多摩で地価がほぼ上がらなかった街トップ10【令和8年地価公示・住宅地】最小はあきる野市・日の出町の+0.4%

朝の光の中、丘陵にひらけた郊外の住宅地を見下ろす遠景 不動産の基礎知識

多摩の住宅地は、データのある28市町村すべてで地価が上がりました。下がった街はひとつもありません。それでも、上がり方には大きな差がありました。この記事では、令和8年地価公示(国土交通省、2026年3月17日公表、価格時点2026年1月1日)をもとに、多摩地域の住宅地について、対前年の平均変動率が「低い方から」10件を並べます。

動画版: 多摩で地価がほぼ上がらなかった街TOP10(5分21秒)
朝の光の中、丘陵にひらけた郊外の住宅地を見下ろす遠景

多摩で地価上昇率が低かった街トップ10(令和8年・住宅地)

上昇率が低い順のランキング一覧

低い順の順位 市町村 変動率(対前年)
1 あきる野市 +0.4%
1 日の出町 +0.4%
3 青梅市 +0.7%
4 羽村市 +1.3%
5 福生市 +1.4%
6 瑞穂町 +1.8%
7 武蔵村山市 +2.4%
8 東大和市 +2.6%
9 清瀬市 +2.9%
10 多摩市 +3.0%

※同率は同順位として扱い、次の順位を繰り下げています(1位が2件のため、次は3位)。

多摩で地価がほぼ上がらなかった街TOP10(上昇率が低い順)の横棒グラフ。1位あきる野市・日の出町+0.4%、3位青梅市+0.7%、10位多摩市+3.0%
令和8年地価公示(国土交通省)・東京都財務局公表資料を基に作成

この順位はあくまで「上昇率が低い順」です。地価そのものの高い・安いを並べたものではありませんし、街の良し悪しを示すものでもありません。

最も低かったのはあきる野市・日の出町の+0.4%

最も上昇率が低かったのは、あきる野市と日の出町で、どちらも+0.4%でした。あきる野市は秋川の谷にひらけた市で、五日市線が拝島から武蔵五日市まで通っています。日の出町は丘陵に住宅地が開かれた町で、町内に鉄道の駅はなく、暮らしの足は主にバスと車です。どちらも自然が近く、まとまった広さの土地を確保しやすいエリアです。

トップとの差は18倍

多摩で最も上昇率が高かったのは国分寺市の+7.2%でした。最小の+0.4%と比べると、その差は18倍になります。同じ「多摩」というくくりの中で、上がり方はこれだけ違っていた、ということです。多摩全域の住宅地平均は+3.9%ですから、上位10件の低さは平均との比較でも際立ちます。

上位側の顔ぶれと「なぜ中央線沿線が上がったのか」は、対になる記事「多摩で地価が上がった街トップ10【令和8年地価公示・住宅地】」で解説しています。

この記事のデータと集計条件

出典は令和8年地価公示(2026年3月17日公表)

数字の出典は国土交通省の令和8年地価公示です。公表は2026年3月17日、価格時点は2026年1月1日。東京都財務局が公表している区市町村別・用途別の対前年平均変動率(住宅地)を用いています。地価公示で示される価格そのものの意味は、用語集の公示地価で解説しています。

対象は多摩の26市3町1村の住宅地

対象は多摩地域の26市3町1村の住宅地のみで、商業地・工業地は含みません。住宅地の標準地がない檜原村と奥多摩町は、市町村平均が公表されていないためランキングの対象外です。したがって、ランキングの母数は28市町村になります。

数字は対前年の平均変動率

ここで扱うのは、市町村内の住宅地標準地の対前年変動率の平均(単年)です。1年間でどれだけ上がったかという「上がり幅」であって、その街の地価水準そのものではありません。参考として、東京都全域の住宅地は+6.5%、区部は+9.0%、多摩全域は+3.9%でした。

畑や緑と住宅が混在する郊外の暮らしの風景

低い方から6つはすべて西多摩だった

青梅線・五日市線・八高線の沿線に集まる

上昇率が低い方から6つ(あきる野市・日の出町・青梅市・羽村市・福生市・瑞穂町)は、いずれも西多摩のエリアでした。鉄道で見ると、青梅線は立川から拝島・福生・羽村を経て青梅方面へ、五日市線は拝島から武蔵五日市(あきる野市)へ、八高線は拝島から箱根ケ崎(瑞穂町)へ向かいます。日の出町には鉄道の駅がありません。都心へ一本で出られる中央線沿線の市が上位を占めた第1弾のランキングと、ちょうど裏返しの構図になっています。

駅から離れた住宅地が多いエリア

西多摩は市域に山林や農地を多く含み、駅から離れた住宅地の割合も高くなります。標準地の平均で見ると、こうした地点の動きが穏やかだったことが、市町村全体の平均を落ち着かせた形です。ただしこれは1年間の平均値の話であって、同じ市の中でも駅前と郊外では動きが異なります。

市町村ごとの平均だけでは、その場所の暮らしやすさまでは分かりません。気になる街の周辺環境(施設・交通・ハザード)を住所から調べたいときは、無料のまちかどレポートが手がかりになります。

ローカル線の小さな駅前と静かな住宅街

上昇率が低い=悪い街、ではありません

上昇率の数字から分かること・分からないこと

上昇率から読み取れるのは、その1年の取引の勢いや需要の集まり方が穏やかだった、ということまでです。暮らしやすさ、自然環境、土地の広さ、コミュニティといった要素は、この数字には表れません。順位が下(=上昇率が低い)の街を「価値が低い街」と読み替えるのは、データの使い方として正しくありません。

