特定空家に指定されたらどうなる?固定資産税6倍の誤解と対処法4つ

特定空家に関する自治体からの通知を落ち着いて確認する人のイメージ 不動産売却

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「自治体から空き家についての通知が届いた」「特定空家に指定されたらどうなるのか不安」——そんな気持ちで検索された方は多いと思います。結論から言うと、特定空家に指定された段階では、まだ固定資産税は上がりません。税負担が重くなるのは、指定後に改善が見られず「勧告」という次の段階に進んだときです。この記事では、特定空家に指定される要件、指定後の流れ、税金が変わるタイミング、2023年の法改正、そして指定を解除するための対処法まで、不動産の現場目線でやさしく整理します。今の段階でできることは、まだ十分にあります。

特定空家に関する自治体からの通知を落ち着いて確認する人のイメージ

特定空家とは?指定される4つの要件をやさしく解説

まず押さえておきたいのが、「特定空家」がどんな空き家を指すのかという点です。すべての空き家が対象になるわけではなく、法律で定められた要件に当てはまる場合に、自治体が指定します。

特定空家の助言指導から行政代執行までの段階的な流れを示すイメージ

①倒壊など保安上危険のおそれがある状態

空家対策特別措置法にもとづき、自治体が特定空家として指定を検討する代表的な状態のひとつが、そのまま放置すると倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態です。柱や基礎の傾き、屋根や外壁の破損が進んでいるケースなどが目安とされています。

②衛生上有害となるおそれがある状態

屋根や外壁が破損したまま放置され、悪臭が発生している、害虫やねずみが発生しているといった、衛生上有害となるおそれがある状態も対象になり得ます。近隣からの相談・通報がきっかけで自治体が現地確認に入ることもあるとされています。

③適切な管理が行われず著しく景観を損なっている状態

庭木が伸び放題で建物が覆われている、看板やトタンが剥がれかけているなど、適切な管理が行われないことで著しく景観を損なっている状態も、指定の要件のひとつです。

④その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切な状態

立木の枝が道路にはみ出して通行の妨げになっている、動物のふん尿による臭気があるなど、周辺の生活環境を守るうえで放置が不適切と判断される状態も含まれます。これら4つの要件は、国のガイドラインで示された目安であり、実際の判断は自治体が現地調査のうえで総合的に行います。同じような外観でも、自治体や周辺状況によって判断が分かれることもあるとされているため、ご自身の空き家がどう扱われそうか気になる場合は、所在地の市区町村の空き家対策担当窓口に相談してみるのが確実です。

特定空家に指定されたらどうなる?助言・指導から行政代執行までの流れ

ここが今回いちばんお伝えしたいポイントです。特定空家に「指定」されても、その瞬間に何かが強制されるわけではありません。対応には段階があり、各段階で所有者が対応する機会が用意されています。順番に見ていきましょう。

管理不全空家の状態を確認する様子のイメージ

①助言・指導:まずは改善のお願いから始まる

特定空家に指定されると、自治体からまず「助言・指導」という形で、状態の改善を求める通知が届くのが一般的な流れです。この段階では、まだ固定資産税などの税負担に変化はありません。庭木の伐採や破損箇所の修繕など、求められている内容に沿って対応すれば、次の段階に進まずに済む可能性が高い時期です。

②勧告:この段階で住宅用地の特例が外れる

「特定空家に指定されたら固定資産税が6倍になる」という話をよく見かけますが、正確には、指定の時点ではなく「勧告」を受けた段階で影響が出ます。助言・指導に対応しないまま状態が改善されないと、自治体は「勧告」に進むことがあります。住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を最大6分の1に軽減する「住宅用地の特例」がありますが、特定空家として勧告を受けると、この特例の対象から外れ、土地の固定資産税が本来の水準まで上がり得ます。「6倍」という数字は、この特例(最大1/6)が外れて元の税額に戻ることを指しており、指定=即座に6倍という理解は正確ではありません。助言・指導の段階で改善すれば、この特例解除は避けられる余地があります。

③命令:正当な理由なく従わないと過料の対象になり得る

勧告を受けてもなお改善が見られない場合、自治体は「命令」を出すことがあります。命令に正当な理由なく違反した場合は、過料の対象になり得るとされています。この段階まで進むと、対応の猶予はかなり限られてきます。

④行政代執行:自治体が代わりに解体し、費用は所有者に請求される

命令にも従わない状態が続くと、最終的に自治体が所有者に代わって解体などを行う「行政代執行」に至ることがあります。行政代執行にかかった費用は、後日所有者に請求されます。解体費用は建物の規模や立地で大きく変わりますが、決して小さな金額ではなく、行政代執行という強制的な形で進むこと自体、所有者にとって望ましい結果とは言えません。

※特定空家等への対応の流れ・要件・税の扱いは、空家対策特別措置法にもとづく一般的な仕組みです。実際の運用は自治体や個別の状況によって異なります。本記事は2026年7月時点の一般的な説明であり、ご自身の空き家がどの段階にあるか、今後どう扱われるかについては、所在地の市区町村の空き家対策担当窓口にご確認ください。

特定空家の通知が届くと不安になりますが、多くの場合はまだ助言・指導の段階です。この先どうするか判断する材料として、まずご自宅の資産価値の目安を知っておくと、家族での話し合いもしやすくなります。

