3,000万円以下の家の売却は大手と地元どっち?「本気で売ってくれる会社」の見分け方

大手と地元どちらの不動産会社に家の売却を頼むか迷う人のイメージ 会社選び・サービス比較

自宅や実家を売ろうと思って不動産会社を探し始めると、まず迷うのが「大手に頼むべきか、地元の会社に頼むべきか」ではないでしょうか。名前を知っている大手は安心感がある一方、地元の会社のほうが親身に動いてくれそうな気もする——どちらにも一理あって、なかなか決めきれないですよね。結論から先にお伝えすると、この問題は「大手か地元か」という会社の看板ではなく、「自分の物件価格が、その会社(その店舗)の主力価格帯に対してお得意様側かどうか」で考えると、ぐっと選びやすくなります。この記事では、大手10社の一次データ(1件あたりの平均手数料)を手がかりに、あなたの3,000万円前後の物件が「歓迎される案件」なのか「後回しにされやすい案件」なのかを見分ける考え方と、価格帯ごとに本当に向いている会社の選び方を整理していきます。

大手と地元どちらの不動産会社に家の売却を頼むか迷う人のイメージ

「大手か地元か」より大事な、たった1つの判断軸

会社選びの相談を受けると、多くの方が「規模の大小」で比べようとします。でも実務の感覚から言うと、規模そのものより、その会社(正確にはその店舗)がふだんどれくらいの価格帯を主戦場にしているかのほうが、あなたの物件への向き合い方を左右しやすいのです。

結論:自分の物件が「主力価格帯のお得意様」かどうかで選ぶ

同じ「家を売る」でも、5,000万円のマンションと2,500万円の戸建てでは、会社にとっての位置づけが変わります。ある会社にとって2,500万円が「ふだん通りの案件」であれば歓迎されますが、ふだん1億円台を扱う店舗にとっては小さな案件に見えてしまうこともあります。大切なのは、あなたの物件価格が、その会社の主力価格帯の「ど真ん中」か、それとも「端っこ」かを見極めること。これが「大手か地元か」よりも実際的な判断軸になります。

会社の「主戦場」は、平均手数料単価に表れる

では、その会社の主戦場はどうやって知ればいいのでしょうか。手がかりになるのが「1件あたりの平均手数料」です。仲介手数料は成約価格に連動するため、平均単価が高い会社ほど高額物件を多く扱っている、という関係が一般的に読み取れます。次の章で、大手10社の実際の数字を見ていきましょう。

データで見る、大手10社の「1件あたり平均手数料」

ここからは、実際の一次データを見ていきます。下の数字は、2024年度(2025年3月期)の各社の仲介手数料収入を仲介件数で割った、片側あたり・単純平均の目安です(出典:不動産流通推進センター「2025不動産業統計集」および各社の決算発表)。

まず押さえておきたいのは、同じ「大手」でも1件あたりの平均手数料に大きな幅があるという事実です。会社によっておよそ170万円台から660万円台まで開きがあり、これはそれぞれの会社が主戦場にしている価格帯の違いを反映していると考えられます。数字を並べると、その会社がどんな物件を「ふだん通り」に扱っているのかが見えてきます。

不動産会社ごとの1件あたり平均手数料の違いを表すグラフのイメージ

タイプ別に見る大手10社の平均手数料

10社をタイプ別に整理すると、次のようになります(いずれも1件あたりの平均手数料の目安)。

  • 件数型の大手(全国に150店舗以上・年間3万件超):三井のリハウス 約266万円/東急リバブル 約297万円/住友不動産販売 約230万円
  • 信託・銀行系(富裕層・高額・相続案件に強い):野村の仲介+ 約535万円/三菱地所ハウスネット 約618万円/みずほ不動産販売 約664万円/三菱UFJ不動産販売 約627万円/三井住友トラスト不動産 約316万円
  • 地域密着型:東宝ハウスグループ 約207万円/積水ハウス不動産 約176万円

この10社をタイプ別に並べたランキングと、数字の細かい背景については、大手仲介10社の手数料単価ランキングの記事で詳しく解説しています。ここでは「価格帯の見分け方」に絞って読み進めてください。

