令和5年度 問12 借地借家法(借家・賃貸人たる地位の移転等)
正解番号
3
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令和5年度試験問題PDF(不動産適正取引推進機構)を開くこの問題の結論
建物賃貸借(普通借家。定期建物賃貸借・一時使用目的を除く)についての基本論点。正しいのは肢3で、賃貸人たる地位の留保に関する民法605条の2第2項の規定により、譲渡人・譲受人が『地位を譲渡人に留保する旨』と『譲受人が譲渡人に賃貸する旨』の両方を合意したときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。期間の下限(1年未満は期間の定めなしとみなす)、賃料減額しない特約の効力、賃料増額請求の要件などの正誤判断が問われる。
選択肢ごとの解説
※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。
- 1記述は誤り ×
論点: 期間を1年未満と定めた建物賃貸借は、期間1年の契約とみなされるか。
誤り。建物賃貸借で期間を1年未満とする定めをしたときは、『期間の定めがない建物の賃貸借』とみなされる(借地借家法29条1項)。『期間1年の契約とみなす』のではない。期間の定めがない借家は、正当事由を備えた解約申入れ等により終了する。
- 2記述は誤り ×
論点: 『一定期間は賃料を減額しない』旨の特約は、賃料が不相当になっても有効か。
誤り。借家の賃料増減請求権(借地借家法32条)は強行的な性格を持ち、一定期間『増額しない』特約は有効だが、『減額しない』特約は賃借人に不利であり効力を有しない。したがって、現行賃料が不相当になった場合、賃借人はこの特約にかかわらず減額を請求できる。
- 3記述は正しい ○正解肢
論点: 建物の譲渡に際し、地位を譲渡人に留保し譲受人が譲渡人に賃貸する旨を合意すれば、賃貸人たる地位は譲受人に移転しないか。
正しい。賃借人が対抗要件(建物の引渡し等)を備えた不動産が譲渡された場合、賃貸人たる地位は原則として譲受人に移転する(民法605条の2第1項)。ただし、譲渡人と譲受人が『賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨』および『その不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨』を合意したときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない(同条2項)。本肢はこの要件を満たす。
- 4記述は誤り ×
論点: 賃料増額請求は、現行賃料が定められてから一定期間が経過しなければ認められないか。
誤り。借地借家法32条の賃料増額請求は、租税等の増減・地価の変動その他の事情により賃料が不相当となったときに認められるもので、条文上『一定期間の経過』を要件とはしていない。契約時から間もない場合でも、事情変更により賃料が不相当になれば増額請求は可能である(減額請求も同様)。
間違えやすいポイント
①借家で期間1年未満は『期間の定めなし』とみなす(借地の存続期間ルールや『1年とみなす』と混同しない)。②賃料の『増額しない特約は有効・減額しない特約は無効』は借地の地代と同じ非対称。③賃料増減請求に『一定期間の経過』という時間要件はない(不相当になれば足りる)。④肢3の605条の2第2項は近年頻出の論点で、『留保+転貸の合意』の二段構えを正確に。
覚え方
「借家の1年未満は“期間の定めなし”」「賃料も“上げない特約○・下げない特約×”」「増額請求に“何年経過”はいらない、不相当になればOK」「地位の留保は“留保する+譲受人に貸す”の二点セット」
類似オリジナル問題で理解度チェック
※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。
【オリジナル問題】AがBに建物を賃貸し、Bが引渡しを受けている場合の建物賃貸借(定期建物賃貸借を除く)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1AB間で期間を6か月と定めたときは、その建物賃貸借は期間の定めがないものとみなされる。
- 2AがCに建物を譲渡した場合、AとCが地位をAに留保する旨のみを合意すれば、AがCに当該建物を賃貸する合意がなくても、賃貸人たる地位はCに移転しない。
- 3AB間で『契約から3年間は賃料を減額しない』旨を定めた場合、その特約は有効であり、Bは3年間賃料の減額を請求できない。
- 4Aは、現行賃料の定めから一定の期間が経過しなければ、Bに対して賃料の増額を請求することができない。