「何を見ればいいかわからない」まま内見に行っていませんか?

中古マンションの内見。実際に行ってみると、「綺麗だな〜」「日当たりいいね」くらいしか見ていない人がほとんどです。
私は不動産売買仲介の営業マンとして15年以上働いてきました。内見に同行するとき、お客さんはリビングの広さやキッチンの新しさを見ています。でもプロが見ているのは、まったく別のところです。
共用部の清掃状態、窓の結露跡、配管の素材、管理組合の議事録——こういう「地味なポイント」にこそ、買った後の後悔を防ぐカギがあります。
この記事では、15年の現場経験から「プロが必ず確認する30のポイント」をチェックリスト形式でまとめました。内見当日にスマホで開いてそのまま使えます。
※購入全般の注意点は「中古マンション購入の注意点15選」で詳しく解説しています。 → 中古マンション購入の注意点15選
【共用部】管理の質は共用部に出る(6項目)
「マンションは管理を買え」という格言があります。共用部の状態を見れば、そのマンションの管理の質が一目でわかります。
⬜︎エントランス・共用廊下の清掃状態 — 汚れている=管理費が正しく使われていない可能性
⬜︎★掲示板の内容 — 騒音トラブルやルール違反の注意が多いマンションは要注意。住民トラブルの温度感がわかる
⬜︎★外壁タイルの浮き・剥がれ・ひび割れ — 大規模修繕の時期・質の判断材料になる
⬜︎ゴミ置き場の清潔さと分別状況 — 住民のモラルが見える
⬜︎駐輪場の整理状態 — 放置自転車が多い=管理が緩い
⬜︎★機械式駐車場の稼働状況 — 空きが多いと維持費が入居者に重くのしかかる。月額も確認
プロの目: 私は内見前に必ずエントランスの掲示板を写真に撮ります。「騒音について」「ペットの飼い方について」などの注意書きが年に何枚も出ているマンションは、住んでから苦労するリスクがあります。
【室内】見た目より大事な「見えないサイン」(8項目)
室内の綺麗さに惑わされず、「構造的な問題のサイン」を見るのがプロの内見です。
⬜︎★床の傾き — スマホの水平器アプリで確認。1mで6mm以上の傾きは要注意(建物の歪みの可能性)
⬜︎★壁のひび割れ — ドア枠の角から斜めに入るクラックは構造的問題のサイン。単なる壁紙のシワとは区別する
⬜︎★天井・壁のシミ — 雨漏り・漏水の痕跡。特に最上階と北側の部屋は要確認
⬜︎建具の開閉 — ドアや引き戸がスムーズに動くか。引っかかる=建物の歪みの可能性
⬜︎★窓周りの結露跡・カビ — 断熱性能の低さを示すサイン。冬場の光熱費に直結
⬜︎★水回りの配管からの異臭 — 全箇所で水を流して確認。排水トラップの劣化がわかる
⬜︎フローリングの傷・浮き — 補修費用の見込みに
⬜︎押入れ・クローゼット内のカビ臭 — 換気不足や湿気の問題を示唆
プロの目: リフォーム済みの物件は特に注意。綺麗な壁紙やフローリングの下に問題が隠れていることがあります。「リフォーム履歴」と「何をいつやったか」を必ず確認してください。
【設備】年数と素材で「あと何年使えるか」がわかる(5項目)
設備の寿命は購入後の修繕費に直結します。「あと何年で交換が必要か」を内見時に把握しておきましょう。
実は、不動産の営業マンは不動産のプロであって、設備のプロではありません。 給湯器の寿命や配管の素材の違いまで説明してくれる営業マンは正直少ないです。悪気があるわけではなく、物件数も扱う項目も多すぎて覚え切れないのが実情です。だからこそ、設備は自分の目でチェックすることが大事です。
