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親が亡くなった、あるいは施設に入った——。誰も住まなくなった実家を前に、「処分したほうがいいとは思うけれど、何から始めればいいのか分からない」と立ち止まっていませんか。結論からお伝えすると、最初にやるべきは「権利関係の確認」です。売る・貸す・維持するといった処分方法を決めるのは、情報が揃ってからで大丈夫。焦って結論を出す必要はありません。この記事では、不動産の現場でよくご案内している「最初の3ステップ」と、その先にある5つの選択肢を、実家処分の全体地図としてひと目で分かる形に整理しました。いま自分がどの位置にいるのかを確かめながら、読み進めてみてください。

ステップ1:権利関係の確認から始める
「まず不動産会社に相談?」「先に家の片付け?」と迷う方が多いのですが、実務ではその前にやることがあります。実家が法律上「誰のものか」をはっきりさせる作業です。ここが固まっていないと、売却も賃貸も解体も、実は一歩も進められません。確認するのは次の3点です。
遺言書の有無を確認する
親が亡くなっている場合、最初に確認したいのが遺言書の有無です。遺言書があれば、原則としてその内容が遺産分けの出発点になるため、あるかないかで話し合いの進め方が大きく変わります。自宅の金庫や仏壇まわり、貸金庫のほか、公正証書遺言なら公証役場で検索できる仕組みがあり、自筆の遺言書が法務局に預けられているケースもあります。心当たりがなくても、一度調べておくと後の手戻りを防げます。なお、自宅で自筆の遺言書を見つけた場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所の「検認」という手続きが必要になることがあります。取り扱いに迷ったら、司法書士や弁護士に確認すると安心です。
相続人が誰かを確定する
次に、「実家について決める権利を持つメンバー」を確定します。相続人を確定するには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をたどるのが基本です。「相続人なんてうちは兄弟だけ」と思っていても、戸籍を集めてみると前婚のお子さんや養子縁組が見つかるケースが、実務では時々あります。相続人が一人でも漏れたまま遺産分割の話し合いをしても、原則としてやり直しになってしまうため、ここは丁寧に進めたいところです。相続人の中に認知症の方や連絡の取れない方がいる場合は、別途の手続きが必要になることがあるので、早めに専門家へ相談しましょう。
家の名義を確認する
意外と多いのが、「実家の名義が親ではなく、すでに亡くなった祖父母のままだった」というケースです。名義は、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取れば誰でも確認できます。そして重要なのは、名義変更(相続登記)を済ませないと、売却・賃貸・解体後の土地売却のいずれも進められないという点です。相続登記は2024年4月から義務化されており、原則3年以内という期限も設けられています。期限のカウント方法や放置した場合の扱いは、相続登記の義務化の期限と罰則の記事で詳しく解説しています。

※相続が関わる実家の処分は、相続人の確定・遺産分割・名義変更(相続登記)といった手続きが前提になります。必要書類や進め方は個別の事情で変わるため、司法書士や弁護士に相談しながら進めると安心です。
ステップ2:実家の現状を把握する
権利関係の見通しが立ったら、次は「実家のいまの状態」を棚卸しします。ここで集める情報が、そのまま家族で話し合うときの材料になります。チェックするのは「家そのもの」「お金まわり」「資産価値」の3つです。
家の状態と残置物(遺品)を確認する
まずは建物の状態です。築年数、雨漏りや水まわりの傷み、庭木や外まわりの様子をざっと確認しておくと、後で不動産会社に相談するときの説明がスムーズになります。あわせて向き合うことになるのが、家の中に残された家具や荷物、いわゆる残置物(遺品)です。自分たちで少しずつ片付けるか、遺品整理の業者に依頼するかは、量と使える時間との相談になります。荷物の多い実家をまとめて業者に依頼すると、目安として数十万円かかる場合もあります。焦って一気に片付ける必要はありませんが、権利証や通帳、印鑑、保険証券などの貴重品だけは早めに探して確保しておきましょう。
お金まわりを確認する
次にお金まわりです。確認したいのは、①住宅ローンが残っていないか(残っている場合は金融機関との調整が必要になります)、②固定資産税の納税通知書(毎年の税額が分かり、固定資産税評価額の手掛かりにもなります)、③火災保険の契約状況、の3点です。誰も住んでいない家でも、固定資産税や保険料、光熱費の基本料金はかかり続けます。「維持しているだけで年間いくら出ていくのか」を数字にしておくと、この後の方針決めがぐっと現実的になります。
あわせて、実家に関する書類も一か所に集めておきましょう。権利証(登記識別情報)、購入時の売買契約書、建物の図面、境界に関する資料などは、売却でも賃貸でも後で使う場面が出てきます。見つからないものがあっても手続きが止まるとは限りませんが、あるかないかを早めに把握しておくと安心です。
資産価値の目安を早めに知っておく
現状把握の仕上げとしておすすめしたいのが、実家の資産価値の目安を早めに知っておくことです。「売るかどうか決めていないのに査定なんて」と思うかもしれませんが、順番はむしろ逆で、金額の目安が分かるからこそ選択肢を絞り込めます。たとえば「思ったより価値がありそうだから売却や賃貸を軸に検討する」「値段が付きにくそうだから維持費を抑える方法や活用を考える」というように、判断の分かれ道がはっきりします。そして何より、家族で話し合うときに全員が同じ数字を見られる、共通の材料になります。

