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中古住宅の火災保険料はなぜ一律に言えないのか
中古住宅の購入を進めていくと、住宅ローンの契約と前後して「火災保険にも入ってください」と案内されます。そこで気になるのが「結局いくらかかるのか」ではないでしょうか。実は火災保険料は、同じような広さ・価格の住宅であっても、建物の構造・所在地・築年数・補償の範囲・契約年数によって大きく変わり、一律の金額を示すことができません。まずは、保険料を左右する主な要因を整理しておきましょう。

構造区分(M構造・T構造・H構造)で大きく変わる
火災保険料を左右する最大の要因のひとつが「構造区分」です。鉄筋コンクリート造のマンションなどが該当する「M構造」がもっとも保険料が割安になりやすく、耐火建築物・準耐火建築物に該当する戸建てが該当する「T構造」がその次、耐火性能の認定を受けていない一般的な木造住宅などの「H構造」がもっとも高くなりやすい傾向にあります。比較例として紹介されることが多いのは、同程度の延床面積・保険金額・補償内容であれば、H構造はT構造の1.5〜2倍程度、T構造はM構造より高めになりやすいという目安です。ただし実際の金額は保険会社や補償内容によって幅があるため、あくまで比較の目安として捉えてください。中古の木造戸建てを検討している場合は、省令準耐火構造など耐火性能の認定の有無で構造区分が変わることもあるため、不動産会社や保険会社に確認しておくと安心です。
所在地の水災リスクで保険料に差がつく
2024年10月の改定以降、水災の保険料率は全国一律ではなく、市区町村単位のリスクに応じて複数段階に細分化される仕組みに変わりました。国土交通省のハザードマップや水害統計などをもとに区分されており、水災リスクが低いとされる地域と高いとされる地域とでは、水災部分の保険料に差が生じます。つまり同じ補償内容であっても、購入する中古住宅の所在地によって、水災を含めた保険料の水準が変わるということです。
築年数が保険料と契約のしやすさに影響する
中古住宅ならではの要因として無視できないのが築年数です。一般的に、建物は古くなるほど火災や漏水などのリスクが高いとみなされやすく、築年数に応じて保険料が上がる仕組みを採用している保険会社が多く見られます。特に築20年前後、築25年前後を一つの節目として保険料の水準が変わる例もあるとされています。中古住宅は新築に比べて、この築年数の影響を最初から受けた状態で契約することになる点を押さえておきましょう。
※本セクションで触れた保険料の目安や制度の内容は2026年7月時点の一般的な情報です。実際の保険料は保険会社・補償内容・物件の状態によって異なるため、正確な金額は見積もりでご確認ください。
中古住宅ならではの注意点
新築住宅と違い、中古住宅の火災保険には気をつけておきたい固有の事情があります。ここでは代表的な2つの注意点を見ていきましょう。

築古物件は新規加入のハードルが上がることがある
築年数がかなり経過した物件では、保険会社によって新規加入を断られたり、条件付きでしか加入できなかったりするケースがあります。インターネット完結型の保険は審査が画一的なため、築年数だけで加入できないと判断されやすい一方、代理店を通す保険では、リフォーム歴や管理状態などのプラス材料を伝えることで加入できる余地が広がることもあるとされています。中古住宅の購入を検討する段階で、対象物件の築年数がどのくらいかを把握し、早めに保険会社や代理店へ相談しておくと、決済間際になって慌てずに済みます。
老朽化による水濡れリスクと免責の考え方
築年数の経過した住宅では、給排水設備の老朽化にともなう水濡れ(漏水)のリスクが高まりやすいとされています。水濡れによる保険金の支払いは近年増加傾向にあるともいわれ、保険会社によっては水濡れの補償に条件を付けたり、免責金額(自己負担額)を高めに設定することを提案されたりする場合があります。補償を厚くすれば保険料は上がり、免責を高くすれば保険料は下がる、というトレードオフの関係を理解したうえで、無理のない範囲で条件を選ぶことが大切です。
保険金額(建物の評価額)の設定に注意する
火災保険の保険金額は、購入価格そのものではなく「再調達価額」、つまり同等の建物を今建て直す場合にかかる費用をもとに設定するのが一般的です。中古住宅の場合、土地と建物の価格が一体になっているため、建物部分の評価額を保険会社側の基準で算出してもらう必要があります。保険金額を実態より低く設定してしまうと、いざというときに十分な保険金を受け取れないおそれがあるため、見積もりの際に評価額の根拠を確認しておきましょう。あわせて、ご自宅となる物件の資産価値の目安を把握しておくと、保険金額の妥当性を考える材料にもなります。当サイトの資産価値チェックでは、住所などの簡単な情報から目安を無料で確認できます。
火災保険の保険金額を考えるうえでは、建物そのものの資産価値がどのくらいなのかを把握しておくと判断がしやすくなります。契約前の一つの参考として、まずは目安だけでも確認してみてはいかがでしょうか。
補償の選び方
保険料の要因を理解したら、次は「どの補償を選ぶか」です。安さだけを基準にすると、いざというときに困る可能性があるため、次の観点を押さえて考えましょう。