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2023年の法改正で新設された「管理不全空家」にも注意

空家対策特別措置法は2023年12月に改正法が施行され、空き家対策の対象が広がりました。ポイントは「管理不全空家」という新しい区分です。

空き家の今後の対応について家族で前向きに話し合うイメージ

特定空家になる「前」の段階でも指導・勧告の対象に

改正法では、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態、たとえば窓ガラスが割れたまま放置されている、換気が行われず腐朽が進んでいるといった空き家を、自治体が「管理不全空家」として指導の対象にできるようになりました。管理不全空家に対して指導を行っても改善されず「勧告」に至ると、特定空家と同じように、住宅用地の特例が外れる対象になり得ます。

以前より早い段階から税負担の影響が出る可能性がある

つまり、以前は「倒壊寸前のよほど深刻な状態」になってから初めて特定空家の話が出てくるイメージでしたが、改正後はその手前の段階から自治体の関与が始まる可能性があるということです。とはいえ、管理不全空家の指定・運用は自治体によって差があるとされています。心配な場合は、自己判断せずに市区町村の窓口へ問い合わせておくと安心です。空き家の管理や活用の考え方全般については空き家放置のリスクと固定資産税6倍の仕組みの記事もあわせて参考にしてください。

指定を解除するには?改善・解体・売却という3つの選択肢

ここからは対処法です。特定空家に指定された、あるいは指定されそうだと分かった段階でも、打てる手は複数あります。大きく分けると「改善する」「解体する」「売却する」の3つです。

①指摘された箇所を改善し、指定の解除を目指す

庭木の伐採、破損箇所の修繕、残置物の撤去など、自治体から指摘された内容に対応することで、状態が改善したと認められれば、特定空家の指定が解除される可能性があります。「まだ住宅として使う」「将来的に賃貸や売却を考えている」という場合は、まず改善を検討する価値があります。何をどこまで直せば解除の対象になるかは物件ごとに異なるため、担当窓口に具体的な改善内容を確認しておくと進めやすくなります。

②解体して更地にする(注意点も確認しておく)

老朽化が激しく、改善よりも解体のほうが現実的な場合もあります。解体費用の目安や内訳の読み方は30坪の解体費用相場と内訳の見方の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。ただし注意点が2つあります。ひとつは、建物を解体して更地にすると、建物がなくなることで住宅用地の特例そのものが対象外になり、勧告前であっても土地の固定資産税が上がる場合があること。もうひとつは、解体費用を先に負担する必要があることです。自治体によっては空き家解体の補助金制度が用意されている場合があるため、着工前に自治体窓口へ確認しておくと安心です。

解体を検討する場合は、まず複数の業者から見積もりを取り、内訳を比較することが大切です。東証上場企業が運営し全国対応・相談無料で利用できる窓口もあるので、一人で抱え込まず専門家に条件を伝えて比較してみましょう。

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③そのまま、または解体して売却する

使う予定がないなら、売却も有力な選択肢です。古家付きのまま売る方法と、解体して更地として売る方法があり、どちらが有利かは立地や建物の状態、周辺の土地需要によって変わります。特定空家に指定された物件でも、内容によっては古家付きのまま買い取ってもらえる場合があるため、諦める前に不動産会社へ相談してみることをおすすめします。「相続放棄すれば手放せるのでは」と考える方もいますが、相続放棄は空き家だけでなく預貯金なども含めた相続全体に関わる判断で、期限もあります。検討する場合は早めに弁護士や司法書士に相談してください。

迷ったら、まず今の価値と状態を把握することから

改善・解体・売却のどれを選ぶにしても、判断の土台になるのは「今の空き家にどのくらいの価値があるか」です。価値を知ることは売却を決めることとイコールではなく、あくまで選択肢を比べるための材料集めです。特定空家の通知を受けて焦る気持ちも分かりますが、各段階でまだ打ち手は残っています。落ち着いて、ひとつずつ進めていきましょう。不動産関連の言葉が分かりにくいと感じたら不動産用語集もあわせてご活用ください。

まとめ:特定空家に指定されても、各段階でまだ打ち手がある

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 特定空家は「倒壊等の危険」「衛生上有害」「著しく景観を損なう」「周辺の生活環境保全のため放置が不適切」の4要件を目安に自治体が指定する
  • 流れは①助言・指導→②勧告→③命令→④行政代執行の順。住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がり得るのは「勧告」の段階で、指定された瞬間に自動的に6倍になるわけではない
  • 2023年12月施行の改正法で「管理不全空家」が新設され、特定空家になる前の段階でも指導・勧告の対象になり得るようになった
  • 指定を解除するための対処は「改善」「解体」「売却」の3つ。どれを選ぶにも、まず今の価値と状態を把握することが判断の土台になる

特定空家の通知が届くと不安になりますが、多くのケースは助言・指導の段階から始まり、各段階で対応の機会が用意されています。①自治体からの通知内容を確認する、②指摘箇所を改善できるか検討する、③難しければ解体・売却も含めて選択肢を比べる、の順で少しずつ進めてみてください。

選択肢を比べる第一歩は、今の資産価値を知ることです。無料で数分あれば目安が分かるので、ご家族や自治体窓口に相談する前の準備として活用してみてください。

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この記事を書いた人

鈴木 悠平宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で売買仲介に15年以上携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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