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令和7年度 問7 建物賃貸借(事務所用建物)

正解番号

1

問題文は公式PDFでご確認ください

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この問題の結論

賃借人Bから屋根の修理を請け負ったCが、代金を回収できないときに建物所有者Aから取り立てられるか、という「転用物訴権」を軸にした問題。Cは義務なくAのために働いたのではなく、Bとの請負契約上の義務を履行しただけなので、Aとの関係で事務管理は成立しない(肢1が正しい)。あわせて、雨漏り修理費のような必要費は賃借人が直ちに償還請求できること(608条1項)、先取特権は当然には成立しないこと、不当利得(転用物訴権)は賃貸人が対価関係なしに利益を得た場合に限り認められること(判例)を確認する。

選択肢ごとの解説

※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。

  • 1記述は正しい ○正解肢

    論点: 賃借人との請負契約に基づいて修理した業者は、建物所有者に対して事務管理を理由に修理費を請求できるか。

    正しい。事務管理が成立するのは「義務なく」他人のために事務の管理を始めた場合である(民法697条1項)。CはBとの請負契約に基づき、自らの契約上の義務の履行として修理をしたのだから、Aのために義務なく事務を管理したとはいえず、AC間に事務管理は成立しない。したがってCはAに事務管理に基づく費用償還を請求できない。

  • 2記述は誤り ×

    論点: 賃貸人負担とされる修理費を賃借人が支出した場合、特約がなければ契約終了時まで償還請求できないのか。

    誤り。雨漏りの修理費用のように賃貸人の負担に属する必要費を賃借人が支出したときは、賃借人は賃貸人に対し「直ちに」その償還を請求できる(民法608条1項)。特約がなくても契約終了を待つ必要はない。契約終了時に償還請求するのは有益費(608条2項)であり、必要費と有益費の償還時期を入れ替えたひっかけである。

  • 3記述は誤り ×

    論点: 修理代金が未払いなら、請負人は当然に建物へ不動産工事の先取特権を行使できるのか。

    誤り。不動産工事の先取特権(民法327条)は、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければ効力を保存できない(338条1項)ので、「当然に」行使できるものではない。しかも先取特権は債務者の財産の上に成立するのが原則のところ、甲建物は債務者Bの所有物ではなくAの所有物であり、この点でも成立しない。

  • 4記述は誤り ×

    論点: 修理費用を賃借人負担とする代わりに権利金を免除していた場合でも、請負人は所有者に不当利得の返還を請求できるのか。

    誤り。判例(最判平7.9.19)は、賃借人との請負契約で建物を修理した者が所有者(賃貸人)に不当利得返還請求できるのは、所有者が「対価関係なしに」利益を受けたときに限るとする。本肢では、権利金を支払わない代償として修理費用をB負担とする特約があり、その負担と権利金が見合っていた以上、Aは修理による利益を対価を伴って受けたことになり、「法律上の原因なく」利得したとはいえない。したがってCはAに不当利得返還請求できない。

間違えやすいポイント

「建物が直って得をしたのは所有者Aなのだから、CはAに請求できてよいはず」という素朴な感覚で肢1・4を処理すると間違える。Cの働きはあくまでBとの契約の履行であり、代金回収リスクは契約相手Bの無資力リスクとしてCが負うのが原則。Aへの請求が例外的に認められるのは、Aがタダで(対価関係なしに)利益を得たといえる場合の不当利得だけである。また肢2の「必要費は直ちに・有益費は終了時」の入れ替えは超定番のひっかけなので即答できるようにしたい。

覚え方

「契約でやった仕事に事務管理なし」「タダ儲けした大家にだけ転用物訴権」「必要費はスグ、有益費は出るとき(契約終了時)」

類似オリジナル問題で理解度チェック

※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。

【オリジナル問題】Aを賃貸人、Bを賃借人とする建物賃貸借契約における費用の負担に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、費用負担に関する特約はないものとする。

  1. 1Bが雨漏りの修繕費用(Aの負担に属する必要費)を支出した場合、Bは、賃貸借契約の終了を待つことなく、直ちにAに対してその償還を請求できる。
  2. 2Bが建物の価値を増加させる有益費を支出した場合、Bは、支出後直ちにその全額の償還をAに請求できる。
  3. 3Bが必要費を支出した場合であっても、Bは、賃貸借契約の終了時でなければAに償還を請求できない。
  4. 4建物に修繕が必要であることをBがAに通知したにもかかわらず、Aが相当の期間内に修繕をしないときであっても、Bは自ら修繕をすることができない。

関連論点の問題