古家付き土地のまま売る?更地にする?違いと判断基準5つを解説

受け継いだ古い家を前に売り方を考える人のイメージ 不動産売却

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「親から受け継いだ古い家、解体して更地にしてから売ったほうがいいの?」という質問は、売却相談の中でも特に多いもののひとつです。結論から言うと、迷ったら「古家付きのまま不動産会社に相談する」のが安全です。理由はシンプルで、解体は一度やってしまうと取り返しがつかないから。特に再建築ができない土地を更地にしてしまうと、価値が大きく下がるおそれがあります。この記事では、古家付きのまま売る場合と更地にして売る場合のメリット・デメリット、判断基準5つ、後悔を減らす実務的な進め方を、不動産の現場目線で整理します。

受け継いだ古い家を前に売り方を考える人のイメージ

古家付き土地と更地、どっちで売る?まず結論と全体像

最初に、両者の違いをざっくりつかみましょう。どちらにも一長一短があり、「常にこちらが有利」という答えはありません。物件とエリア次第で結論が変わります。

迷ったら「古家付きのまま相談」が安全な理由

大事なのは順番です。古家付きのまま売り出して、途中から更地に切り替えることはできますが、逆はできません。解体したあとで「この土地は建て替えできない土地だった」「解体しないほうが高く売れた」と分かっても、建物は戻ってこないのです。まずは現状のまま専門家に相談し、判断材料をそろえてから決める。これが失敗の少ない順番です。

なお、どちらの形で売るかは「どんな買主に買ってほしいか」を決めることでもあります。古家付きならリノベーション派と解体前提派の両方、更地なら新築派が中心。ターゲットが変わると、広告の見せ方も価格の付け方も変わってきます。この視点を持っておくと、このあとの比較も、不動産会社からの提案も理解しやすくなるはずです。

古家付きと更地のメリット・デメリット比較

古家付きのまま売る場合のメリットは、①解体費を先に払わなくていい、②固定資産税の軽減(住宅用地の特例)が売却まで維持される、③リノベーション目的の買主なら建物に価値が付くこともある、という3点です。一方デメリットは、買主が解体費を見込むぶん値引き交渉されやすいこと、古びた見た目の印象で敬遠される場合があることです。

古家付き土地と更地の選択肢を比較するイラスト

更地のメリットは、①買主が土地の使い道をイメージしやすく、エリアによっては早く売れる傾向がある場合もある、②土地の形状や状態をそのまま見せられる、③新築用地を探す買主層に届きやすい、という点。デメリットは、解体費の先出しが必要なこと、固定資産税が上がること、そして再建築不可の土地では大きな価値下落につながりかねないことです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

古家付き土地のまま売る方法と注意点

築年数が経った家の売却では、「古家付き土地」として売り出すのが一般的な方法です。まずはこちらから解説します。

「古家付き土地」として土地値で売るのが一般的

築年数がかなり経過した木造住宅は、建物としての市場価値がほとんど評価されないことが多く、その場合は「古家付き土地」——土地がメインで建物はおまけ、という位置づけで、土地値ベースで売り出します。買主は「解体して新築する人」か「リフォーム・リノベーションして住む人」が中心です。中古住宅を手頃に買って自分好みに直したい層は一定数いるため、建物の状態によっては思わぬ評価が付くこともあります。

売り出しの広告では「古家付き土地(現況渡し)」「土地※上物あり」といった表記が使われます。中古一戸建てとして出すか、古家付き土地として出すかで、検索で見つけてもらえる買主層が変わるため、どちらの見せ方にするかも不動産会社と相談して決めましょう。

メリット:解体費ゼロ・税負担そのまま・リノベ需要も拾える

古家付きで売る最大のメリットは、解体費(木造30坪で90〜150万円程度が2026年7月時点の目安)を先に用意しなくていいことです。さらに、家が建っている間は土地の固定資産税に住宅用地の特例が適用され続けるため、売却活動が長引いても税負担が急に増える心配がありません。お金を先に出さず、税負担も現状のまま、解体派とリノベ派の両方の買主に当たれる。手堅い売り方と言えます。

古家の状態を落ち着いて確認するイメージ

注意点①:解体費分の値引き交渉を受けやすい

買主が解体前提の場合、「解体費がかかるので、その分安くしてほしい」という交渉を受けやすくなります。あらかじめ解体費の相場を把握しておくと、過大な値引き要求かどうかを見分けられ、根拠を持って交渉に臨めます。相場感は30坪の解体費用の相場と内訳の記事で確認できます。