実家をどうするか迷っている段階でも、「売ったらいくらくらいか」の目安があると話し合いが前に進みやすくなります。当サイトの無料診断なら、物件情報を入力するだけで資産価値の目安を確認できます。
ステップ3:家族で方針を決める——5つの選択肢
権利関係と現状が分かったら、いよいよ方針決めです。実家の行き先は、大きく次の5つに分かれます。それぞれの特徴をつかんで、家族の事情に合うものを絞り込んでいきましょう。5つの選択肢を、それぞれのメリットと注意点まで横並びで比較したい方は、相続した不動産をどうするか(売却・賃貸・活用・保有・自己利用の5つを比較)もあわせてご覧ください。
- 売る:仲介または買取で売却して現金化する
- 貸す:賃貸に出して家賃収入を得る
- 住む:自分や親族が引き継いで住む
- 維持する:当面は空き家のまま管理を続ける
- 解体する:建物を壊して土地を活用・売却する
売る:仲介と買取で速さと価格が変わる
使う予定がない場合に、もっとも多く選ばれるのが売却です。売却には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、会社に直接買い取ってもらう「買取」の2つの方法があります。一般的に、仲介は市場価格に近い金額を狙える一方で、売れるまで数か月かかることもあります。買取はスピーディーに現金化できる半面、価格は仲介より下がりやすい傾向があります。どちらが合うかは物件と事情次第なので、まずは相談先選びから始めましょう。信頼できる会社の見極め方は不動産会社の選び方の記事にまとめています。なお、売却して利益が出た場合の税金には、相続した空き家で使える特例が設けられている場合もあります。適用には細かい要件と期限があるため、売却を具体的に検討する段階で税理士や税務署に確認しておくと安心です。
なお、実家が再建築不可の土地や共有持分の状態、老朽化が進んでいるなど「仲介では売りにくいかもしれない」と感じる場合は、買取専門の相談先という選択肢もあります。「訳あり物件買取センター」は、こうした訳あり物件を専門に扱う買取サービスで、東京都の物件が対象、住宅ローンが残っていない物件であればWEBから無料で査定を申し込めます。申込後は電話で物件の状況を伝えたうえで現地査定の日程を決める流れになるため、事前に建物の状態などをメモしておくとスムーズに進められます。
貸す・住む:実家を残す選択肢
思い出のある実家を手放したくない場合は、賃貸に出す、あるいは自分や親族が住むという道もあります。ただし賃貸は、入居者募集の前に修繕やリフォームの費用がかかることが多く、貸した後も設備故障への対応など大家としての責任が続きます。立地や間取りによっては借り手が付きにくい地域もあるため、周辺の家賃相場と初期費用を天秤にかけて判断しましょう。自分や親族が住む場合も、名義変更や税金の扱いが絡むことがあるため、事前に確認しておくと安心です。
維持する・解体する:コストと相談して決める
「今はまだ決められないので、ひとまず維持する」という判断も、もちろんあり得ます。ただし空き家の維持には、固定資産税・火災保険・光熱費の基本料金・管理の手間(遠方なら管理代行費)がかかり続け、目安として年間数十万円になることもあります。管理が行き届かず「特定空家」などに指定されると、住宅用地の税優遇が外れる場合もあるため、「維持する」を選ぶなら管理の体制もセットで決めておきましょう。一方、建物の傷みが激しいなら、解体して土地として売る・活用する道もあります。ただし解体すると住宅用地の税優遇が外れて固定資産税が上がることがあるため、解体の是非は費用と土地の需要を踏まえて、不動産会社や自治体に相談してから決めるのがおすすめです。土地として活用する場合の選択肢は、土地活用の方法を比較で売却も含めて整理しています。
