マンション売却で、売主が最も結果に影響を与えられるのは「内覧」です。
媒介契約を結んで、広告を出して、内覧が入るまでは不動産会社の仕事。でも、内覧当日と内覧前の準備だけは売主の仕事。そしてここで差がつきます。
15年仲介の現場にいた立場から言うと、同じ物件・同じ価格でも、内覧対応の差で「2ヶ月で売れる売主」と「半年売れない売主」に分かれます。
この記事では、内覧前・当日・事後の3フェーズで、売れる売主がやっていることを全部解説します。

内覧前:1週間前からの準備がすべて
内覧依頼が入ったら、まず1週間前から動き始めます。当日だけ頑張っても遅い。
掃除・整理整頓は「ホテルの部屋レベル」を目指す
とにかく「生活感を消す」ことが目的です。具体的には:
- 玄関: 靴を全て下駄箱へ。床を水拭き
- 水回り: 鏡・蛇口は曇りゼロまで磨く(水滴の跡が残っていると「古い」印象)
- 床: 髪の毛・ホコリゼロ。フローリングは艶出し
- 収納: パンパンに詰め込まない(「収納が足りない物件」に見える)
- ベランダ: 室外機周辺の掃除、洗濯物撤去
特に水回りの清潔感は買主の判断を左右します。キッチン・浴室・トイレが汚れているだけで「管理がずさんな物件」という印象になる。
匂い対策:気づかない匂いこそ致命的
住んでいる本人は自宅の匂いに気づかないのが怖いところ。
タバコ・ペット・料理の匂いは買主にとって致命的。私の経験では、匂いが原因で決まらなかった内覧は数多くあります。
対策:
- 内覧2時間前から全室換気
- 消臭スプレーは香りの強いもの厳禁(逆に不自然)。無香の消臭剤推奨
- カーテン・カーペットなどファブリックに匂いが染みている場合は買い替え検討
採光:全カーテン全開、全照明点灯
マンションは日当たりが重要な判断ポイント。内覧はできれば午前〜午後早め、カーテン全開、日中でも照明を全部つけて「明るい状態」で見せます。

内覧当日:売主の立ち位置と話し方
売主は同席すべき?—— 結論「できれば不在」
よくある質問ですが、基本は不在が望ましいです。
理由:
- 買主は売主がいると遠慮して質問しにくい
- 売主の生活感を感じると「他人の家」感が強まって買う気が減る
- 売主が必要以上にアピールすると逆効果
ただし、リフォーム歴や設備の使い勝手、管理組合の雰囲気など、売主にしか答えられない情報がある場合は同席。その場合は以下のルールを守る。
同席時の3つのルール
- 担当者より前に出ない。質問には担当者経由で答える
- 自分から語らない。聞かれたことだけ、簡潔に
- ネガティブ情報は隠さない。聞かれたら正直に答える(後のトラブル防止)
特に3点目は重要。上階の足音、近隣のクセ、過去の水漏れなど、知っていることは隠さない。買主に信頼される売主が、結果的に成約率が高いです。
【経験談】黙って同席していた売主が300万円多く売った話
以前、ご年配の売主が「自分は何もしゃべらずに、ただ同席していていいですか」とおっしゃったケース。
結果、買主は担当者を通じて様々な質問ができる環境になり、売主は要点だけ補足する形で落ち着いた内覧になりました。買主側から「売主さんが誠実そうで安心できる」という感想が出て、1回目の内覧で買付が入り、指値なしで成約。
同条件の他物件より300万円高い価格で、かつ1回目内覧で決まる異例のスピードでした。売主の人柄が買主に伝わると、値引き交渉が起きにくくなるのです。
もちろんこれは印象に残っている一例で、内覧対応さえよければ必ず高く売れる、という話ではありません。価格を決める大前提は、あくまで相場と物件そのものの条件です。ただ、内覧での印象がマイナス要因になるリスクを減らせるのは確かです。
よくある質問への答え方
- 「なぜ売るんですか?」→ 「住み替えです」「相続で」など簡潔に。生々しい理由(離婚・病気・破産等)は担当者経由でぼかす
- 「値下げは可能ですか?」→ 「担当者とご相談ください」。売主が直接答えると交渉材料になる
- 「近所付き合いはどうですか?」→ ポジティブに答える(「みなさん挨拶する穏やかな雰囲気です」)

内覧後:次につなげる動き
担当者からのフィードバックを必ず聞く
内覧が終わったら、24時間以内に担当者にフィードバックを聞きます。
確認すること:
- 買主の反応(好感触?微妙?)
- 懸念点として出たもの(価格・間取り・日当たり・管理費等)
- 次のアクション(2回目内覧?書面提示?)
反応が薄い内覧が続いたら
3〜5件の内覧で全て「微妙」だった場合、物件側に見直しの余地あり。
可能性:
- 価格が市場と合っていない → 値下げ検討
- 写真・広告が実物と乖離 → 再撮影・再出稿
- 内覧導線に問題(整理整頓・匂い・採光)→ 再チェック
【関連記事】値下げタイミングを逃すとどうなるか
やってはいけないNG行動5つ
- 売主が内覧中ずっと横について話す → 買主に圧迫感
- 「この物件のここがいいんです」と自分から推す → 押し売りに感じる
- ネガティブ情報を隠す → 後の契約時・引渡し後にトラブルに
- 内覧の時間をこちらから細かく指定する → 買主の機会損失
- 「他にも検討中の方がいます」と煽る → 逆効果で買主が引く

まとめ:売主が変えられるのは内覧対応だけ
不動産売却では、相場も、買主層も、景気も、売主にはコントロールできません。
でも、内覧対応だけは売主の努力で変えられる。そしてその差が、数百万円の価格差・数ヶ月の期間差につながることも珍しくありません。
「部屋をキレイにする・匂いを消す・明るくする・質問に誠実に答える」。極論するとこの4点だけでも、多くの売主より差別化できます。
内覧依頼が入ったら、この記事をもう一度見返して準備を整えてください。
内覧対応と同じくらい結果を左右するのが、売り出し価格が相場に合っているかどうかです。当サイトの資産価値診断なら、その場で資産価値の目安が表示され、営業電話もかかってきません。売り出し前の目安づくりに活用してみてください。
【関連記事】買主側から見る内覧チェックリスト


コメント