3,000万円の物件は、会社によって「6分の1サイズ」の案件になる

この単価差が、あなたの物件の「見え方」に直結します。たとえば3,000万円の物件を売る場合、売主側が支払う仲介手数料は片側でおよそ105万円です(「成約価格×3%+6万円+消費税」という速算式による目安。この式は一般的な計算方法として広く使われているものです)。
この「約105万円」を、平均664万円の会社の目線で見ると、ふだん扱う案件のおよそ6分の1のサイズになります。一方、平均200万円前後の会社にとっては、ほぼ「ふだん通り」の案件です。同じ物件でも、どの会社に持ち込むかで歓迎度がまるで変わり得る——これが、単価データから読み取れる大事なポイントです。

なぜ低価格帯は「後回し」にされやすいのか

数字の差は分かった。でも、実際の営業現場ではどう影響するのでしょうか。ここは断定しづらい部分なので、あくまで「構造的にそうなりやすい傾向がある」という前提で読んでください。

営業目標が「手数料額ベース」だと、高単価案件が優先されやすい

不動産仲介の営業は、成約件数だけでなく手数料額(売上)で目標を管理するのが業界の一般的なスタイルです。すると、同じ1件の労力なら手数料の大きい案件を優先したい、というインセンティブが構造的に働きやすくなります。悪意というより、目標設計上そうなりやすい、という話です。傾向として、高単価帯を主戦場にする店舗ほど、低価格帯の案件は経験の浅い若手の担当に回りやすい、とも言われます。もちろん若手だから力を尽くさないという意味ではありませんが、「自分の案件が店舗の中でどんな位置づけか」を意識しておく価値はあります。

ただし、平均単価は「商圏の価格水準」も映している

ここで大切な補正を入れておきます。平均手数料が高い=その物件を軽く扱う、と単純化するのは正しくありません。平均単価は、その会社・店舗が構える商圏の価格水準も反映しているからです。都心の旗艦店なら平均が跳ね上がりますが、郊外の店舗にとっては3,000万円はごく普通の案件で、丁寧に扱われることも多いのです。
もう一つ、これらの数字はあくまで「平均値」であって「中央値」ではない点も押さえてください。少数の高額案件が平均を大きく引き上げている可能性があり、平均が高い会社でも中価格帯を数多く手がけていることは十分にあり得ます。さらに、単価上位の信託・銀行系は、そもそも一般の売主が気軽に依頼する先というより、富裕層や相続の大型案件が中心で、多くの読者にとっては最初から選択肢に入りにくい、という事情もあります。

低価格帯で本当に警戒すべきは「囲い込み」

「後回しにされるかも」という不安以上に、価格が手ごろな物件で気をつけたいのが「囲い込み」です。これは会社の規模を問わず起こり得るもので、価格が小さい案件ほど誘惑が働きやすい、という構造があります。

手数料が小さい案件ほど、両手仲介への誘惑は強くなる

囲い込みとは、専任媒介などで預かった物件について、自社で買主も見つけて売主・買主の両方から手数料を受け取る「両手仲介」を狙い、他社からの購入希望を意図的に断ってしまう行為です。片側だけの手数料が小さい低価格帯ほど、「どうせなら両手にしたい」という力学が働きやすく、結果として売却情報が広く出回らず、売れるまで時間がかかったり価格が下がったりしやすくなります。専任で任せる場合は、レインズ(不動産会社間の物件情報ネットワーク)への登録状況や、問い合わせ・内見の反響がきちんと報告されているかを確認すると、囲い込みに気づく手がかりになります。媒介契約の種類ごとの違いは、依頼先を1社に絞るかどうかにも関わる大切なポイントです。

囲い込みで物件情報が他社に共有されにくくなる構造を表すイメージ

「複数社に相談しておく」だけで、囲い込みは避けやすくなる

囲い込みへの一番シンプルな自衛策は、最初から複数社と接点を持っておくことです。1社だけに任せきりにせず、査定の段階から複数社の話を聞いておくと、「この会社の反響報告は他社と比べて不自然に少なくないか」といった相対的な判断ができるようになります。即決を避け、複数の目を通しておくだけで、防げるトラブルは少なくありません。

ここまで読んで「自分の物件がどの価格帯に入るのか、まず知っておきたい」と感じた方は、複数社の視点で数字を並べてみるのがおすすめです。当サイトの無料診断なら、物件情報を入力するだけで資産価値の目安を確認でき、会社選びの最初の材料として使えます。

