自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文を自分で書いて作成する遺言書です。手軽に作れる一方で、書き方のルールを守らないと無効になったり、見つからなかったりすることがあります。
自筆証書遺言をわかりやすく解説
自筆証書遺言は、民法で定められた方式に従って、遺言者が自分の意思を文書に残す方法です。基本的には、本文を自筆で書き、日付と署名をし、押印して作成します。財産目録については、パソコンで作成したり、通帳の写しなどを添付したりすることもできますが、その場合も各ページへの署名や押印などの要件があります。公証役場で作る公正証書遺言に比べると費用を抑えやすく、思い立ったときに作成しやすいのが大きな特徴です。
不動産がある相続では、誰にどの不動産を引き継がせるかをはっきり残せるため、売却や名義変更の流れを見据えた準備として役立ちます。ただし、内容があいまいだと、相続人同士で解釈が分かれたり、手続きが止まったりすることもあるため、記載の正確さがとても重要です。
実務での注意点・よくあるケース
自筆証書遺言は便利ですが、実務では次のような点に注意が必要です。
- 日付が「令和6年3月吉日」のように特定できない書き方だと、無効と判断されるおそれがある
- 「自宅の土地建物を長男に」だけでは、複数の不動産がある場合にどれを指すか不明確になることがある
- 内容が古いまま放置され、結婚・離婚・不動産の売却後に実情と合わなくなることがある
売主目線では、将来の相続人が不動産をどう処分するかを見越して、物件の所在地や地番、家屋番号までできるだけ明確に書くのが安心です。買主目線では、相続で取得した不動産の売却では、この遺言書の有無や内容が登記や遺産分割協議に影響することがあります。なお、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使えば、紛失や改ざんのリスクを減らしやすく、家庭裁判所での検認が不要になるなどの利点もあります。
よくある質問
Q. 自筆証書遺言はパソコンで作れますか?
原則として、遺言本文は本人が自筆で書く必要があります。ただし、財産目録はパソコン作成や印刷したものを添付できる場合があります。とはいえ、形式の要件が細かいため、少しでも不安があれば専門家に確認するのが安全です。
Q. 自筆証書遺言があれば、必ずそのとおりに相続されますか?
基本的には遺言が優先されますが、遺留分への配慮や、形式不備の有無、後日見つかる別の遺言の有無などによって、想定どおりに進まないこともあります。特に不動産は金額が大きく、相続人間で争いになりやすいため、内容を明確にし、保管方法にも気を配ることが大切です。
