令和4年度 問19 旧・宅地造成等規制法(規制区域内の許可・届出・造成宅地防災区域)
本問は出題当時の宅地造成等規制法(旧法)に基づく出題である。令和5年5月26日に盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が全面施行され、旧法は抜本改正された。規制区域が「宅地造成等工事規制区域」および新設の「特定盛土等規制区域」へ再編され、規制対象が農地・森林を含む土地全般に拡大し、許可基準も強化された。また造成宅地防災区域の指定要件も整理された。用語(宅地造成工事規制区域→宅地造成等工事規制区域など)や条番号も変わっているため、学習は現行の盛土規制法で行うこと。以下の解説は出題当時の旧法で正誤を示し、現行法での扱いを各肢で補足する。
正解番号
4
問題文は公式PDFでご確認ください
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令和4年度試験問題PDF(不動産適正取引推進機構)を開くこの問題の結論
誤っているものは肢4で、正解は4。造成宅地防災区域の指定要件を「盛土の高さ5m以上」だけと思い込ませるのがひっかけの軸。旧法上、造成宅地防災区域は規制区域外の一団の造成宅地について指定でき、その基準には『盛土面積3,000㎡以上かつ盛土により地下水位が上昇しているもの』など高さ5m未満でも該当しうるものが含まれる。したがって「盛土の高さが5m未満なら一律に指定できない」とは言えず、肢4が誤り。肢1(除却工事の届出)・肢2(切土による崖の許可)・肢3(所有者等の常時安全維持の努力義務)はいずれも正しい。
選択肢ごとの解説
※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。
- 1記述は正しい ○
論点: 宅地造成工事規制区域内で排水施設の除却工事を行う場合、一定の場合を除き知事への届出が必要か。
正しい(旧法)。宅地造成工事規制区域内で、高さ2mを超える擁壁や排水施設等の全部または一部の除却工事を行おうとする者は、許可を受けて行う工事等の一定の場合を除き、工事に着手する日の14日前までに都道府県知事へ届け出なければならないとされていた(旧法15条の届出)。防災上重要な既存施設を無届けで撤去させないための届出制である。現行の盛土規制法でも、宅地造成等工事規制区域内における擁壁・排水施設等の除却工事について同様の届出が定められている。
- 2記述は正しい ○
論点: 規制区域内で高さ3mの崖を生ずる切土工事は、都計法29条の開発許可を受けた場合を除き、着手前に知事の許可が必要か。
正しい(旧法)。宅地造成工事規制区域内で行う宅地造成のうち、切土で高さ2mを超える崖を生ずるものは、宅地造成に該当し都道府県知事の許可が必要であった。高さ3mの崖を生ずる切土はこれに当たる。ただし都市計画法29条1項・2項の開発許可を受けて行われる工事で、その許可の内容に適合するものは重ねての許可を要しない旨の調整規定があるため、本記述は正しい。現行法でも許可対象規模・許可の要否の枠組みは維持されている(規模基準は政令で定められる)。
- 3記述は正しい ○
論点: 規制区域内で過去に造成工事が行われた宅地を、造成主と異なる現在の所有者が持っている場合、その所有者は宅地を常時安全な状態に維持する努力義務を負うか。
正しい(旧法)。宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者・管理者・占有者は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならないとされていた(旧法16条1項の保全義務)。この努力義務の主体は現在の所有者等であり、過去に工事を行った者(造成主)が誰であるか、現在の所有者が造成主と異なるかどうかは関係ない。したがって、過去に造成が行われた宅地を造成主と異なる者が現に所有している場合でも、その現所有者が常時安全維持の努力義務を負う本記述は正しい。現行の盛土規制法でも所有者等の同旨の努力義務が維持されている。
- 4記述は誤り ×正解肢
論点: 規制区域外に盛土で造成された一団の造成宅地で、盛土の高さが5m未満なら、知事は造成宅地防災区域に一切指定できないか。
誤り。造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域「外」で、盛土等により造成された一団の造成宅地のうち、地震等により崩落等の災害が生ずるおそれが大きいものについて指定できる。その指定基準は政令で複数定められており、「盛土をした土地の面積が3,000㎡以上で、かつ盛土により地下水位が盛土前の地盤面を超えて盛土内部に浸入しているもの」のように、盛土の高さが5m未満でも該当しうる要件が含まれる(ほかに一定勾配の地盤上で高さ5m以上の盛土、といった基準もある)。したがって「盛土の高さが5m未満なら指定できない」とは言えず、盛土の高さだけを指定の可否の基準とする本記述が誤り。現行法では造成宅地防災区域の指定要件・区域が整理されているため、現行の盛土規制法で学ぶこと。
間違えやすいポイント
①造成宅地防災区域の指定基準を「盛土5m以上」だけと覚えていると肢4を正しいと誤認する。実際は『盛土面積3,000㎡以上+地下水位上昇』のように高さ5m未満でも該当する基準があるため、「5m未満なら指定できない」は言い過ぎ。②旧法では「規制区域内」の工事は許可・届出、「規制区域外」の一団の造成宅地は造成宅地防災区域という別建ての制度である点を混同しやすい。③所有者等の常時安全維持は「努力義務」で、主体は現在の所有者等(造成主が誰かは無関係)。④令和5年5月に盛土規制法へ全面移行し、区域名・指定基準・農地森林を含む対象範囲が変わっているため、旧法の細かい数字をそのまま現行試験対策にしないこと。
覚え方
「規制区域の“中”は許可・届出、“外”の古い盛土は造成宅地防災区域」「防災区域の指定は“高さ5mだけ”じゃない——面積3,000㎡+地下水でもアウト」。ただし現行は“盛土規制法”に総入れ替え、旧法の数字は上書きして覚え直す。
類似オリジナル問題で理解度チェック
※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。
【オリジナル問題・現行の盛土規制法ベース】宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」には地方自治法に基づく指定都市等の長を含むものとする。
- 1宅地造成等工事規制区域内において行う盛土等に関する工事の許可の対象となるかどうかは、農地や森林を宅地にする工事に限られ、農地を農地のまま造成する工事は一切対象とならない。
- 2宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、その土地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。
- 3宅地造成等工事規制区域内で行う工事の許可を受けた者は、工事が完了しても都道府県知事の検査を受ける必要はない。
- 4造成宅地防災区域は、宅地造成等工事規制区域内の造成宅地についてのみ指定することができる。