不動産査定が高すぎるのはなぜ?元営業マンが教える釣り査定の見抜き方

不動産売却

一括査定を使ったら、A社は3,200万円、B社は3,300万円、C社は3,100万円。ここまではまあ分かる。

でもD社だけ3,800万円

「え、そんなに高く売れるの?」と思う反面、「なんかおかしくない?」とも感じる。

その直感、正しいです。

不動産業界では、わざと高い査定額を出して媒介契約を取りにいく手法が昔から存在します。業界では「釣り査定」と呼ばれることもあります。

この記事では、仲介営業を13年やってきた筆者が、なぜ高すぎる査定が出るのか?どうやって見抜けばいいのか?を、査定を出す側の視点からお伝えします。

なぜ不動産会社は高すぎる査定を出すのか?

結論から言うと、「まず契約を取りたいから」です。

もう少し詳しく、3つの理由を説明します。

理由1|媒介契約を取ることが最優先だから

不動産会社は、売主と「媒介契約」を結ばないと、そもそも販売活動ができません。つまり、契約を取れなければ売上はゼロ

だから一部の会社は、こう考えます。

「まず高い金額を見せて契約を取ろう。売れなければ後から値下げしてもらえばいい」

これが釣り査定の正体です。最初に高い査定を出して専任媒介契約(※1社だけに任せる契約)を取り、その後「やっぱり反響が少ないので価格を下げましょう」と持ちかけるわけです。

理由2|一括査定では「他社に勝つ」必要がある

一括査定サイトでは、同時に3〜6社に査定を依頼するのが一般的です。不動産会社の側からすると、横並びで比較されることが分かっている

そうなると、「正直な金額を出したら他社に負ける」と考える会社が出てきます。

実際、売主さんの多くは「一番高い金額を出してくれた会社」に好印象を持ちます。営業マンもそれを分かっているから、つい査定額を盛りたくなる。これが構造的な問題です。

理由3|売主は「高く言ってくれる会社」を選びがち

これは売主さん側の心理の話です。

3社の査定で「3,200万円」「3,300万円」「3,800万円」と出たら、3,800万円の会社に頼みたくなるのが人間です。

でも冷静に考えてみてください。

査定額は「この金額で売れます」という約束ではありません。

査定額はあくまで不動産会社の「意見」です。売れるかどうかは市場が決めます。高い査定=高く売れる、ではないんです。

釣り査定を見抜く3つのチェックポイント

では、どうすれば高すぎる査定を見抜けるのか? 現場にいた経験から、この3つを聞けばほぼ分かります。

チェック1|査定の根拠(成約事例)を具体的に聞く

「なぜこの金額なのか?」と聞いてみてください。

信頼できる会社は、近隣の成約事例(実際に売れた価格)を出して説明します。「同じマンションの○号室が半年前に○○万円で成約しました。お部屋の階数と向きを考慮して…」という感じです。

一方、根拠が曖昧な会社は「このエリアは人気なので」「今は売り時ですから」など、ふわっとした説明しかできません。ここで差が出ます。

チェック2|「この価格で何ヶ月で売れますか?」と聞く

この質問はかなり効きます。

高い査定を出した会社に「じゃあこの金額で、何ヶ月くらいで売れる見込みですか?」と聞いてみてください。

誠実な会社なら、「この価格だと3〜6ヶ月くらい。もう少し下げれば2〜3ヶ月で決まる可能性が高いです」と現実的な見通しを話してくれます

歯切れが悪くなったり、「出してみないと分かりません」としか言えない場合は、その査定額に自信がない証拠です。

チェック3|査定額と売出価格の違いを説明できるか

意外と知られていませんが、「査定額」と「売出価格」は別物です。

  • 査定額 = 不動産会社が考える「おそらくこのくらいで売れる」金額
  • 売出価格 = 実際に市場に出す価格(交渉余地を見て、査定額より少し高くすることも多い)

この違いをきちんと説明してくれるかどうかで、その会社の誠実さが分かります。「査定額=売出価格」として話を進める会社は要注意です。

正しい査定額はどう判断すればいい?

「じゃあ結局、どの金額を信じればいいの?」という疑問が出てきますよね。

複数社の「中央値」を基準にする

一番シンプルな方法は、複数社の査定額の真ん中あたりを基準にすることです。

例えば4社で「3,100万円・3,200万円・3,300万円・3,800万円」なら、3,200万〜3,300万円あたりが相場感。3,800万円はやはり高すぎると判断できます。

成約事例を自分でも確認する

もう少し踏み込むなら、レインズ・マーケット・インフォメーション(国土交通省が運営)で、近隣の成約事例を自分で調べることもできます。無料で使えるので、査定額が妥当かどうかの参考になります。

「高い=悪」とは限らない

ひとつ補足しておくと、相場より高い査定が全部ダメというわけではありません

「最初は強気で出して、反響を見ながら調整していきましょう」という戦略として高めに出すケースもあります。大事なのは、その理由と出口(いつまでに、いくらまで下げるか)を明確に説明してくれるかどうか。

根拠と戦略があるなら、高めの査定でも信頼してOKです。

高すぎる査定に飛びついて失敗するパターン

最後に、実際によくある失敗パターンをお伝えします。

「高い査定→専任契約→売れない→値下げ→また売れない→結局相場以下で成約」

この流れ、本当に多いんです。

最初に相場より500万円高く出して、3ヶ月売れない。200万円下げてまた2ヶ月。さらに200万円下げて…と繰り返すうちに、ポータルサイト上で「ずっと掲載されている物件」になってしまう

買う側からすると、「何ヶ月も売れ残っている=何か問題があるのでは?」と思うのが自然です。結果として、最初から適正価格で出していれば3,300万円で売れたものが、3,000万円でしか売れなかった、ということが起きます。

高すぎる査定に飛びつくことで、かえって損をしてしまう。これが一番もったいないパターンです。

まとめ|査定額ではなく「根拠」で会社を選ぼう

不動産査定が高すぎる理由、そしてその見抜き方をお伝えしてきました。

ポイントをまとめると:

  • 高すぎる査定の多くは、媒介契約を取るための営業手法
  • 見抜くには「根拠」「期間」「査定額と売出価格の違い」の3つを聞く
  • 複数社の中央値を基準にして、相場感をつかむ
  • 高い査定=良い会社ではない。根拠と戦略で判断する

不動産会社を選ぶときは、一番高い査定を出してくれた会社ではなく、一番納得できる説明をしてくれた会社を選んでください。

そのほうが、結果的に高く・早く売れる可能性が高いです。


この記事は不動産売買仲介13年の経験を持つ筆者が執筆しています。仲介手数料は個別の交渉によって異なります。複数の不動産会社を比較されることをおすすめします。

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