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親の実家を片付けて手放す「実家じまい」。初めての経験で、「何をどう進めれば失敗しないのか分からない」と不安に感じている方は少なくありません。実家じまいは、片付け・売却・家族の話し合いが同時に進むため、順番を誤ると余計な費用がかかったり、家族の関係がこじれたりしやすい作業です。この記事では、筆者が不動産の現場で見てきた「やってはいけない失敗」を、片付け段階・売却段階・家族関係の3つに分けて計9つ整理しました。よくあるつまずきと、その避け方を淡々とお伝えしますので、判断の材料として読み進めてみてください。

実家じまい全体にかかる費用の内訳や、誰がどう負担するかの考え方は実家じまいの費用はいくら?内訳と総額の目安で整理しています。本記事は、その進め方でつまずきやすいポイントに絞ってお伝えします。
実家じまいの失敗は、大きく「片付け段階」「売却段階」「家族関係」の3つの場面で起こりやすい、と考えると整理しやすくなります。片付けでは物の扱いで、売却では大きなお金の判断で、家族関係では気持ちと話し合いで、それぞれつまずきが起こります。逆に言えば、この3つの場面ごとに「やってはいけないこと」を先に知っておけば、その多くは事前に避けられます。順番に見ていきましょう。
片付け段階でやってはいけない失敗【失敗1〜3】
実家じまいで最初に手をつけるのが、家財や遺品の片付けです。気持ちの整理も必要な場面ですが、勢いで進めると取り返しのつかない失敗につながることがあります。まずは片付け段階の3つから見ていきましょう。

失敗1:中身を確認せず、まとめて処分してしまう
「どうせ古いものばかりだから」と、押し入れや引き出しの中身を確認せずに一気に処分してしまうのは、避けたい失敗の一つです。実家には、権利証や登記関係の書類、保険証券、通帳、現金、貴金属、有価証券などが、思わぬ場所にしまわれていることがあります。筆者が現場で見てきた中でも、タンスの奥や仏壇の引き出し、天袋から重要書類やまとまった現金が出てくるケースは珍しくありません。これらを誤って処分してしまうと、後の相続手続きや売却で必要な書類が見つからず、余計な手間や再発行の費用がかかることがあります。手間はかかりますが、書類・貴重品だけは一つずつ中身を確認してから処分するようにしましょう。
失敗2:家族に相談せず、形見や思い出の品を独断で処分する
片付けを任された人が、良かれと思って一人でどんどん処分を進めてしまうのも、後からもめる原因になりやすい失敗です。自分にとっては不要に見えても、ほかの兄弟姉妹にとっては大切な形見だった、ということがあります。写真、手紙、着物、記念品などは、処分してしまうと二度と戻りません。「これは捨てていいか」を家族に一声かけるだけで防げるトラブルは多いものです。判断に迷うものは無理に決めず、一旦保管箱にまとめておき、落ち着いてから家族で相談する進め方をおすすめします。急いで捨ててしまうより、少し時間を置くほうが後悔が残りにくくなります。
失敗3:料金だけで、安すぎる・許可のない回収業者を選ぶ
不用品の量が多いと、片付けを業者に頼むことになります。このとき、料金の安さだけで業者を選ぶと、後で追加費用を請求されたり、回収した不用品を不法投棄されたりするトラブルに巻き込まれることがあります。「無料回収」をうたって近づき、後から高額な料金を求める業者の相談も、消費生活センターに寄せられています。家庭から出る不用品の回収・運搬には、市区町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。この許可の有無を確認し、料金の内訳が明確な業者を選びましょう。1社で即決せず、複数社から見積もりを取って比較すると、適正な価格感がつかみやすくなります。片付け費用の相場観については、当サイトの不動産用語集もあわせて参考にしてみてください。
業者選びに不安がある場合は、加盟店のサービス内容と料金体系を統一している紹介サービスを利用する方法もあります。「遺品整理110番」(運営:シェアリングテクノロジー株式会社・東証上場)は、全国の加盟店(2026年8月時点で1,000社以上)から遺品整理業者を紹介する無料サービスで、仕分け・不用品処分・買取・搬出・簡易清掃までが基本料金に含まれています(遺品の供養や特殊清掃などは別料金、不用品回収のみの依頼は対象外です)。なお、紹介された業者であっても、この記事でお伝えしたとおり見積もりの内訳と許可の有無はご自身でも確認したうえで判断してください。
売却段階でやってはいけない失敗【失敗4〜6】
片付けの次に向き合うのが、実家という不動産をどうするかです。ここでの判断は動く金額が大きく、後戻りしにくいものが多いため、とくに慎重に進めたい段階です。売却段階の3つの失敗を見ていきましょう。