⬜︎★給湯器の設置年と状態 — 寿命は10〜15年。交換費用は15〜30万円。設置年は「製造年月」ラベルで確認。また、空き家期間がある物件は特に注意。 冬場に配管が凍結・破裂しているケースがあります。「寒い地域だけの話でしょ?」と思うかもしれませんが、八王子ですら起きます。空き家になっていた理由と時期を確認し、水抜きがされていたかを仲介会社に聞いてください
⬜︎★配管の素材と交換履歴 — 鉄管(錫)なら錆・水漏れリスク。樹脂管に交換済みか確認
⬜︎エアコンの動作確認と設置年 — 残置の場合、何年前のものか
⬜︎★電気容量 — 30Aだと現代の生活では不足。管理規約で容量アップの上限がある場合も
⬜︎インターネット環境 — VDSL(最大100Mbps)か光配線方式(最大1Gbps)かで速度が全く違う
プロの目: 給湯器と配管は必ず見ます。「給湯器はまだ使えますよ」と言われても、15年以上なら入居後すぐに交換が必要になる可能性が高い。購入価格の交渉材料にもなります。
【管理状況】中古マンション最重要のチェック領域(7項目)
室内はリフォームで直せますが、管理状況は買った後から自分では変えられません。ここが中古マンションのチェックで最も重要なパートです。
⬜︎★修繕積立金の月額と残高 — 月額が安すぎるマンションは危険。戸あたり累計残高が100万円以上が目安。足りないと大規模修繕時に一時金(数十万円)が徴収される
⬜︎★大規模修繕工事の実施履歴と次回予定 — 12〜15年周期が標準。直近に予定があると一時金発生の可能性
⬜︎★長期修繕計画の有無 — 30年以上の計画があるか。ないマンションは将来的な資金不足リスクが高い
⬜︎★管理費・修繕積立金の滞納状況 — 滞納が多い=管理組合の資金が不足し、修繕が先送りになる
⬜︎★理事会の議事録(直近2〜3期分) — どんな問題が議論されているか。建替え議論・耐震診断の話題があるかもチェック
⬜︎★空き住戸・賃貸比率 — 賃貸が多いと管理意識が低下しやすい。空き住戸が多いと修繕費負担が重くなる
⬜︎管理会社と管理形態 — 日勤(常駐)/ 巡回 / 自主管理。自主管理は住民の負担が大きい
プロの目: これらの情報は「重要事項説明書」に記載義務がありますが、内見の時点ではまだもらえないことが多いです。「管理に係る重要事項調査報告書」の開示を仲介会社に求めてください。出し渋る会社は「見せたくない何か」がある可能性があります。
【法規制・権利関係】見落とすとローンが通らない(4項目)
法規制のチェックは「難しそう」と思うかもしれませんが、知らないと住宅ローンの審査で落ちたり、購入後に「こんなはずじゃなかった」となるポイントです。
⬜︎★旧耐震か新耐震か — 1981年6月以前の建築確認=旧耐震。住宅ローン減税や保険料に影響する
⬜︎★住宅ローン減税の適用可否 — 旧耐震でも「耐震基準適合証明」か「既存住宅売買瑕疵保険」があれば適用可。最大数百万円の差
⬜︎★増改築履歴と確認申請の有無 — 無届けの増改築は違法建築。融資が出ないリスク
⬜︎管理規約の内容 — ペット飼育、リフォーム制限(フローリング不可等)、民泊禁止など
プロの目: 「旧耐震だからダメ」とは限りません。耐震基準適合証明を取得すればローン減税も使えますし、その分価格交渉の余地があることも。「デメリットを知った上で買う」のが賢い選択です。
【費用】購入後にかかるお金を内見時に概算する(4項目)
内見時に「この物件、買った後にいくらかかる?」を概算できると、購入判断の精度が格段に上がります。
⬜︎★リフォーム費用の概算 — 水回り全交換なら200〜400万円、フルリノベなら70㎡で700〜1,200万円が目安
⬜︎★管理費・修繕積立金の値上げ予定 — 入居後に値上げが予定されていないか。月々のランニングコストに直結
⬜︎仲介手数料 — 物件価格×3%+6万円+税が上限。詳しくは→ 不動産の仲介手数料はいくら?