注意点②:契約不適合責任の範囲を契約書で明確に

もうひとつ大事なのが契約内容です。古い建物は、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害などが見つかる可能性があり、売主が負う「契約不適合責任」の範囲をどう定めるかがポイントになります。古家付き土地では「現況渡し」とし、建物の不具合について売主の責任を免除する特約を付けるのが一般的ですが、どこまで免責されるかは契約書の書き方次第です。不動産会社に説明してもらい、契約前に内容をしっかり確認しましょう。

見た目の印象は、ひと手間でかなり変えられる

古家付きのデメリットとして挙げた「見た目で敬遠される」は、実はある程度カバーできます。室内の残置物を片付ける、庭木を剪定する、玄関まわりを掃除するなど、費用をかけすぎない範囲で第一印象を整えるだけでも、内覧時の受け止められ方は変わります。買主は「この家に手を入れて住めるか」「更地にしたらどんな土地か」を想像しに来るので、その想像の邪魔になるものを減らしてあげるイメージです。

とはいえ、片付けや剪定に手をかける余裕がない、古家をそのまま今すぐ手放したいという場合には、直接買取という選択肢もあります。「訳あり物件買取センター」は、老朽化した古家や再建築不可・共有持分などの物件を、残置物の片付けや解体をせずに現況のまま買い取ってもらえる場合があるサービスで、対象エリアは東京都、住宅ローンを完済済みの物件が対象です。申込み後にかかってくる電話で物件の状況を伝えると、そのまま現地査定の日程まで決められます。

【訳あり物件買取センター】

※売買契約の内容や責任の範囲は契約書で決まり、税金の取り扱いも個別の事情で変わります。本記事は一般的な説明です。契約で不安な点は契約前に不動産会社や必要に応じて弁護士に、税金は税理士やお近くの税務署にご確認ください。

更地にして売る方法と注意点

次に、解体して更地で売る場合です。分かりやすさという強みがある一方、費用と税金、そして見落とすと怖い確認事項があります。

更地のメリット:買主が使い道をイメージしやすい

更地の強みは分かりやすさです。土地の広さや形、日当たりをそのまま見せられるため、新築用地を探している買主が計画を立てやすく、エリアによっては早く売れる傾向がある場合もあります。買主側から見れば「古い建物の撤去」という手間と費用がなくなるので、「早く建てたい」層には響きやすい売り方です。

デメリット①:解体費の先出しと固定資産税の増加

一方で、更地にするにはまず解体費がかかります。木造30坪で90〜150万円程度(2026年7月時点の一般的な目安。付帯工事で変動)を、売れるかどうか分からない段階で先に支払うことになります。詳しい内訳は解体費用の記事にまとめています。

さらに見落とされがちなのが固定資産税です。住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」で税負担が軽減されていますが、更地にするとこの特例が外れ、土地の固定資産税が上がります。固定資産税は翌年1月1日時点の状況をもとに課税されるため、解体して年をまたぎ、売却が長引くほど、上がった税額を払い続けることに。「早く売れるかも」というメリットと、「売れ残ったときの負担増」というリスクが表裏一体になっています。

たとえば秋に解体して年内に売れなかった場合、翌年は上がった税額を負担しながら売却活動を続けることになります。解体の時期を決めるときは、「1月1日をどの状態で迎えるか」を意識しておくと、避けられる負担を減らせます。

デメリット②:再建築不可の土地は、解体前の確認が欠かせない

ここがこの記事でいちばん強調したいポイントです。建築基準法には接道義務というルールがあり、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していない土地には、新しい建物を建てられないとされています。いわゆる「再建築不可」の土地です。こうした土地では、いまの建物を解体してしまうと新築ができないため、古家付きなら「リフォームして住める家」として売れたはずのものが、更地にした瞬間「建物を建てられない土地」になり、価値が大きく下がるおそれがあります。

接道の要件や運用は地域・個別の状況で異なるため、解体を決める前に、役所(建築指導課など)や不動産会社に再建築の可否を確認してください。ここだけは省略しないでほしいステップです。再建築が難しいと分かった場合の売り方は、再建築不可物件を売却する方法で解説しています。

