仲介手数料の値引き、「言い方」で結果が変わります
「仲介手数料って値引きできますか?」
この質問、13年間の不動産営業マン時代に何百回と聞かれました。
結論から言うと、値引きできるかどうかは「何を言うか」より「どう言うか」で決まります。
同じ「安くしてほしい」でも、営業マンが「この人のためにがんばろう」と思う言い方と、「この人の物件は後回しにしよう」と思う言い方があるんです。
この記事では、13年間「値引きされる側」にいた私が、交渉が通る言い方・嫌われる言い方を本音で解説します。
※仲介手数料の計算方法や相場を知りたい方は、先にこちらの記事をご覧ください → 仲介手数料はいくら?相場と値引き交渉
まず知っておくべき前提|営業マンの「気持ち」の話
値引き交渉の話をする前に、1つだけ知っておいてほしいことがあります。
不動産の営業マンは、歩合給で働いている人がほとんどです。
仲介手数料が値引きされると、会社の売上だけでなく、営業マン個人の収入が直接減ります。
だから「手数料を安くしてください」と言われたとき、営業マンの頭の中では2つの計算が同時に走ります。
- この値引きを受けて、この顧客と良い関係を築けるか?
- 値引き分の収入減を、他の仕事で取り返せるか?
この営業マンの心理を理解しているかどうかで、交渉の結果が大きく変わります。

値引き交渉が「通る言い方」3パターン
13年間で「この人には値引きしてもいいな」と思った言い方を紹介します。
① 「御社に決めたい。最後の一押しとして手数料の相談をさせてほしい」
これが一番通ります。
ポイントは 「あなたに頼みたい」という意思表示が先にある こと。
営業マンは「この人は本気で依頼してくれる」と確信できれば、社内で値引き交渉をがんばる理由ができます。上司に「この値引きを受ければ確実に契約になります」と言えるからです。
逆に、「まだどこにするか決めてないけど、安くなるなら検討する」というスタンスだと、営業マンは「値引きしても他社に行かれるかもしれない」と判断して、交渉に応じません。
② 「売却と購入の両方をお願いしたい。まとめてお願いする分、少し考慮してもらえないか」
住み替えの場合に使える最強の言い方です。
売却と購入をセットで依頼すると、営業マンは2件分の手数料を得られます。合計で考えれば十分な売上になるため、1件あたりの手数料を少し引いても「トータルでプラス」と判断できます。
NG例: 「売却も購入も頼むんだから当然安くしてくれますよね?」
→ 「当然」というニュアンスが入ると、営業マンの心証が悪くなります。あくまでも「相談」のスタンスで。
③ 「手数料を〇〇万円にしてもらえたら、今日この場で専任媒介を結びたい」
金額と条件を明確にする言い方です。
営業マンが最も困るのは「安くして」だけで具体的な数字がない交渉です。いくら引けばいいのかわからないと、社内稟議も通せません。
「半額にして」は論外ですが、端数カット(例:105.6万円→100万円)や10〜20%程度の値引きであれば、現実的な交渉ラインとして検討してもらえます。
営業マンに「嫌われる言い方」4パターン
次に、13年間で「この人の物件は正直やりたくない」と思ってしまった言い方です。これをやると、値引きされないだけでなく、売却活動そのものの質が落ちるリスクがあります。
① 「他社は手数料半額って言ってましたよ」
嘘でも本当でも、これを言われると営業マンは一気に冷めます。
理由: 「安さで会社を選ぶ人は、手数料分の仕事しか期待していない」と判断されるからです。それに、本当に半額の会社があるなら「どうぞそちらへ」と思うのが正直なところです。
また、競合を引き合いに出す交渉は信頼関係を壊します。 不動産取引は数ヶ月かけて進めるもの。最初から駆け引きで始まった関係は、途中でトラブルになりやすいです。
② 「ネットで調べたら値引きできるって書いてあった」
間違いではないのですが、この言い方は営業マンのプライドを刺激します。
「ネットの情報>目の前のプロの意見」という構図になるので、「じゃあネットの情報で売却してください」と内心思われます。
値引きの知識を持っていること自体は良いことです。ただ、それを武器にするのではなく、あくまで「相談」の材料にするのがコツです。
③ 査定依頼の段階で「手数料いくらになりますか?」
まだ査定もしていない、物件も見ていない段階で手数料の話をされると、営業マンは「この人は自分の物件の価値より手数料の方が気になるのか」と思います。
値引き交渉のベストタイミングは、査定結果を聞いて、売却戦略の提案を受けた後。 つまり「この人(会社)に頼もう」と決めてからです。
④ 「知り合いは無料でやってもらったらしい」
知人の事例を持ち出すのもNGです。
なぜなら、取引の条件は1件ずつ違うからです。知人の物件が高額だった、両手仲介だった、など値引きに応じられた理由があったはずです。
そもそも「知り合いの話」は営業マンにとって検証しようがない情報。交渉材料としての説得力がありません。
値引き交渉のベストタイミングは「契約直前」

13年の経験から断言します。値引き交渉は「契約が決まった後」が最も成功率が高いです。
売却の場合:
買い手が見つかって成約が決まった後。このタイミングなら、営業マンの仕事はほぼ終わっています。「ここで手数料の相談に応じなかったら契約がなくなる」という状況は、営業マン側にとっても避けたいのです。
購入の場合:
購入申込書を出す直前。「この物件に決めます。手数料だけ相談させてください」は、営業マンにとって最も断りにくいタイミングです。
逆に最悪なタイミング:
媒介契約を結ぶ前に値引きを要求すること。売却活動が始まる前に手数料を削られると、営業マンはその物件の優先順位を確実に下げます。 手数料が安い案件より、満額もらえる案件に時間を使うのは当然です。
そもそも「手数料の値引き」より効果的な方法がある
最後に、13年の経験から一番伝えたいことを書きます。
仲介手数料を数万円〜数十万円値引きするより、物件を数百万円高く売る(安く買う)方が、はるかにお得です。
例えば、3,000万円の物件の仲介手数料を10%値引きしても、節約できるのは約10万円。
でも、腕の良い営業マンが相場より100万円高く売ってくれたら、手数料を満額払っても手取りは90万円増えます。
手数料を値引きしてモチベーションの下がった営業マンに安く売られるより、手数料は満額払って、全力で高く売ってもらう方が賢い選択かもしれません。
大切なのは、手数料の安さではなく営業マンの質。信頼できる営業マンを見つけるためには、複数の不動産会社を比較することが第一歩です。
まとめ|仲介手数料の値引きで損しないために
通る言い方:
☑ 「御社に決めたい。最後の一押しとして相談させてほしい」
☑ 「売却と購入をまとめてお願いする分、考慮してもらえないか」
☑ 「手数料〇〇万円なら、今日専任媒介を結びたい」
嫌われる言い方:
✗ 「他社は半額って言ってた」
✗ 「ネットに値引きできるって書いてあった」
✗ 査定前に手数料の話をする
✗ 「知り合いは無料だったらしい」
大原則:
- 交渉のベストタイミングは契約直前
- 「安くして」ではなく「相談させてほしい」のスタンス
- 手数料の値引きより物件価格の最大化を優先する方が得
この記事は不動産売買仲介13年の経験を持つ筆者が執筆しています。仲介手数料は個別の交渉によって異なります。複数の不動産会社を比較されることをおすすめします。


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