令和7年度 問4 金銭消費貸借(弁済期の定めのない債務・担保)
正解番号
4
問題文は公式PDFでご確認ください
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令和7年度試験問題PDF(不動産適正取引推進機構)を開くこの問題の結論
貸金債権を素材に、担保物権の成立要件と相殺の制限(民法509条)を問う問題。509条が禁止しているのは「悪意による不法行為の加害者(賠償債務を負う側)」からの相殺であり、被害者の側が損害賠償請求債権を自働債権として相殺することは妨げられない。したがって、Bの悪意の不法行為の被害者であるAが、自分の借金とBへの損害賠償請求債権を相殺することはできる(肢4が正しい)。肢1〜3は、不動産質権の存在、留置権の牽連性、先取特権の法定性というそれぞれの基本で切れる。
選択肢ごとの解説
※ 問題文は転載していません。「論点」は各肢の内容の要約です。必ず公式PDFの原文とあわせてお読みください。
- 1記述は誤り ×
論点: 自己所有の不動産には抵当権は設定できても、質権は設定できないのか。
誤り。民法は動産質・不動産質・権利質を認めており、不動産にも質権を設定できる(不動産質、民法356条以下)。抵当権との違いは、質権では目的物の占有を債権者に移す点であり、不動産だから質権を設定できないということはない。
- 2記述は誤り ×
論点: 債権者は、たまたま債務者から預かっている動産について、貸金の弁済を受けるまで留置権を行使できるのか。
誤り。留置権が成立するのは「その物に関して生じた債権」を有する場合に限られる(牽連性、民法295条1項)。貸金債権は預かっている動産に関して生じた債権ではないので、留置権は成立しない。物を占有してさえいれば何の債権でも留置できる、というわけではない。
- 3記述は誤り ×
論点: 貸金の弁済が滞れば、債権者は債務者の総財産に先取特権を行使できるのか。
誤り。先取特権は法律が定めた特定の債権についてのみ当然に成立する法定担保物権であり、総財産を対象とする一般の先取特権が認められるのは、共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給の4種の債権に限られる(民法306条)。通常の貸金債権には先取特権は発生しない。
- 4記述は正しい ○正解肢
論点: 悪意の不法行為の被害者は、加害者への損害賠償請求債権を自働債権として、自分が加害者に負う借金と相殺できるのか。
正しい。悪意による不法行為に基づく損害賠償債務の「債務者」(=加害者)は相殺をもって債権者に対抗できないが(民法509条1号)、この規定が縛るのは加害者側からの相殺だけである。被害者Aの側から、Bに対する損害賠償請求債権(弁済期到来済み)を自働債権とし、貸金返還債務を受働債権として相殺することは可能である。被害者が現実の賠償金を受け取る利益を守るための規定なので、被害者自身が相殺を望むなら妨げる理由がない。
間違えやすいポイント
509条を「不法行為がからむ相殺は一切禁止」と覚えていると肢4を誤りと判断してしまう。禁止されるのは〈加害者側から〉の相殺だけで、〈被害者側から〉は自由にできる——どちらの側から相殺するのかを必ず確認すること。また肢2は「占有していれば留置権」という直感に訴えるひっかけで、留置権には債権と物との牽連性が必須という基本を思い出したい。
覚え方
「相殺509条:ぶつけた側(加害者)からはダメ、ぶつけられた側(被害者)からはOK」「留置権は“その物のせいでできた借り”だけ」
類似オリジナル問題で理解度チェック
※ 本サイトが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。
【オリジナル問題】相殺に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1悪意による不法行為に基づく損害賠償債務の債務者は、被害者に対して有する貸金債権を自働債権として、当該損害賠償債務と相殺することができる。
- 2悪意による不法行為の被害者は、加害者に対する損害賠償請求債権を自働債権として、自己が加害者に対して負う貸金返還債務と相殺することができる。
- 3人の生命または身体の侵害による損害賠償債務の債務者は、その不法行為が過失によるものであれば、相殺をもって債権者に対抗することができる。
- 4時効によって消滅した債権は、その消滅以前に相殺適状にあった場合でも、自働債権として相殺することができない。