水災の要否はハザードマップで判断する
火災保険は「火災」だけでなく、風災・雪災・水災・盗難・破損汚損など、補償の項目を組み合わせられる商品が一般的です。なかでも水災は保険料への影響が大きいため、付けるかどうかで迷う方が多い項目です。水災の要否を判断する材料として役立つのが、国や自治体が公開しているハザードマップです。当サイトのハザードチェッカー(https://ienomikata.jp/tools/hazard-checker.html)でも、住所を入力するだけで周辺の浸水想定区域や土砂災害警戒区域といったリスクの目安を確認できます。浸水想定区域に該当する、または近接している場合は、水災補償を外す判断には慎重になったほうがよいでしょう。逆にリスクが低いとされるエリアであれば、水災補償の要否を見直すことで保険料を抑えられる可能性もあります。
家財保険も忘れずに検討する
建物への補償だけでなく、家具・家電・衣類といった家財を対象にした「家財保険」もあわせて検討したい項目です。特に中古マンションから住み替える場合など、これまで加入していた家財保険をそのまま引き継げないケースもあるため、新居での家財の量や価値に応じて保険金額を設定し直す必要があります。家財を対象外にすれば保険料は下がりますが、火災や水災の被害で家財も失う可能性を踏まえ、必要な範囲で補償を検討しましょう。
免責金額と契約年数のバランスを考える
免責金額(自己負担額)を高く設定するほど保険料は下がる一方、被害に遭ったときの自己負担は増えます。「小さな被害は貯蓄でまかない、保険料を抑えたい」のか「小さな被害でもしっかり補償を受けたい」のか、家計の考え方に合わせて設定するとよいでしょう。契約年数についても、2022年10月以降は最長5年までとなっており、以前の最長10年契約は選べなくなっています。とはいえ、契約年数を長くするほど1年あたりの保険料は割安になる傾向は残っているとされているため、まとまった保険料を一度に払えるかどうかも踏まえて検討するのがおすすめです。
決済日から補償を効かせる段取りと地震保険、複数社比較
最後に、実際に契約を進めるうえでの段取りと、あわせて検討したい地震保険、そして保険料と補償のバランスを取るための比較の考え方を整理します。

決済日に合わせて補償を開始する段取りを組む
火災保険は、住宅ローンの決済(引き渡し)日から補償が始まるように手続きを組むのが基本です。決済日より前に補償が開始されていないと、万が一その物件で災害が起きた場合に補償を受けられません。逆に、決済が延期になった場合には補償開始日の調整も必要になります。決済日から確実に補償を効かせるための具体的な段取りやスケジュールの考え方は、火災保険はいつ入る?決済当日に震災が起きた話と現金購入の落とし穴で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
地震保険もセットで検討する
火災保険では地震・噴火・津波による損害は補償されず、備えるには地震保険を火災保険とセットで契約する必要があります。地震保険の保険料は建物の所在地や構造によって差があり、「必要かどうか迷っている」という方も少なくありません。中古の戸建てを購入する方向けに、地震保険の必要性を判断する考え方を地震保険は必要か?戸建てで検討したいポイントで整理していますので、火災保険とあわせて検討する際の参考にしてみてください。
複数社比較で保険料と補償のバランスを最適化する
ここまで見てきたように、火災保険料は構造区分・所在地・築年数・補償範囲・契約年数という複数の要因が絡み合って決まります。1社の見積もりだけで判断すると、本来もっと自分に合った補償や保険料の組み合わせがあったとしても気づけないことがあります。安さだけで選ばず、補償内容や保険金の支払い実績なども含めて複数社を比較検討することが、納得のいく契約につながります。なお、加入後に値上げの通知が届いた場合の見直し方については火災保険の見直しタイミングは?値上げ時代に確認したい4つの合図で解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
複数社の保険料や補償内容を見比べるなら、一度の入力でまとめて見積もりを依頼できる一括見積もりサービスを利用すると手間を減らせます。検討している物件の情報を手元に用意したうえで、同じ条件で各社を見比べてみてください。
まとめ:中古住宅の火災保険は要因を理解してから見積もりを取ろう
最後に、この記事の要点を整理します。
- 中古住宅の火災保険料は、構造区分(M構造・T構造・H構造)・所在地の水災リスク・築年数・補償範囲・契約年数によって大きく変わり、一律の金額は言えない
- 築年数が古い物件は新規加入のハードルが上がったり、老朽化による水濡れリスクが保険料や補償条件に影響したりすることがある
- 水災の要否はハザードマップで、家財保険や免責金額は家計の考え方に合わせて検討する
- 火災保険は決済日から補償が始まるよう段取りを組み、地震保険もあわせて検討する
- 安さだけで選ばず、複数社の保険料と補償内容を比較することが納得のいく契約につながる
中古住宅の火災保険は、購入する物件の条件によって金額も選ぶべき補償も変わってきます。焦って1社だけで決めるのではなく、まずは物件の条件を整理したうえで、複数の見積もりを比較しながら自分に合った補償を見つけていきましょう。
火災保険の補償額を考えるうえでは、住まいの資産価値の目安を把握しておくことも判断材料になります。この機会に、無料で確認できる資産価値チェックを活用してみてください。


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