令和4年度 問12 借地借家法(借家):定期建物賃貸借・敷金
肢1は定期建物賃貸借の事前説明を「書面」の交付で行うことを前提とする。令和4年5月18日施行の改正で、この事前説明書面は賃借人の承諾を得れば電磁的方法により提供することができるようになった。もっとも肢1が誤りとされる理由は、説明書面が『契約書とは別個独立の書面でなければならない』(賃貸借契約書の交付・説明では足りない)という点にあり、書面か電磁的方法かに関わらず結論は変わらないため lawStatus は current とした。
正解番号
1
問題文は公式PDFでご確認ください
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令和4年度試験問題PDF(不動産適正取引推進機構)を開くこの問題の結論
定期建物賃貸借と敷金の基本を問う問題で、誤っているものを選ぶ形式。正解は1。定期建物賃貸借の事前説明は、契約書とは別個独立の書面を交付して行う必要があり(判例)、契約内容を記載した賃貸借契約書を交付して説明するだけでは要件を満たさない(肢1=誤り)。他の肢は、引渡しによる対抗力(肢2)、居住用200㎡未満の中途解約権(肢3)、明渡しが先で敷金返還が後という関係(肢4)で、いずれも正しい。
選択肢ごとの解説
※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。
- 1記述は誤り ×正解肢
論点: 更新がなく期間満了で終了する旨を記載した賃貸借契約書を交付して説明すれば、定期建物賃貸借を締結できるか。
誤り。定期建物賃貸借を締結するには、あらかじめ、建物の賃貸人が賃借人に対し、契約の更新がなく期間の満了により賃貸借が終了することを記載した書面を交付して説明しなければならない(借地借家法38条)。判例は、この事前説明の書面は、契約書とは別個独立の書面であることを要するとしており、契約内容を記載した賃貸借契約書を交付して説明するだけでは足りない。「賃貸借契約書を交付して説明すれば締結できる」とする点が誤り。
- 2記述は正しい ○
論点: 定期建物賃貸借か否かにかかわらず、賃借人は引渡しを受けていれば、後に建物を購入した者に賃借人であることを主張できるか。
正しい。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗できる(借地借家法31条)。Aは甲建物の引渡しを受けているので、その後に建物を購入したCに対して、定期建物賃貸借であるか否かにかかわらず、賃借人であることを主張できる。
- 3記述は正しい ○
論点: 定期建物賃貸借で中途解約禁止特約があっても、やむを得ない事情で居住が困難になれば、賃借人は解約を申し入れられるか。
正しい。居住の用に供する建物(床面積200平方メートル未満)の定期建物賃貸借では、転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人は解約の申入れをすることができ、この規定に反する賃借人に不利な特約は無効である(借地借家法38条)。本件は床面積100平方メートルの居住用建物なので、中途解約禁止特約があってもAは解約の申入れができる。
- 4記述は正しい ○
論点: 期間満了で終了する場合、賃貸人は建物の返還を受けるまで敷金を返還しなくてよいか。
正しい。賃貸人の敷金返還義務は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物(建物)の返還を受けたときに、未払賃料等を差し引いた残額について生じる(民法622条の2第1項1号)。建物の明渡しと敷金の返還は同時履行の関係に立たず、明渡しが先履行である。したがって、Bは甲建物の返還を受けるまでは、Aに対して敷金を返還する必要はない。
間違えやすいポイント
定期建物賃貸借の事前説明は、『契約書とは別の書面』を交付して説明することが必須で、契約書自体で兼ねることはできない(肢1)というのが最頻出のひっかけ。敷金は「明渡しが先、返還が後」で同時履行にならない点(肢4)、居住用200㎡未満の定期借家では中途解約権が法定される点(肢3)も定番。建物賃借権は登記でなく『引渡し』で対抗力を得る(借地借家法31条)ことも押さえる。
覚え方
「定期借家の事前説明は“契約書とは別の紙”がいる」「敷金は“出てから返す”(明渡しが先)」「借家の対抗力は“カギを渡した引渡し”で足りる(31条)」
類似オリジナル問題で理解度チェック
※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。
【オリジナル問題】居住の用に供する甲建物(床面積80平方メートル)の定期建物賃貸借に関する次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。なお、事前説明は賃借人の承諾を得て電磁的方法により行われたものとする。
- 1定期建物賃貸借の事前説明は、賃借人の承諾を得れば電磁的方法により行うことができ、この場合でも説明の内容は契約書とは別に提供する必要がある。
- 2定期建物賃貸借の事前説明は、契約書に更新がない旨を記載しておけば、別途の書面や電磁的方法による提供を省略できる。
- 3賃借人は、やむを得ない事情で居住が困難になっても、中途解約を禁止する特約があれば解約を申し入れることはできない。
- 4賃貸人は、賃貸借が終了すれば、建物の返還を受ける前であっても直ちに敷金を返還しなければならない。