⬜︎諸費用の全体像 — 物件価格の7〜10%が目安。詳しくは→ 不動産の「見えない費用」完全リスト
プロの目: 「物件価格+リフォーム費+諸費用」の総額で予算を考えてください。「3,000万の物件を買う」というのは、実際には3,500〜3,800万円の買い物だということです。
プロが教える「見落としやすい」重要ポイント5選
15年の経験で、お客さんが見落として後悔したケースを多数見てきました。特に多いのがこの5つです。
1. 修繕積立金が安すぎるマンション
月々の修繕積立金が安いと「お得」に感じますが、実は「将来の修繕費が足りない」という意味です。大規模修繕の際に一戸あたり数十万円の一時金を徴収されるケースもあります。
2. リフォーム済み物件の「見えない部分」
綺麗にリフォームされた物件は魅力的ですが、壁紙の下の雨漏り跡や、フローリングの下の床の傾きは見えません。「いつ・誰が・何をリフォームしたか」を必ず確認してください。
3. 「曜日・時間帯」を変えての再訪問
内見は土日の昼間に行く人がほとんどですが、平日の夜と雨の日にも見に行ってください。騒音・日当たり・雨漏り・排水状況など、条件を変えると印象がガラリと変わることがあります。
4. 売却理由を聞かない
「なぜ売るのか?」を仲介会社に確認してください。「転勤」「住み替え」なら安心ですが、「近隣トラブル」「騒音」が本当の理由のこともあります。
5. 契約不適合責任の範囲
個人売主の場合、契約不適合責任(旧・瑕疵担保)が「免責」になっていることがあります。つまり、引き渡し後に雨漏りやシロアリが見つかっても、売主に修繕を求められない可能性があります。だからこそ内見でしっかり確認することが重要なのです。
内見で「聞くべき質問」リスト
チェックリストと合わせて、仲介会社にその場で聞いてほしい質問もまとめました。
- 「修繕積立金の残高と、直近の大規模修繕の予定を教えてください」
- 「管理費・修繕積立金の値上げ予定はありますか?」
- 「管理に係る重要事項調査報告書を見せていただけますか?」
- 「売却理由を教えてください」
- 「過去のリフォーム履歴を確認できますか?」
- 「耐震基準適合証明の取得は可能ですか?」
これらの質問にスムーズに答えられる仲介会社は、信頼できる会社です。逃げたり曖昧な回答をしたりする場合は、その会社経由での購入を再検討してください。
まとめ|内見チェックリストで「買った後の後悔」を防ぐ
今回のチェックポイントをまとめます。
【共用部】 6項目
☑ 清掃状態、掲示板、外壁タイル、ゴミ置き場、駐輪場、駐車場
【室内】 8項目
☑ 床の傾き、壁のクラック、天井のシミ、建具、結露跡、水回り、床、収納内のカビ
【設備】 5項目
☑ 給湯器、配管、エアコン、電気容量、インターネット
【管理状況】 7項目
☑ 修繕積立金、大規模修繕履歴、長期修繕計画、滞納状況、議事録、空き住戸率、管理会社
【法規制】 4項目
☑ 耐震基準、ローン減税、増改築履歴、管理規約
【費用】 4項目
☑ リフォーム費、値上げ予定、仲介手数料、諸費用全体像
合計 34項目。このリストをスマホに保存して、内見当日に活用してください。
中古マンションは「安く買える」のが魅力ですが、その分「確認すべきこと」も多い。このチェックリストを使って、後悔のないマイホーム購入を実現してください。
→ 購入全般の注意点はこちら ※中古マンション購入の注意点15選
→ 物件価格以外にかかる費用の全体像 ※不動産の「見えない費用」完全リスト
この記事は不動産売買仲介15年以上の経験を持つ筆者が執筆しています。建物の詳細な調査が必要な場合は、専門のインスペクション(建物状況調査)の利用をおすすめします。


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