解体まで視野に入れる場合は、費用の見積もりを先に取っておくと家族会議での比較材料になります。東証上場企業が運営する「解体工事110番」は全国対応で、相談・見積もりは無料です。
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期限のあるものチェックリストと家族会議のコツ
最後に、スケジュール感と話し合いの進め方です。「ゆっくり考えたい」という気持ちは大切にしてかまいません。ただ、期限があるものだけは先に押さえておきましょう。
期限があるものを先に確認する
相続にまつわる手続きには、次のような期限があります。
- 相続放棄:相続を知ったときから3か月以内が原則。借金など負の遺産が多い場合に検討する選択肢です
- 相続税の申告:亡くなったことを知った日から10か月以内が原則(相続税がかかる場合)
- 相続登記:不動産の取得を知った日から3年以内が原則
期限のカウントの起点や、自分のケースで相続税がかかるかどうかは、個別の事情で変わります。この記事は一般的な整理にとどめているため、相続放棄の判断は弁護士や司法書士に、税額の見通しは税理士やお近くの税務署に、早めに確認してください。期限に余裕があるうちに相談を始めるほど、取れる選択肢は多くなります。
家族会議をうまく進める3つのコツ
話し合いの場では、①実家をどうしたいか(売る・貸す・住む・維持・解体)、②誰がどの作業と費用を担当するか、③いつまでに何を決めるか、の3つを議題にすると整理しやすくなります。ここまでのステップで集めた情報が、そのまま議題の材料になるはずです。
実家の処分で、手続きそのものより難しいのが家族の合意づくりです。実務で円満に進んでいるご家族に共通するコツは3つあります。①「思い出の話」と「お金の話」を分けて話す時間をつくる、②資産価値の目安や維持費といった客観的な数字を、全員で同じものを見ながら話す、③決まったことはその場でメモに残して共有する、の3つです。特に②の効果は大きく、誰か一人の感覚ではなく数字を土台にすると、感情のぶつかり合いになりにくくなります。遠方に住む家族がいるなら、ビデオ通話でかまわないので「全員が参加して決めた」という形をつくることも、後々の納得感につながります。

それでも話し合いがまとまりにくいと感じたら、家族だけで抱え込まず、司法書士や弁護士といった中立な専門家を早めに交えることも検討してみてください。意見が割れそうなときほど、第三者の視点が助けになります。
まとめ:実家の処分は「権利関係の確認」から始めよう
最後に、この記事の要点を整理します。
- 最初にやるのは処分方法選びではなく、遺言・相続人・名義という「権利関係の確認」
- 名義変更(相続登記)を済ませないと、売却・賃貸・解体後の土地売却は進められない
- 選択肢は「売る・貸す・住む・維持する・解体する」の5つ。空き家の維持だけでも目安として年間数十万円かかることがある
- 相続放棄(3か月)・相続税の申告(10か月)・相続登記(3年)など、期限のあるものだけは先に確認する
すべてを一度に進める必要はありません。①遺言と名義を確認する、②実家の状態とお金まわりをメモにまとめる、③資産価値の目安を調べて家族で共有する——この順番で、できるところから少しずつ進めてみてください。
家族で話し合う前の準備として、「実家を売ったらいくらくらいか」の目安を知っておくと、話がぐっと具体的になります。無料で数分あれば確認できるので、最初の一歩としてぜひ活用してみてください。


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