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3,000万円以下なら、こう選ぶと失敗しにくい

ここまでの内容をふまえて、3,000万円前後以下の物件を売る場合の現実的な選び方を整理します。ポイントは「その価格帯を主戦場にしている会社」を選ぶこと。なお、相続した実家など「誰に頼むか」で兄弟とも相談したいケースは、相続した家の売却はどこに頼むべきかの記事もあわせて参考にしてください。

複数の不動産会社の査定や提案を見比べて会社を選ぶ人のイメージ

向いているのは、この3タイプ

一般的に、次のような会社はこの価格帯を「ふだん通り」に扱いやすく、相性がよいとされます。

  • 地場で件数を積んでいる有力店:そのエリアの中価格帯を数多くさばいており、買主の見込み客も抱えていることが多い
  • 地域密着型の大手:たとえば平均手数料が約207万円の東宝ハウスグループのように、まさにこの価格帯が主戦場になっているタイプ
  • 大手なら、都心の旗艦店ではなく「地元店舗」:同じ大手でも、あなたの物件があるエリアの店舗は、その商圏の価格帯に慣れている

大手は「平均点の担保」、中小は「分散が大きい」

タイプごとの傾向を大づかみにすると、大手は仕組みや研修が整っている分、担当者による当たり外れが比較的小さく「平均点が担保されやすい」といえます。一方の中小・地域密着は、素晴らしい担当者に当たれば大手以上に親身で心強い反面、会社や担当者による差(分散)が大きくなりやすい、という傾向があります。どちらが良い・悪いではなく、性格が違うということです。だからこそ、看板で決めず、実際に会って見比べることが欠かせません。

最後は「どれだけ本気か」を見比べて決める

会社のタイプで当たりをつけたら、最終的な決め手は「その担当者が、あなたの物件にどれだけ本気か」です。具体的には、査定額の根拠を成約事例つきで説明できるか販売戦略(広告の出し方・想定する買主像・売り出し価格の考え方)を具体的に提案してくれるか、そしてデメリットやリスクも正直に話してくれるか。この3点を複数社で見比べると、単価データだけでは分からない「本気度」が浮かび上がってきます。査定額の高さだけで選ぶと、高い数字で預かって後から値下げを迫る「高預かり」に当たることもあるため、あくまで根拠と提案の中身で判断するのがおすすめです。

※本記事の手数料単価は2024年度(2025年3月期)のデータをもとにした目安で、数値は毎年更新されます。出典による端数の揺れがあるほか、平均値であって中央値ではない点、件数は片側1件としてカウントしている点にご留意ください。会社選びは最新の実績や担当者の対応も含めて総合的に判断してください。

まとめ:看板ではなく「自分の物件が主力価格帯か」で選ぶ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 会社選びは「大手か地元か」より、自分の物件価格がその会社(店舗)の主力価格帯の「お得意様」側かで考えると選びやすい
  • 大手10社の1件あたり平均手数料はおよそ170万〜660万円と幅があり、その会社の主戦場の価格帯を映している。3,000万円の物件の手数料は片側約105万円が目安
  • 営業は手数料額ベースの目標が一般的で、高単価案件が優先されやすい傾向がある。ただし平均単価は商圏の価格水準も反映し、中央値ではない点に注意
  • 低価格帯で警戒したいのは「囲い込み」。レインズ登録や反響報告の確認、そして複数社との接点が自衛になる
  • 3,000万円以下なら①地場の有力店 ②地域密着型(東宝ハウス型・平均約207万円) ③大手の地元店舗が向きやすい。最後は査定根拠と販売提案の具体性で「本気度」を見比べる

大手には「平均点の担保」、中小には「親身さと分散の大きさ」という違いがあります。どちらか一方が正解ではなく、あなたの物件の価格帯と、担当者の本気度をあわせて選ぶのが現実的な答えです。まずは複数社の数字を並べて相場感をつかむところから始めてみてください。大手各社のサービス内容を横並びで比べたい場合は、大手仲介8社のサービス比較も参考になります。

複数の視点で数字を比べておくことが、その会社があなたの物件に「本気で向き合ってくれるか」を見分ける第一歩です。当サイトの無料診断なら、数分で資産価値の目安が分かるので、会社選びの最初の材料としてぜひ活用してみてください。

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この記事を書いた人

鈴木 悠平(宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で売買仲介に15年以上携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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