取得しやすさと保有負担の増え方は緩やか

買う側から見れば、上がり方が緩やかなエリアは手が届きやすい状態が保たれます。固定資産税など保有し続けるコストの増え方も、地価が急に上がるエリアに比べれば緩やかです。広い土地や自然の近さを求める人にとっては、むしろ選びやすい条件がそろっているとも言えます。逆に、売る側から見れば価格の伸びは期待しにくい、という両面があります。

上昇率が低いエリアで土地・実家を相続したら

「待てば上がる」を前提にしない

将来の地価がどう動くかは誰にも断定できません。ただ、これまでの数字を見る限り、上昇が緩やかなエリアで「待っていれば値上がりする」ことを前提に判断するのは、リスクの取り方としては重いと感じます。待っている間も固定資産税や管理の手間はかかり続けます。生前に売るか相続後に売るかでも税金の扱いは変わるため、実家の売却タイミングの判断軸を先に押さえておくと、時期の話が具体的になります。

使う・貸す・売るの方針を早めに決める

実務でよく見るのは、方針が決まらないまま数年が過ぎ、建物の傷みや相続人の増加で選択肢が減っていくケースです。自分や家族が使うのか、貸すのか、売るのか。結論を急ぐ必要はありませんが、「いつまでに決めるか」だけは早めに置いておくことをおすすめします。売却する場合も、駅からの距離、接道の状況、土地の形によって売れ行きは大きく分かれます。何から手をつければよいか迷うときは実家の処分の最初の3ステップを、土地をそのまま売るか活用するかで迷うときは相続した土地は売るか活用するかの判断の順番を、あわせてご覧ください。

農地や山林が含まれるときは手順が変わる

西多摩を含む多摩の郊外では、相続した土地に畑や山林が含まれることも珍しくありません。農地は農地法の手続きが必要で、宅地と同じようには売買できません。手続きの全体像は農地を相続したときの手続きと5つの選択肢に、売る以外の手放し方はいらない農地を手放す5つの方法にまとめています。条件によって使える選択肢が変わるため、順番に確認してみてください。

(この記事の数値は令和8年地価公示の公表値に基づきます。制度や市況は変わるため、個別の売買・税務・法律の判断は、それぞれの専門家にご相談ください。)

木の温もりのあるリビングで夫婦が書類を見ながら相談している様子

上昇率が緩やかなエリアの土地や実家は、出口の決め方で結果が変わります。使う・貸す・売るの比較や、農地・山林を含む土地の整理の進め方について、宅地建物取引士がご相談をお受けしています。「まず何から決めればいいか」を整理するところからで構いません。
相続した土地の売却・整理を相談する
※多摩地域を中心に、相続した土地の売却相談を受け付けています。地域・物件の状況により対応できない場合があります。

よくある質問

Q. 多摩で地価の上昇率が最も低かった街はどこですか?

A. 令和8年地価公示(住宅地)では、あきる野市と日の出町がどちらも対前年+0.4%で、最も上昇率が低い結果でした。次いで青梅市が+0.7%、羽村市が+1.3%と続きます。いずれも西多摩のエリアです。なお、いずれもプラスであり、下落した市町村はありません。

Q. 上昇率が低い街は、地価が安い街ということですか?

A. 違います。ここで扱っているのは1年間の変動率(上がり幅)であり、地価の水準そのものではありません。上昇率が低くても地価水準が高い街はありますし、その逆もあります。地価水準を知りたい場合は、変動率ではなく標準地の価格そのものを確認してください。

Q. 上昇率が低いのは、その街に問題があるからですか?

A. そうとは限りません。上昇率から分かるのは、その1年の需要の集まり方が穏やかだったという事実までです。暮らしやすさ、自然環境、土地の広さ、取得のしやすさは別の軸です。上がり方が緩やかなエリアは、取得コストや保有負担の増え方も緩やかという側面があります。

Q. 上昇率が低いエリアの土地を相続しました。値上がりを待つべきでしょうか?

A. 将来の地価は誰にも断定できないため、「待てば上がる」を前提にした判断はおすすめしていません。待っている間も固定資産税や管理の手間はかかります。使う・貸す・売るのどれを選ぶか、いつまでに決めるかを先に整理し、そのうえで市況を見るという順番が現実的です。

Q. この数字はどのデータをもとにしていますか?

A. 国土交通省の令和8年地価公示(2026年3月17日公表、価格時点2026年1月1日)をもとに、東京都財務局が公表する区市町村別・用途別の対前年平均変動率(住宅地)を用いています。対象は多摩の26市3町1村で、住宅地の標準地がない檜原村・奥多摩町は対象外です。

出典

集計条件

  • データ: 令和8年地価公示(国土交通省、2026年3月17日公表、価格時点2026年1月1日)
  • 対象: 住宅地のみ(商業地・工業地は含まない) / 多摩地域26市3町1村
  • 集計: 市町村内の住宅地標準地の対前年変動率の平均(東京都財務局公表値)
  • 変動率: 対前年(単年)変動率
  • 同率順位: 同率は同順位とし、次順位を繰り下げる(4位タイの次は6位)
  • 欠損: 住宅地の標準地がない檜原村・奥多摩町はランキング対象外

本記事は一般的な情報提供を目的としています。データの集計条件、物件、時点により結論は異なります。個別の売買、税務、法律上の判断は、それぞれの専門家へご相談ください。

この記事を書いた人

鈴木 悠平(宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で13年、不動産エージェントとして2年、通算15年以上売買仲介に携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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