更地にして売る方向に傾いたら、まず解体費の総額を正確につかむことが先決です。東証上場企業が運営する「解体工事110番」なら、全国どこでも条件に合った解体業者に無料で見積もりを相談できます。

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判断基準5つと実務的な進め方

ここまでの内容を、実際の判断に使えるチェックリストに落とし込みます。

どっちで売るかを決める判断基準5つ

  • ①再建築できる土地か(最重要):再建築不可なら解体は原則避けたい。役所や不動産会社に確認を
  • ②建物の状態と想定される買主層:手を入れれば住めそうな家なら、古家付きの価値が出やすい
  • ③解体費を先に出せるか:資金に余裕がなければ、古家付きが現実的
  • ④売却までの時間的余裕:長引く可能性があるなら、更地化による固定資産税の増加が重くなる
  • ⑤エリアの需要:新築用地の需要が強い地域か、中古リノベ需要のある地域かで有利な形が変わる

このうち①と②は物件側の事情、③と④は売主側の事情です。①がクリアできても、③の資金や④の時間に余裕がなければ、無理に更地にする必要はありません。逆に条件がそろっているなら、更地での売り出しが有力な選択肢に入ってきます。

⑤のエリア需要は、一般の方が自分で見極めるのが難しい部分です。地域の売買事例を日々見ている不動産会社の見立てを聞くのが近道で、会社選びに迷ったら不動産会社の選び方の記事も参考にしてください。

実務の進め方:両パターンの想定査定を出してもらう

実務としておすすめしたいのは、解体を決める前に不動産会社へ相談し、「古家付きのまま売る場合」と「更地にして売る場合」の両方の想定査定を出してもらうことです。「更地想定の価格−解体費−増える固定資産税」と「古家付きの価格」を並べれば、感覚ではなく数字で比較できます。会社によって見立ては変わるため、複数社の意見を聞くと判断の精度が上がります。

不動産会社の担当者に売り方を相談するイメージ

査定を依頼するときは、「解体すべきか迷っている」と正直に伝えるのがコツです。地域の需要を踏まえて「このエリアなら古家付きで十分動きます」「新築用地の引き合いが強いので更地想定の価格も出しましょう」といった具体的な提案をもらいやすくなり、比較材料が早くそろいます。

解体は「買主が決まってから」でも遅くない

比較の結果、更地のほうが有利という結論になっても、先に解体する必要はありません。「引き渡しまでに売主の負担で解体して更地にする」という条件で契約する更地渡しという方法があり、これなら売れることが確定してから解体費を出せます。固定資産税が上がった状態で売れ残るリスクも避けられる、実務ではよく使われるやり方です。契約条件の細かい設計は不動産会社が組み立ててくれるので、「更地渡しも検討したい」と伝えてみてください。

どちらの売り方が合うかを考える第一歩は、いまの価値の目安を知ることです。当サイトの無料診断なら、物件情報を入力するだけで自宅や実家の資産価値の目安が分かります。

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まとめ:解体は取り返しがつかない。両方の査定を見てから決めよう

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 迷ったら「古家付きのまま不動産会社に相談」が安全。あとから更地に切り替えることはできるが、逆はできない
  • 古家付きは解体費の先出しが不要で、固定資産税の住宅用地特例も売却まで維持される
  • 更地は買主がイメージしやすい反面、解体費と固定資産税の増加が先行し、売れ残ると負担が積み上がる
  • 再建築不可の土地は解体で価値が大きく下がるおそれがある。解体前の再建築可否の確認が最優先

次の行動としては、①再建築の可否を確認する、②「古家付き」と「更地」両方の想定査定を出してもらう、③更地が有利なら「更地渡し」の条件も検討する、の順で進めると、数字にもとづいて落ち着いて判断できます。

ご実家や自宅の「いまの価値」が分かると、家族との相談も不動産会社との話もぐっと進めやすくなります。無料で数分あれば目安を確認できるので、最初の一歩としてぜひ活用してみてください。

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この記事を書いた人

鈴木 悠平(宅地建物取引士・2級FP技能士)

銀行系不動産会社で売買仲介に15年以上携わり、新潟・八王子/府中・池袋など特性の異なるエリアで、売主・買主双方の立場から半期100件以上のご相談に対応してきました。「知らないだけで損をしてしまう」ケースを現場で数多く見てきた経験から、不動産売買で損をする人を一人でも減らすことを目指し、当サイト「イエノミカタ」を運営しています。

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