失敗4:相場を調べず、最初の一社の査定額で売り急ぐ
「早く手放して楽になりたい」という気持ちから、相場を調べないまま最初に相談した会社の査定額だけで売却を決めてしまうのは、後悔につながりやすい失敗です。不動産は同じものが二つとなく、定価がありません。そのため、査定額は会社によって差が出ることがあります。相場の目安を知らないまま話を進めると、その金額が高いのか安いのか判断できないまま契約してしまうことになります。焦って売り急ぐ前に、まずは実家の資産価値のおおよその目安を把握し、複数の視点で確認しておくことをおすすめします。
売り急いで後悔しないために、まずは実家の資産価値の目安を知っておくと、査定額が妥当かどうかを落ち着いて判断しやすくなります。無料で数分あれば確認できますので、話を進める前の下調べに使ってみてください。
失敗5:「とりあえず解体」して、税の特例や軽減を失う
古い家だから、と深く考えずに「とりあえず解体して更地にしておこう」と進めるのも、注意したい失敗です。解体には数十万円から百万円を超える費用がかかるうえ、更地にすると土地にかかる固定資産税の住宅用地の軽減措置が外れ、翌年からの税負担が増えることがあります。また、一定の要件を満たす相続した空き家を売る場合には、譲渡所得から一定額を控除できる特例(いわゆる相続空き家の3,000万円特別控除)などがありますが、解体のタイミングや要件を誤ると使えなくなることもあります。制度は改正されることがあり、要件も細かいため、2026年7月時点の情報として、解体前に税理士や自治体の窓口、不動産会社に確認することをおすすめします。相続した空き家の税の特例の考え方は相続した空き家を売るときの3000万円特別控除で解説しています。
失敗6:決めきれず、空き家のまま長く放置してしまう
「いつか決めよう」と結論を先延ばしにし、実家を空き家のまま放置してしまうのも、避けたい進め方です。誰も住まない家は傷みが早く進み、資産価値が下がりやすくなります。加えて、固定資産税や火災保険料、庭木の手入れなどの維持費はかかり続けます。管理が行き届かず周囲に危険を及ぼす状態になると、行政から「特定空家等」に指定され、固定資産税の軽減が外れたり、指導・勧告の対象になったりすることもあります。空き家を放置するリスクの詳細は空き家を放置するとどうなる?で整理しています。すぐに結論を出せなくても、管理の方法と期限だけは早めに決めておくと安心です。
家族関係でやってはいけない失敗【失敗7〜9】
実家じまいは、お金や手続き以上に「家族の気持ち」が絡む作業です。ここでのすれ違いは、その後の親族関係に長く影を落とすことがあります。最後に、家族関係でやってはいけない3つの失敗をお伝えします。

失敗7:費用負担や分け方を、口約束のまま進める
片付け費用や解体費用、売却で得たお金の分け方を、「あとで精算すればいい」と口約束のまま進めるのは、もめごとの火種になりやすい失敗です。実家じまいには、片付け・解体・登記・税金など、まとまった費用がかかります。誰がいくら立て替え、最終的にどう分けるのかを曖昧にしたまま進めると、後から「聞いていない」「不公平だ」という不満が出やすくなります。金額の大小にかかわらず、負担と配分の考え方は早い段階で家族で共有し、可能であれば簡単な書面やメッセージの履歴として残しておくと安心です。兄弟姉妹での売却や分け方でつまずきやすい点は兄弟で実家を売却するときの進め方と注意点でも触れています。
失敗8:一人で抱え込み、進め方を家族に共有しない
近くに住んでいる、時間が取れるといった理由で、特定の一人がすべてを抱え込んでしまうのもよくある失敗です。抱え込んだ本人は負担が大きく疲れてしまい、ほかの家族は「勝手に進められた」と感じてしまう、という双方にとって不幸なすれ違いが起こりがちです。すべてを平等に分担するのは難しくても、「今こういう状況で、次はこれを決めたい」と進捗を共有するだけで、家族の納得感は大きく変わります。とくに遠方に住む家族は、状況が見えないほど不安や不信を抱きやすいものです。写真を送る、電話で一言伝えるといった小さな共有の積み重ねが、後々の対立を防ぎます。決定は一人で背負わず、要所要所で家族に相談しながら進めることをおすすめします。
失敗9:名義変更や相続手続きを後回しにしたまま話を進める
実家が親の名義のままだと、そのままでは売却できません。相続した不動産の名義変更(相続登記)を後回しにしたまま片付けや売却の話だけ進めてしまうと、いざ売る段階で手続きが間に合わず、話がストップしてしまうことがあります。相続登記は、2024年4月から義務化されており、正当な理由なく手続きをしないと過料の対象になり得ます。相続人が複数いる場合は、誰がどう相続するかの話し合い(遺産分割協議)にも時間がかかります。売却を検討し始めた時点で、並行して名義や相続の手続きを進めておくと、いざというときに慌てずに済みます。手続きの個別の判断は、司法書士や自治体窓口など専門家に早めに相談すると安心です。
まとめ:実家じまいの失敗は「順番」を意識すれば避けられる
最後に、この記事の要点を整理します。実家じまいの失敗は、脅しに惑わされて焦ることからではなく、順番を意識して一手間を惜しまないことで、その多くを避けられます。
- 片付け段階:中身を確認せず一括処分しない/独断で形見を捨てない/料金だけで安すぎる・無許可の回収業者を選ばない
- 売却段階:相場を調べず売り急がない/「とりあえず解体」で税の特例や軽減を失わない/空き家のまま放置しない(2026年7月時点)
- 家族関係:費用負担や分け方を口約束で済ませない/一人で抱え込まない/名義変更や相続手続きを後回しにしない
- 判断に迷う費用や税の要件、相続手続きは、不動産会社・税理士・司法書士・自治体窓口など専門家に早めに相談すると安心
実家じまいは、人生で何度も経験するものではありません。だからこそ、一つずつ確認しながら、家族で納得できるペースで進めれば十分です。ここで挙げた失敗は、どれも「少し立ち止まって確認する」ことで避けやすくなるものばかりです。
売却段階の失敗を避ける第一歩として、まずは実家の資産価値の目安を知っておくと、その後の判断がぐっと落ち着いて進められます。無料で数分あれば確認できますので、話を本格的に進める前の下調べに役立ててください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法律・個別の取引に関する判断を保証するものではありません。制度や相場は変わることがあります。実際の手続きや判断にあたっては、2026年7月時点の最新情報をご確認のうえ、税理士・司法書士・弁護士・自治体窓口などの専門家にご相談ください。


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