぜひ活用を検討してみてください。
自分でやる手順5ステップと、頼むかどうかの判断基準
書類の全体像がつかめたら、あとは順番に進めるだけです。流れを5ステップで整理します。
手順は5ステップ。完了までの目安は1〜2か月
①遺言書の有無を確認し、戸籍を集めて相続人を確定する(ここが一番時間がかかります)。②相続人全員で遺産分割協議を行い、協議書を作って全員が実印を押す。③固定資産評価証明書などを取得し、登録免許税を計算する。④登記申請書を作成する(法務局サイトに様式と記載例が公開されています)。⑤不動産の所在地を管轄する法務局に、窓口・郵送・オンラインのいずれかで申請する。申請から完了までは通常1〜2週間程度、書類集めから数えると全体で1〜2か月程度を見ておくと現実的です。不備があると「補正」の連絡が来ますが、指示どおり直せば済むことが多いので、慌てず対応しましょう。
申請方法は、管轄法務局の窓口・郵送・オンラインの3つから選べます。初めての方には、その場で受け付けてもらえて不備にも気づきやすい窓口申請か、平日に時間を取りにくい方なら郵送申請が現実的です。オンライン申請も利用できますが、事前の環境準備が必要なため、一度きりの手続きのために整えるのは負担が大きいと感じる方も多いようです。郵送の場合は、登記完了後の書類を返してもらうための返信用封筒を忘れずに同封してください。
法務局の無料「登記手続案内」を活用しよう
「申請書の書き方が合っているか不安」という方は、法務局の「登記手続案内」を使ってみてください。予約制で1回20分程度、無料で申請書の書き方などを案内してもらえます。ただし、あくまで一般的な案内の場であり、書類の作成代行や個別事情への踏み込んだ判断はしてもらえません。「案内で解決しない込み入った質問が出てきたら、司法書士に相談するサイン」と考えると、切り替えの目安になります。
期限は「取得を知った日から3年以内」。義務化に注意
忘れてはいけないのが期限です。相続登記は義務化されており、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が求められます。正当な理由なく放置すると過料の対象になり得るため、「落ち着いたらやろう」と先送りしないことが大切です。義務化の詳しい期限や罰則の仕組みは相続登記の義務化の記事で解説しているので、あわせて確認してください。
※相続登記は2024年4月から義務化されています。本記事は一般的な進め方の説明で、必要書類や手続きは個別の事情で変わります。具体的な進め方に迷ったら、司法書士や管轄の法務局に確認すると安心です。
自分でやるのに向くケース・司法書士に頼んだほうがいいケース
最後に判断基準です。自分でやるのに向くのは、①相続人が配偶者と子どもだけ、②遺産分割の話し合いがまとまっている、③不動産が実家など1〜2件、という3つがそろっているケース。この条件なら、平日に役所や法務局へ動ける時間さえ確保できれば、十分現実的です。

逆に、祖父母の代の名義が残っているような数次相続(相続人が亡くなって次の相続が発生している状態)、相続人が多い・音信不通の人がいる、遺言の有効性に争いがある、といったケースは、書類も法律判断も一気に複雑になります。こうした場合は無理をせず、登記は司法書士へ、争いの調整は弁護士へと、早めに専門家を頼ったほうが結果的に早くて確実なことが多いです。
もうひとつの判断材料は、ご自身の時間です。書類集めから申請まで、平日の日中に動ける日が何日かは必要になります。仕事や介護で時間を取りにくい方、実家と今の住まいが離れている方は、費用を払ってでも司法書士に任せたほうがトータルの負担が軽いこともあります。「節約できる金額」と「かかる手間・時間」を天秤にかけて選んでください。
また、登記した実家を将来売る可能性があるなら、名義変更と並行して「いくらで売れそうか」を把握しておくと、住む・貸す・売るの判断や家族との話し合いが進めやすくなります。本格的に売却を検討する段階になったら、一括査定の使い方の記事も参考にしてみてください。
相続した家をこの先どうするか迷っているなら、まず資産価値の目安を知っておくと判断材料になります。当サイトの無料診断なら、物件情報を入力するだけで実家の資産価値の目安を確認できます。
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登記も含めてまとめて任せたい場合の選択肢
シンプルな相続なら自分で登記を進めるのが基本ですが、相続人が多い・財産の種類が多いといった事情で「登記だけでなく、相続まわりをまとめて任せたい」と感じる場合もあります。そうしたときは、専門家に一括で代行してもらう選択肢もあります。
相続アシストは、税理士・司法書士・弁護士が連携し、相続税の申告、戸籍の収集、不動産や預貯金の名義変更などをまとめて代行するサービスです。全国に対応しており、やり取りはオンラインや郵送で進められます。
- 料金の目安:基本料金は68万円(税込)からとされています(2026年時点)。決して安い金額ではないので、依頼する手続きの範囲と費用が見合うかをよく確認したうえで判断してください。
- まとめて代行が向くケース:相続人が多忙で時間を取りにくい、相続人が遠方や高齢で動きづらい、財産の構成が複雑、相続税の申告期限(相続開始から10か月)が迫っている、といった場合です。
- 個別に頼む選択肢もある:相続登記だけなら自分で申請すれば実費数万円で済み、司法書士に単発で依頼することもできます。相続税の申告だけなら税理士に個別に依頼する方法もあります。手続きが一つだけなら、まとめて代行しないほうが費用を抑えられることもあります。
- 申し込み後の流れ:フォームで申し込むと、担当者から電話またはメールで連絡があり、状況のヒアリングを受けたうえで正式に依頼するかどうかを判断できます。無料相談の段階で断ることもできます。
まとめ:シンプルな相続なら自分でも可能。費用は実費中心で抑えられる
最後に、この記事の要点を整理します。
- 自分でやる場合の費用は「登録免許税(固定資産税評価額の0.4%が原則)+書類実費数千円〜1万円台」が目安。司法書士に頼むと報酬数万円〜十数万円程度が加わる
- 山場は被相続人の出生から死亡までの戸籍集め。広域交付制度で最寄りの窓口からまとめて請求できるようになった
- 「法定相続情報一覧図」(無料)を作ると、銀行や税務の手続きでも戸籍一式を使い回せて便利
- 相続人が配偶者+子のみ・分割済み・不動産1〜2件なら自分向き。数次相続や相続人多数なら司法書士へ
相続登記には「取得を知った日から3年以内」という期限もあるため、①戸籍と課税明細書を集める、②法務局の登記手続案内を予約する、③難しいと感じたら早めに司法書士へ切り替える、の順で動いてみてください。
名義変更のあと実家をどうするかまで考えるなら、まず資産価値の目安を知っておくと家族と話しやすくなります。無料で数分あれば確認できるので、気軽に試してみてください。


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