不動産会社選びで「数百万円の差」が生まれる理由
家を売ると決めたとき、最初にぶつかる壁が「どの不動産会社に頼めばいいのか」です。
私は不動産売買仲介の営業マンとして13年間働いてきました。その中で、同じマンションの同じ階の部屋なのに、売却価格に300万円以上の差がついたケースを何度も見てきました。
違いを生んだのは、物件の状態ではありません。どの不動産会社に頼んだかです。
この記事では、家を売るときの不動産会社の選び方を、プロの視点から解説します。
大手・地元・特化型、3タイプの特徴を比較

不動産会社は大きく3つのタイプに分けられます。
① 大手不動産会社
三井のリハウス、住友不動産販売、東急リバブルなど。
・メリット: 知名度が高く買い手が集まりやすい。広告費を多くかけてくれる。全国対応。
・デメリット: 担当者の異動が多い。エリアの深い知識がない場合がある。両手仲介を狙う傾向がある。
② 地元密着型
地域に根づいた中小の不動産会社。
・メリット: エリアの相場や買い手の傾向を熟知している。担当者が変わりにくい。融通がきく。
・デメリット: 広告費が限られる。知名度が低いため、買い手の集客力で大手に劣ることがある。
③ 特化型
マンション専門、投資用物件専門など、特定のジャンルに強い会社。
・メリット: 専門知識が深い。そのジャンルの買い手を多く抱えている。
・デメリット: 対応エリアが限られる。物件タイプが合わないと使えない。
プロの結論: 「大手だから安心」とは限りません。大事なのは自分の物件に合った会社を選ぶことです。そのために、複数社に査定を依頼して比較するのが鉄則です。
「一括査定」の正しい使い方と注意点
複数社に査定を依頼するなら、一括査定サービスが便利です。1回の情報入力で複数社にまとめて査定依頼ができます。
ただし、使い方を間違えると逆効果になります。
正しい使い方:
- 最低3社、できれば5社に依頼する(大手2社+地元2社+特化型1社がベスト)
- 査定額だけで選ばない(次の章で詳しく解説します)
- 査定理由を必ず聞く(「なぜこの金額か」を説明できない会社は避ける)
注意点:
・一括査定を申し込むと、各社から電話がかかってきます。「メールでのやり取り希望」と備考欄に書いておくと電話攻勢を軽減できます。
・「今すぐ売る予定はないけど相場を知りたい」という使い方もOKです。
※おすすめの一括査定サービスについては、別記事で詳しく比較しています。
査定額が高い=良い会社ではない理由
これは13年の経験で最も伝えたいポイントです。
複数社から査定結果が届くと、つい一番高い査定額を出した会社を選びたくなります。でも、これが最大の落とし穴です。
なぜか?
一部の不動産会社は、媒介契約(売却の依頼)を取るためにわざと高い査定額を出すことがあります。業界では「高預かり」と呼ばれる手法です。
高すぎる価格で売りに出すと当然売れません。数ヶ月経って「値下げしましょう」と提案され、結局は適正価格か、それ以下で売ることになります。その間に物件は「長期間売れ残っている物件」という印象がつき、さらに値下げせざるを得なくなる悪循環に陥ります。
見分け方:
・5社の査定額のうち、1社だけ飛び抜けて高い → 要注意
・「なぜこの金額か」の根拠を聞いたとき、具体的な成約事例を示せない → 危険
・「うちなら高く売れます」と言うだけで戦略の説明がない → 避けるべき
媒介契約の種類と選び方
不動産会社を選んだら「媒介契約」を結びます。3種類ありますので、違いを理解しておきましょう。
| 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
|---|---|---|---|
| 依頼先 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社OK |
| 自分で買主を探す | NG | OK | OK |
| レインズ登録 | 5日以内 | 7日以内 | 義務なし |
| 報告義務 | 1週間に1回 | 2週間に1回 | なし |
| 契約期間 | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 | 定めなし |
プロのおすすめ: まずは専任媒介で始めましょう。理由は2つ。
- 会社が本気で売却活動してくれる — 1社独占なので、広告費をしっかりかけてくれます
- 定期報告がある — 2週間に1回の活動報告が義務なので、放置されるリスクが低い
3ヶ月で結果が出なければ、別の会社に切り替えるか、一般媒介に変更すれば大丈夫です。
プロが見る「信頼できる営業マン」の5つの特徴

会社選びと同じくらい大事なのが「担当する営業マンの質」です。13年間、同業者を見てきた経験から、信頼できる営業マンの特徴をお伝えします。
① デメリットも正直に話す
「この物件は○○がネックで、価格に影響するかもしれません」と正直に言える営業マンは信頼できます。良いことしか言わない営業マンは要注意。
② 具体的な売却戦略を示せる
「まずは○○万円で出して、1ヶ月反応を見て、内見が○件以下なら○○万円に調整しましょう」と、具体的な数字と期間を含む戦略を提案できる人。
③ レスポンスが早い
質問への返信が翌日以降になる営業マンは、買い手からの問い合わせにも遅い可能性が高いです。初回の連絡スピードで判断できます。
④ 他社の悪口を言わない
「あそこの会社はダメですよ」と他社を下げる営業マンは、自社の強みで勝負できていない証拠です。
⑤ 地域の成約事例に詳しい
「このマンションの○号室は3ヶ月前に○○万円で成約しました」と具体的なデータを持っている営業マンは、適正な価格設定ができます。
【実体験】会社選びで300万円の差がついたケース
私が実際に見たケースを紹介します。
同じマンションの同じ間取り、ほぼ同じ階の2部屋が同時期に売りに出ました。
・Aさん: 一括査定で5社を比較。根拠のある査定額を出した会社を選び、専任媒介で依頼。適正価格で売り出し、2ヶ月で成約。売却価格:3,480万円
・Bさん: 知人の紹介で1社だけに依頼。査定額が高かった(3,800万円)のでそのまま売り出し。半年経っても売れず、2回値下げ。最終的に売却価格:3,150万円
差額:330万円。
Bさんは「知人の紹介だから安心」と思い、比較を怠りました。さらに高すぎる査定額を鵜呑みにした結果、長期化して大きく値下げするはめになりました。
まとめ|不動産会社選びのチェックリスト
家を売るときの不動産会社選びは、売却価格に直結する最も重要な判断です。
会社選びのチェックリスト:
☑ 最低3社(できれば5社)に査定を依頼した
☑ 大手・地元・特化型をバランスよく比較した
☑ 査定額が飛び抜けて高い会社を安易に選んでいない
☑ 「なぜこの査定額か」の根拠を確認した
☑ 具体的な売却戦略の提案を受けた
☑ 営業マンのレスポンスの速さを確認した
☑ 媒介契約の種類を理解して選んだ
まずは複数社の査定を取ることから始めましょう。一括査定サービスを使えば、5分で複数社に依頼できます。
※おすすめの一括査定サービスについては、こちらの記事で詳しく比較しています。
この記事は不動産売買仲介13年の経験を持つ筆者が執筆しています。特定の不動産会社を推奨するものではありません。個別の状況によって最適解は異なりますので、複数の専門家に相談されることをおすすめします。


コメント