イエノミカタ 過去問解説DB

令和3年度(10月試験) 問3 個人事業主の死亡と契約上の地位の相続(いくつあるか)

権利関係#相続#賃貸借(民法)現行法対応済

正解番号

4

問題文は公式PDFでご確認ください

著作権に配慮し、本サイトでは問題文の全文を掲載していません。お手元で公式PDFの【問 3】を開いてから解説をお読みください。

令和3年度(10月試験)試験問題PDF(不動産適正取引推進機構)を開く

この問題の結論

個人事業主Aの死亡で、Aが結んでいた各契約上の地位が相続されるか・契約が終了するかを問う問題。ア・イ・ウ・エはいずれも誤りで、誤っているものは四つ。正解は肢4。準委任・使用貸借の借主の死亡による終了、賃貸人の地位の当然承継、売買契約が相続で存続する点を整理すれば全肢が判定できる。

選択肢ごとの解説

※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。

  • ア記述は誤り ×

    論点: 清掃の準委任契約を結んでいた者が死亡した場合、その相続人は特約がなくても清掃業務を行う義務を承継するか。

    誤り。委任・準委任契約は当事者の一方の死亡によって終了する(民法653条1号、656条)。清掃の準委任契約は受任者Aの死亡で終了するため、Aの相続人が特段の合意なしに清掃業務を行う義務を承継することはない。よって本記述は誤り。

  • イ記述は誤り ×

    論点: 賃貸人が死亡した場合、その相続人は借主に催告し返答がなければ賃貸借を賃貸人の死亡を理由に解除できるか。

    誤り。賃貸人Aの死亡により、賃貸人の地位はそのまま相続人に承継され、賃貸借契約は当然に存続する。賃貸人の死亡は契約の終了原因でも解除原因でもないため、相続人が催告のうえ『死亡を理由に解除する』ことはできない。よって本記述は誤り。

  • ウ記述は誤り ×

    論点: 売主が土地の引渡し・残代金決済の前に死亡した場合、その売買契約は原始的に履行不能となって無効になるか。

    誤り。売買契約上の売主の地位は相続の対象であり、Aの死亡によって契約が無効になることはない。相続人が売主の地位を承継し、引渡しや登記移転などの義務を負う。そもそも『原始的不能』は契約成立時から履行が不可能な場合をいい、契約後の売主死亡はこれに当たらない。よって本記述は誤り。

  • エ記述は誤り ×

    論点: 建物を借りている借主が死亡した場合、その相続人は使用貸借の借主の地位を相続して建物を使用できるか。

    誤り。使用貸借は借主の死亡によって終了する(民法597条3項)。無償で貸すという貸主の好意は借主個人に向けられたものだからである。本問で借主に当たるのはAであり(貸主はE)、Aの死亡で使用貸借は終了するため、Aの相続人が借主の地位を相続して建物を使用することはできない。よって本記述は誤り。

間違えやすいポイント

エの『AがE所有の建物について貸主Eとの間で使用貸借契約を締結』という表現で、AとEのどちらが借主か混乱しやすい。E所有の建物をAが借りているのだから、借主はA。借主Aの死亡で使用貸借は終了する(賃貸借とは異なり、借主の死亡が終了原因)。委任・準委任も使用貸借も『人的信頼にもとづく契約は当事者の死亡で終了しやすい』のに対し、賃貸借・売買のような財産的契約は地位が相続で承継される、という対比で覚えるのが近道。

覚え方

「委任・使用貸借は“人が死ねば終わり”/賃貸借・売買は“地位が受け継がれる”」。使用貸借は借主が死ぬと終了(貸主が死んでも続く)点に注意。

類似オリジナル問題で理解度チェック

※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。

【オリジナル問題】契約の当事者の一方が死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 1使用貸借の貸主が死亡した場合、使用貸借は当然には終了せず、貸主の地位は相続人に承継される。
  2. 2委任契約の受任者が死亡した場合でも、委任事務が未了であれば、受任者の相続人が当然にその事務を承継して処理する義務を負う。
  3. 3建物賃貸借の賃貸人が死亡した場合、賃貸借契約は終了し、相続人は賃借人に建物の明渡しを請求できる。
  4. 4土地の売主が引渡し前に死亡した場合、売買契約は原始的不能により無効となり、売主の相続人は履行義務を負わない。

関連論点の問題